パトロールカー
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現在のアメリカの警察用新車市場で最も売れているのがこのユーティリティで、2017年には33,075台が販売されている[42]
販売が終了したもの
シボレー・カプリスPPV
GMが2011年から供給する新型のパトカー。ベースとなるカプリスは往年とは違い、現在はGM傘下の
ホールデンが製造しオーストラリアなど向けに販売されている車種。グレードはパトロール用の「9C1」と、覆面パトカー用の「9C3」の二種類。エンジンはV型8気筒とV型6気筒の2種類のガソリンエンジンで、自動変速機を介して後輪を駆動する。パトカー専用装備としては機能強化や各種端末や通信装置などの他、赤外線暗視装置も装着できる。バッテリーは2個搭載しており、そのうちの一つは高度化する電子装備の駆動用に使用するという。カプリスのホイールベースは3011mmなので、これにより前後席の間に設けられるパーテーションを前席より後ろにずらすことができ、運転席の調整しろが大きくなっている。さらにセンターコンソールをタッチパネル式入力機器にすることも可能。座席も市販車の使い回しではなく、パトカー用にチューニングされたものを使うとのこと。またシボレーブランドで販売されることから、フロントグリルはホールデンのCIがついたものから、シボレーのCIがついたものに変更された。2017年にホールデンの生産工場が閉鎖され生産中止になったことから、同年で販売が終了した[43]
フォード・クラウンビクトリア・ポリスインターセプター(Police Interceptor)
フォードのフルサイズセダン「クラウンビクトリア」を土台に使用した、パトカー仕様車。商品コードP71。世間での通称は「CVPI」など。ベース車両からパトカーへの変更点としては上記のもののほか、ドア内側に防弾パネルを注文装備できる。公式サイトの動画によると、散弾銃の12ゲージから発射されるスラグ弾や、7.62mmライフル弾をこのパネルは完全に止める。注文料金は運転席ドアのみが$1200、左右前部ドアが$2400。その他の安全対策としては、後部衝突時に燃料漏れによる火災が発生しやすいと言う欠陥騒動があったことから、燃料タンク防護材の無料取付けを実施した。フォードによると、時速75マイル(約120km/h)で後部に衝突されても燃料タンクに穴はあかないという。また燃料タンク付近に自動消火装置を装備した。これは強い衝撃をセンサーが感知すると作動するもので、運転席のスイッチから手動操作することも可能。2011年9月に最後のモデルがロールアウトし、同年で生産終了となった[44]
フォード・ポリスインターセプター
2011年に発売された、3世代目のポリスインターセプター。CVPIの後継にあたる。ベースとなるのはフォード・トーラス。グレードは3.5L V6自然吸気の前輪駆動、3.7L V6自然吸気の四輪駆動、3.5V6エコブースト(ターボ)の四輪駆動、直4ターボの前輪駆動。これらはトーラスの構成と同じ。冷却系やサスペンションが強化されており、フロントにはサブフレームも装着される。シフトレバーはコラム式に変更され、シートも警察官の要望を取り入れた専用の6ウェイパワーシートにされた。センターコンソールはCVPIと同じもので、装備の使い回しができる。オプションでドアに防弾パネルをつけることも可能。クラウンビクトリアで後部衝突時の問題があったことから、時速75マイル後部衝突試験もクリアするという。見通しの悪い交差点での衝突を回避するために警告を出す、BLIS(Blind Spoto Information System)も装着可能。ベースのトーラスが2019年3月に生産終了したのに合わせて、こちらも生産終了し、エクスプローラーをベースにしたインターセプター ユーティリティに一本化された。
シボレー・インパラシボレーのミッドサイズセダン「インパラ」を土台に使用した車両。2000年以降は8代目と9代目で通常パトカー用の商品コード9C1、覆面・捜査用の9C3が設定されていたが、現在ではこれらの販売は終了した。10代目も警察向けとして紹介はされているが、従来の物のようにコラムシフト化などは特に行われておらず、行政機関向け業務用車両と仕様が共通したものになっている。GMの警察用車両で使われてきた商品コード9C1/9C3も割り当てられていない[45]。2020年に元のインパラが生産終了し、カタログからも削除された。実質的な後継車としてはシボレー・マリブが相当するが、10代目インパラ同様に、商品コード9C1/9C3は割り当てられていない。
フォード・ポリスレスポンダー・ハイブリッド2017年に発表されたフォード・フュージョン・ハイブリッドの警察仕様車。直4+ハイブリッドシステムの前輪駆動である。車両本体価格はユーティリティと同程度だが大幅な低燃費になっており、環境と財政に優しいのが特徴[注 6]。ハイブリッド用バッテリーをトランク内に搭載することからトランク容量は小さくなるが、バッテリーカバー上部を電装品トレイにすることで空間活用を試みている。Green Car JournalのGreen Car of the Year 2018では業務用車両部門賞を受賞した[46]。2020年7月にベースのフュージョンが生産終了したのに合わせてタクシー仕様のフュージョン共々、カタログから削除された。
開発中止になったもの
カーボンモータース・E7
カーボンモータース
(英語版)社が2008年に発表した次世代のパトカー専用車。同社によると供給開始は2012年からとされていたが、後述の資金供給問題により2013年に同社が倒産した為、実際に製造される事はなかった。動力系統には300馬力を発生するBMW製3.0L直6ディーゼルエンジンと6速ATを搭載していた。同社はE7は0→100km/h加速を6.5秒で、ゼロヨン加速を14.5秒で行う動力性能を備えつつも燃費は28?30マイル/ガロン(およそ12km/L)で済み、航続距離は522マイル(およそ835km)で、他社製品と比べて動力性能でも運用コストでも優れていると述べていた。外観の特徴は警光灯やプッシュバンパーをはじめから組み込んでいること。警光灯はボディの屋根前端部や側面、ピラーなどに組み込まれており、一見するとスリックトップのような外観ながら後付のように車内にはみ出すようなことはなかった。ドアは観音開きで、後部へ容疑者を載せる時の負担を軽減していた。機能面ではレベルIII-Aの防弾措置が施されていた。ナンバー読取装置なども搭載可能。ステアリングスイッチは無線や警光灯を操作するためのものになっており、見た目は一般の乗用車で使用されるものと似ているが、機能はパトカー専用モデルらしいもの。シートは腰の辺りが大きくえぐれており、ガンベルトを装着した状態でも着座しやすいようになっていた。ニード・フォー・スピード ホット・パースートではハイウェイパトロールユニットとして登場する。同社は2008年にアメリカ合衆国エネルギー省(DOE)が先進的なエコカー開発を後押しする目的で発表した自動車製造先端技術インセンティブプログラム(英語版)(ATVM)に基づく資金供給を当て込んで車両の開発を行っていたが、2009年にフォード・モーター北米日産テスラモーターズ、フィスカー・オートモーティブ(英語版)が早々とATVMでの資金調達に成功する中、同社の融資計画はDOEからなかなか承認されなかった。2012年3月7日、当時のアメリカ合衆国エネルギー長官スティーブン・チューは、同社の融資資金返済計画に問題があるとして同社が申請していた310万米ドルの資金供給を最終的に拒否した。同社はDOEの融資拒否は警察車両における既得権益を持つビッグスリーに配慮した政治的意図に基づいたものであると主張したが、ATVMは元々リーマンショックにより疲弊したアメリカの自動車産業(英語版)を救済する目的でアメリカ合衆国財務省が発表した不良資産買い取りプログラム(GM、クライスラーが救済融資を受けた)とは無関係であり、DOEは賃金の未払いや債務返済繰延べなど資金難に陥っていた同社の財務状況が融資拒否の原因であるとした。同社と同様にATVMでの融資を拒否されて倒産や吸収合併された会社は三輪自動車のアペラ・モーターズ(英語版)、プラグインハイブリッド車のブライト・オートモーティブ(英語版)、電動オートバイのブラムモ(英語版)などがあった。
装備

アメリカでは機関ごとの方針でパトカーの装備は異なり、上記の写真で見られるようにプッシュバンパーひとつ取ってもまちまち。装備品の製造メーカーも多く、同じ機能を目的としていても様々な製品がある。
ワーニングライト(ライトバー)
LED式警光灯ミシガン州警察のダッジ・チャージャー。ボンネットに設置されているのが「Shark fin」

日本で使用されているものと機能や形状はおおむね同じだが、アメリカではハロゲンやストロボ式以外にもLED式がかなり広く普及している。ハロゲンやストロボ式に比べ、LED式はかなり薄くできるのが特徴。高速走行で空気抵抗が強くなると稀に警光灯が風圧で取り付け部からもげてしまうことがあるので、高速での追尾を行うCHPは、ハロゲン式ながらより高速走行に耐えられる ⇒Federal Signal社の「Vector」を採用していた(5個の回転灯が三角形に並んでいる)。しかしLED式の方が空力的に優れており、また警光灯としての性能も十分であることからLED式に変更した。近年ではハイウェイパトロール以外でも、Federal Signal社のVision SLR、ValorなどのLED式ライトバーを採用する機関が増えている。スリックトップと呼ばれる、通常の警ら用パトカーと同様の塗装を施しているものの、上のダッジ・チャージャーのようにライトバーを設置しないパトカーもある。元々は高速追尾時の空気抵抗を減らすためであり、より目立ちにくくなる効果もある。
ワーニングライト(そのほか)
グリル内やプッシュバンパーに取り付けるタイプ、ボディやサイドミラー前面に埋め込むタイプ、ライトシールド内に設置するタイプ、フロントグラス内やダッシュボード、デッキに取り付けるタイプなど様々な形状のものがある。ヘッドライトや、ブレーキ&バックアップライト自体をリレーや半導体で点滅させるものも多い。

カリフォルニア州では、道路法で“一つ以上の赤の不動光が前から見えること”が緊急走行の条件となっている。警察車となるにはこれに加えて青の点滅灯が必要。また、覆面車のデッキには黄と青の点滅灯を装備している。

ディレクショナルライト
他の車両に対して交通誘導のための合図を出す装置。8個程度のライトが横一列についており、左流れや右流れ(トラックやバスの3連ウインカーのような感じ)、中央から両脇向け流れ、全点滅などの発光パターンを使って交通誘導を行ったり、ワーニングライトとして使用する。ライトバーと一体になっているものと、単独で設置するものがある。全てオレンジ色のライトのもののほか、最端部のみ赤や青だったり、最近ではLEDの普及によって何色か発光させられるものもある。Whelen社の「トラフィックアドバイザー」やCode3社の「アロースティック」という製品名がその役割をよく表している。
LED電光掲示板 (Message board)
ディレクショナルライトと同様に、警光灯後部やリアハッチ窓の上部に装着するもの。POLICE EMERGENCY KEEPBACK(警察官対応中 接近注意)といった文章を表示可能[47][48]。文章及び発光色は専用のソフトを使って編集と設定をすることが可能。


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