パソコンゲーム
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SteamでのPCゲームのダウンロードが普及してゆく中、2010年以降、PC上でしかプレイできないマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ (MOBA) と、F2Pというジャンルが急激な普及し、エレクトロニック・スポーツTwitchなどのライブストリーミング配信プラットフォームで観戦して楽しむ人達が増えたことなどが、PCゲームの市場規模の拡大を後押しして、売上規模でPCゲームの市場規模はコンソール向けゲームの市場規模を越えた[11][12][13]。2010年代のなかばころには、PCゲームのプレイを録画してネットで流したり、プレイを実況で流すことが流行するようになっており、すでに一般のスポーツ中継(F1NFL)並の規模に到達していた[10]

2015年時点の予測で、PCゲーム市場は2019年までに350億ドル規模に成長すると見込まれ、スマートフォンと並んでゲーム市場の成長の牽引役となることが予測された[14][15]

久夛良木健は2016年、PCでのゲーム開発環境ひいてはゲームプレイ環境の充実により、ゲームタイトル開発における家庭用ゲームとPCゲームのプラットフォームの融合も進んでいる、と指摘した[16]
日本

日本のPCゲーム市場は1980年代から1990年代前半にかけて盛り上がりをみせたものの、その後衰退し、世界市場と比べるとその規模が小さく、2010年代頃までニッチ市場から脱してない状況だった。

そのせいで小さな販売数で大きな利益を得ようとする高価格な傾向があった[17]。多くのゲーム制作会社はPCゲームの代わりにコンシューマー向けのゲーム開発に集中していた。その原因は以下である。

もともと日本は任天堂、ソニー、セガなど強力なコンシューマー機メーカーの本拠地であった

国産PCと共に広まったPCゲームだが、1995年から始まったWindows 95とPC/AT互換機の普及により国産PCの衰退・壊滅が起きた

日本で輸入販売された海外製PCゲームソフトは日本語表示に対応していないものが多く、日本国内では販売が伸びなかった

PCゲームの一大ジャンルとなったFPSの人気が長らく低かった

これらの要因が重なった結果、2000年代まで日本国内のPCゲーム市場は低迷が続く状態だった。このような状況に転機が訪れたのは2010年代だった。

2010年代に入って、今度はアーケードや家庭用ゲームの市場のほうが衰退傾向に陥っていた。その原因はスマートフォンの台頭である。日本では2010年代に起きた低価格スマホの普及によりアプリストアでゲームアプリを簡単にダウンロードできるようになったことで、(PCゲームレベルの品質にこそ届かないものの)そこそこのクォリティーのゲームが多くの人々により容易く行き渡れるようになった。これがアーケード・家庭用ゲーム衰退の原因の一つであった。

そんな状況下で、日本のPCゲーム市場は、スマホのゲームアプリに負けることはなく復興の兆しをみせた。2015年ころにはSteam総ユーザ数のうち、日本ユーザは4 - 5%まで増えた[18]

2010年代のなかば、NVIDIAのGeForceビジネスユニット担当の副社長からは「ゲームの実況を視聴して楽しむことは日本ではまだ立ち上がりの段階だ(そしてこれから伸びるだろう)」とし、「また日本のPCゲーム市場はGPUの購入傾向から見るとハイエンド指向が突出している」と分析した[10]

2020年代からはSteamの日本ユーザーがもう一度大幅に増加する動きがある。[19]それに合わせて、日本語公式対応のPCゲームソフトが増えつつある。日本語未対応のソフトも、ユーザー側が非公式翻訳パッチを制作・公開するケースが増えた。
東アジア大陸

東アジア大陸諸国は、日本とは真逆にいち早くからPCゲームが盛んだった。日本・欧米とは違って家庭用ゲーム市場が極めて微弱だった事、著作権法が日欧米と比べて少し緩かったことが東アジア諸国でPCゲームが普及した原因となった。

これらの国は「PCゲーム特化のゲームセンター」に近いネットカフェが多い事が特徴である。
韓国

韓国で1990年代末期からPCゲームが台頭しはじめた。これは日本におけるPCゲーム普及よりも約20年早いのである。

当時の韓国政府が推進していた「国民PC」普及政策[20]、そして同時期のBlizzard社のRTS『StarCraft』の大ヒット、これらの要因が噛み合って90年代末?2000年代初期の韓国でパソコンゲームが主流になったのである。

2000年代中盤、韓国にプレステ2ニンテンドーDSが正式輸入されたとき、暫くは家庭用ゲーム市場が韓国で拡大する動きがあった。しかしあの時以降も韓国はPCゲームが圧倒的主流のままである。

著作権法がまだ未整備だった2006年以前の韓国では「ジュエルゲーム[21]」という形式のゲームパッケージが売れていた。ジュエルゲームとは「ジュエルケースに入ったCD一枚、と簡略な説明書」といったシンプルな構成の廉価版ゲームパッケージであり、嵩張るパッケージボックス・その他の付属品を一切省いたものである。真っ当なソフト会社が正式に販売したジュエルゲームもあったが、海賊版ソフトも多くあった。中には欧米のサイト上で公開されているフリーソフトを流用してアセットフリップしただけ、(そもそもPC版移植が存在しないはずの)日本製家庭用ソフトをROMファイルの形式で抽出してエミュレータを添えただけ、のような代物まで存在していた。
中国

日韓以上にコンソールゲーム市場が微弱な中国でも、PCゲームが主流である。

2015年の調査では、中国ゲーム市場全体の221億米ドルのうち、約57%の125億ドルがPC・MMOゲームだとされている(一方、家庭用ゲームは、たった1.8%の4億ドルしかない)[22]。この割合はスマホゲーム市場の成長で落ちたものの、2022年時点でもPCゲームが市場の31%を占める中国[23]は相変わらずPCゲームが盛んな国である。

中国でも、やはりブリザード社製のPCゲームが人気である。Starcraftが盛んな韓国と比べて、こちらはWarcraftシリーズが主流である。特に『ウォークラフト3』は中国の国民的ゲームになっており、関連大会も2010年代からほぼ全部中国で開催されている[24]同シリーズを映画化した作品の収益の半分以上が中国から発生したほどである。
欧米諸国

(2000年代の日本ほど極端でないものの)欧米全体としてはモバイル・コンソールに対してPCゲームが劣勢である感が否めない。それでもPCゲームは着実に市場全体の中で一定のシェアを確保している。

2023年における全世界ゲーム市場のうち約20%がPCゲームであり[25]、欧米諸国もだいたいこの割合を維持している。

欧米諸国では「西欧ほど(コンソールに対し)PCゲームが劣勢か拮抗、東欧に近いほどPCゲームが優勢」な傾向がある。
英語圏

北米のゲーム市場におけるPCゲームの割合は他の欧米諸国の平均レベルである。[26]

かつてアメリカはパソコンの発祥地らしく、PCゲームが市場全体の半分近くを占めたこともあった(参考:2015年アメリカの機種別ゲーム市場シェア)。しかし、同じくアメリカで台頭したスマホおよびアプリストアの影響でPCゲームのシェアが落ち、今の北米は諸外国と同じく約20%前後に落ち着いている。[26]

一方イギリスではコンソールがPCゲームに対して優勢であり、40%以上のユーザーが家庭用ゲームを好んでいる。これはPCゲームを好む層の倍以上である。[27]
北西ヨーロッパ

ドイツはPC・コンソール・モバイルの三者が対等に拮抗する国[27]である。RTS『Command & Conquer』シリーズが国民的ゲームになったり、PCゲームユーザーを題材にしたユーモア動画が人気になるなど、PCゲームはドイツでそれなりの存在感を示している。

フランスはPCゲームが劣勢な国である。ユーザー数こそモバイル・家庭用とほぼ同じものの、市場シェアの面ではたった17%しか占めていない。この割合は、スマホゲームの22.4%より低いものである。一方、家庭用はフランスのゲーム市場の60%を占めている。[28]

PCゲームで頭角を現す国の一つとしてスウェーデンがある。Mojangが開発した『マインクラフト』が世界的な大ヒットを出したことをきっかけに、スウェーデンはPCゲーム強国の一つとして存在感を示すことになった。

他に有名なスウェーデンのPCゲーム開発会社は、『Europa Universalis』『Hearts of Iron』シリーズなど歴史戦略シミュレーションが主力商品であるParadox Interactive社、『Sanctum』シリーズ・『ヤギシミュレーター』などで知られているCoffee Stain Studioなどがある。また、スウェーデンでは外国系ゲームデベロッパーの子会社・スタジオも多く存在している。

スウェーデンのゲーム業界は、国内の内需だけでなく世界各国への輸出に多くの力を入れる傾向がある[29]。特に近年ではスウェーデン国内のゲーム市場規模(約31億ユーロ)よりも海外輸出額のほうが大きくなった。[29]
旧ソ連・東ヨーロッパ


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