パトロールカー
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GMの警察用車両で使われてきた商品コード9C1/9C3も割り当てられていない[45]。2020年に元のインパラが生産終了し、カタログからも削除された。実質的な後継車としてはシボレー・マリブが相当するが、10代目インパラ同様に、商品コード9C1/9C3は割り当てられていない。
フォード・ポリスレスポンダー・ハイブリッド2017年に発表されたフォード・フュージョン・ハイブリッドの警察仕様車。直4+ハイブリッドシステムの前輪駆動である。車両本体価格はユーティリティと同程度だが大幅な低燃費になっており、環境と財政に優しいのが特徴[注 6]。ハイブリッド用バッテリーをトランク内に搭載することからトランク容量は小さくなるが、バッテリーカバー上部を電装品トレイにすることで空間活用を試みている。Green Car JournalのGreen Car of the Year 2018では業務用車両部門賞を受賞した[46]。2020年7月にベースのフュージョンが生産終了したのに合わせてタクシー仕様のフュージョン共々、カタログから削除された。
開発中止になったもの
カーボンモータース・E7
カーボンモータース
(英語版)社が2008年に発表した次世代のパトカー専用車。同社によると供給開始は2012年からとされていたが、後述の資金供給問題により2013年に同社が倒産した為、実際に製造される事はなかった。動力系統には300馬力を発生するBMW製3.0L直6ディーゼルエンジンと6速ATを搭載していた。同社はE7は0→100km/h加速を6.5秒で、ゼロヨン加速を14.5秒で行う動力性能を備えつつも燃費は28?30マイル/ガロン(およそ12km/L)で済み、航続距離は522マイル(およそ835km)で、他社製品と比べて動力性能でも運用コストでも優れていると述べていた。外観の特徴は警光灯やプッシュバンパーをはじめから組み込んでいること。警光灯はボディの屋根前端部や側面、ピラーなどに組み込まれており、一見するとスリックトップのような外観ながら後付のように車内にはみ出すようなことはなかった。ドアは観音開きで、後部へ容疑者を載せる時の負担を軽減していた。機能面ではレベルIII-Aの防弾措置が施されていた。ナンバー読取装置なども搭載可能。ステアリングスイッチは無線や警光灯を操作するためのものになっており、見た目は一般の乗用車で使用されるものと似ているが、機能はパトカー専用モデルらしいもの。シートは腰の辺りが大きくえぐれており、ガンベルトを装着した状態でも着座しやすいようになっていた。ニード・フォー・スピード ホット・パースートではハイウェイパトロールユニットとして登場する。同社は2008年にアメリカ合衆国エネルギー省(DOE)が先進的なエコカー開発を後押しする目的で発表した自動車製造先端技術インセンティブプログラム(英語版)(ATVM)に基づく資金供給を当て込んで車両の開発を行っていたが、2009年にフォード・モーター北米日産テスラモーターズ、フィスカー・オートモーティブ(英語版)が早々とATVMでの資金調達に成功する中、同社の融資計画はDOEからなかなか承認されなかった。2012年3月7日、当時のアメリカ合衆国エネルギー長官スティーブン・チューは、同社の融資資金返済計画に問題があるとして同社が申請していた310万米ドルの資金供給を最終的に拒否した。同社はDOEの融資拒否は警察車両における既得権益を持つビッグスリーに配慮した政治的意図に基づいたものであると主張したが、ATVMは元々リーマンショックにより疲弊したアメリカの自動車産業(英語版)を救済する目的でアメリカ合衆国財務省が発表した不良資産買い取りプログラム(GM、クライスラーが救済融資を受けた)とは無関係であり、DOEは賃金の未払いや債務返済繰延べなど資金難に陥っていた同社の財務状況が融資拒否の原因であるとした。同社と同様にATVMでの融資を拒否されて倒産や吸収合併された会社は三輪自動車のアペラ・モーターズ(英語版)、プラグインハイブリッド車のブライト・オートモーティブ(英語版)、電動オートバイのブラムモ(英語版)などがあった。
装備

アメリカでは機関ごとの方針でパトカーの装備は異なり、上記の写真で見られるようにプッシュバンパーひとつ取ってもまちまち。装備品の製造メーカーも多く、同じ機能を目的としていても様々な製品がある。
ワーニングライト(ライトバー)
LED式警光灯ミシガン州警察のダッジ・チャージャー。ボンネットに設置されているのが「Shark fin」

日本で使用されているものと機能や形状はおおむね同じだが、アメリカではハロゲンやストロボ式以外にもLED式がかなり広く普及している。ハロゲンやストロボ式に比べ、LED式はかなり薄くできるのが特徴。高速走行で空気抵抗が強くなると稀に警光灯が風圧で取り付け部からもげてしまうことがあるので、高速での追尾を行うCHPは、ハロゲン式ながらより高速走行に耐えられる ⇒Federal Signal社の「Vector」を採用していた(5個の回転灯が三角形に並んでいる)。しかしLED式の方が空力的に優れており、また警光灯としての性能も十分であることからLED式に変更した。近年ではハイウェイパトロール以外でも、Federal Signal社のVision SLR、ValorなどのLED式ライトバーを採用する機関が増えている。スリックトップと呼ばれる、通常の警ら用パトカーと同様の塗装を施しているものの、上のダッジ・チャージャーのようにライトバーを設置しないパトカーもある。元々は高速追尾時の空気抵抗を減らすためであり、より目立ちにくくなる効果もある。
ワーニングライト(そのほか)
グリル内やプッシュバンパーに取り付けるタイプ、ボディやサイドミラー前面に埋め込むタイプ、ライトシールド内に設置するタイプ、フロントグラス内やダッシュボード、デッキに取り付けるタイプなど様々な形状のものがある。ヘッドライトや、ブレーキ&バックアップライト自体をリレーや半導体で点滅させるものも多い。

カリフォルニア州では、道路法で“一つ以上の赤の不動光が前から見えること”が緊急走行の条件となっている。警察車となるにはこれに加えて青の点滅灯が必要。また、覆面車のデッキには黄と青の点滅灯を装備している。

ディレクショナルライト
他の車両に対して交通誘導のための合図を出す装置。8個程度のライトが横一列についており、左流れや右流れ(トラックやバスの3連ウインカーのような感じ)、中央から両脇向け流れ、全点滅などの発光パターンを使って交通誘導を行ったり、ワーニングライトとして使用する。ライトバーと一体になっているものと、単独で設置するものがある。全てオレンジ色のライトのもののほか、最端部のみ赤や青だったり、最近ではLEDの普及によって何色か発光させられるものもある。Whelen社の「トラフィックアドバイザー」やCode3社の「アロースティック」という製品名がその役割をよく表している。
LED電光掲示板 (Message board)
ディレクショナルライトと同様に、警光灯後部やリアハッチ窓の上部に装着するもの。POLICE EMERGENCY KEEPBACK(警察官対応中 接近注意)といった文章を表示可能[47][48]。文章及び発光色は専用のソフトを使って編集と設定をすることが可能。
サイレンアンプ&スピーカー
日本より音の強い100Wタイプが主流で、200Wタイプもある。音色は以下のようにいくつかの種類がある。

Wail:周期吹鳴。周期的に高い音と低い音を交互に鳴らす。(参考)

Yelp:短い周期で連続して高い音を鳴らす。(参考)

Hyper Yelp/Phaser/Pulsar:Yelpよりさらに短い周期で、連続して高い音を鳴らす。(参考)
他にも、ヨーロッパ風の「Hi-Lo」や交差点進入時などに使うブーブー音の「Air Horn」などがある。覆面車用の簡素なモデルを除いては、マイク拡声機能、無線音声を拡声できる機能も備わっている。

以上の装備は、集中コントローラーに接続され、レバー一つで全停止から“サイレン吹鳴、警告灯発光”“サイレン停止、警告灯のみ発光”までが切り替えられるようになっている。
停止指示板
ミシガン・ハイウェイパトロールの特徴的装備だが、ボンネット上に「STOP」と書かれた照明付の板を設置し、停止を求める場合にそれを点灯させて停止を促す。その形状から「Shark fin」(サメのヒレ)というあだ名がついている。昔のパトカーには右前のフェンダー付近に「STOP」の文字が出る警光灯を装備し、これを用いて停止指示を行うこともあった。現在はワーニングライトとサイレン、拡声器によって停止指示を行うのが一般的なので、ほとんど見られなくなった装備である。
スポットライト
ライトバーに前方や周囲を照らすテイクダウン(takedown―分解・解体)ライトや、側方を照らすアーリー(alley―路地・裏通り)ライトというものが内蔵されている。また、車体前部ピラーに、内側から操作可能なガンスポットライトを設置しているものが多い。手持ちのものを車内に備え付けている場合もある。
プッシュバンパー
グリルガードのような形状をしたグリル正面に突き出している部品。フェンダーまで回りこむような形状のものもある。PITマニューバと呼ばれる逃走車両への強制停止措置などにおいて、車体を防護しつつ確実に目標を「押す」ために用いられる。
パーティション
前後の座席を仕切る板。金属製の下部に、上部は金属メッシュやアクリル板というのが一般的。後部座席に乗せた容疑者が暴れても、前席の乗員に危害が及ばないようにするためのもの。中からは開けられない後部ドア、一体成型の後部座席と相まって、“動く留置場”となる。
リアシート
前席がファブリックシートでも、後席はビニールレザーや合成樹脂であることが多い。護送中の被疑者が隠し持つ証拠物件を座席の隙間に隠すようなことができないよう、一体成型された硬いベンチのような後部座席もある。これは頑丈な構造ゆえ被疑者が後部座席で暴れても痛みにくく、体液や嘔吐物などで汚れても洗浄が容易。ドアパネルまで覆ってしまうものもある。
ガン・ロック
ショットガン自動小銃の火器固定用器具で、電子ロックで施錠できるようになっている。天井やパーティション、ダッシュボード、トランク内などに設置されている。銃を戻す時はワンタッチ、取る場合は開錠が必要になっている(隠しボタンを押す事で一瞬だけ固定部が解放される)。
無線機
パトカーのことをRMP(Radio Mobile Patrol)と呼ぶ所以でもある無線機は必需品。単独で使用する一般的なタイプのほか、携帯無線機を差し込んで使用するハンドマイク付きの充電スタンドタイプなどもある。CHP、ロサンゼルス市警察では小型無線機が搭載されており、カーラジオやサイレン・警光灯などと共に集中制御出来る制御盤が接続されダッシュボードに装備されている(ラジオが鳴っていても無線の信号が入ると最優先で音を大きくして聴かせる)。無線機ではパソコンを使って予め設定しておく周波数しか送受信出来ないため、州の他官庁の動静を知るために受信機(一般には800MHz帯)を装備する機関もある。
車載端末(MDT/CDT)
データ通信を活用し、ナンバー照会や手配情報においてより複雑な情報のやり取りを行う。カーロケーターと同じく警察の指令所で位置を確認したり、また他のパトカーの所在地を表示する機能もある。MDT(Mobile Data Terminal)に対しCDT(Computer Data Terminal)はWindowsなどのOS(使用されているのは一般版ではなくWindows Embedded)で動かすため、車内で報告書などの文書作成を行うことなどもできる。取り外し可能なノートパソコンを乗務ごとに接続するものや、デスクトップ又はノートパソコンをトランクに固定設置するものなどがある。近年はパトカーに搭載される電子装置が増えたため、車載端末のインターフェイスはデータのやり取りに用いるだけではなく、サイレン、警光灯、無線、レーダーなどを統合的に操作できるものが増えてきた。


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