パスカルの三角形
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ある段の端から2番目の数 p が素数のとき、その段の両端以外の数字は p の倍数となる。

さらに、パスカルの三角形を作成し、各数の倍数に色を付けると、右のような模様ができる。[1]
パスカルの三角形の倍数に色を付けると模様ができる。
歴史と名称朱世傑の四元玉鑑(1303年)における楊輝の三角形永楽大典』16344巻(1408年)より。
楊輝は賈憲(英語版)の『釈鎖算書』中の「パスカルの三角形」を引用した。

この三角形について確認できる最古の文献は、インド数学者ピンガラ(英語版)の著作に対して10世紀にハラーユダ(英語版)が書いた注釈『ムリタサンジーヴァニー』である。ピンガラの原文は断片的にしか現存していないが、ハラーユダはピンガラの Meru-prastaara『須弥山の階段』という言葉をパスカルの三角形のことだと解釈している。ハラーユダは、三角形とフィボナッチ数との関係についても理解していた。

中国では11世紀に数学者の賈憲(英語版)、13世紀に数学者の楊輝がこの三角形を研究しており、同国内ではこの三角形は「賈憲三角形」または「楊輝三角形」と呼ばれている。

ペルシアでは、アル=カラジ(英語版)とウマル・ハイヤームが研究しており、イラン国内では「ハイヤームの三角形」と呼ばれる。ハイヤームは、二項定理を含むいくつかの定理がこの三角形に含まれることを知っており、n 次の二項展開の係数を求める方法を知っていたと考えられる。

イタリアでは、三次方程式の解法で知られるニコロ・フォンタナ・タルタリアに因み「タルタリアの三角形」と呼ばれる。なお、「タルタリアの三角形」には 1 + 2 = 3 {\displaystyle 1+2=3} 4 + 5 + 6 = 7 + 8 {\displaystyle 4+5+6=7+8} 9 + 10 + 11 + 12 = 13 + 14 + 15 {\displaystyle 9+10+11+12=13+14+15} …

と続くもの、 3 2 + 4 2 = 5 2 {\displaystyle 3^{2}+4^{2}=5^{2}} 10 2 + 11 2 + 12 2 = 13 2 + 14 2 {\displaystyle 10^{2}+11^{2}+12^{2}=13^{2}+14^{2}} 21 2 + 22 2 + 23 2 + 24 2 = 25 2 + 26 2 + 27 2 {\displaystyle 21^{2}+22^{2}+23^{2}+24^{2}=25^{2}+26^{2}+27^{2}} …

と続くものもある。

ブレーズ・パスカル1655年に発表した『Traite du triangle arithmetique』の中でこの三角形について言及している。彼はこの中で今までに知られていた結果をまとめ、確率論の研究に利用している。

パスカルより後の数学者では、アブラーム・ド・モアブルらが「算術の三角形」と呼んでいる。
パスカルの三角形の拡張

パスカルの三角形は二次元以外に拡張が可能であり、一般に「パスカルの単体」と呼ばれる。

0次のものはただ一つの1である。これは0の0乗を表す。

1次のものは無数の1が並ぶ。これはただ一つの項 x を何乗しても係数は1で変わらないことを示す。

3次のものは三項展開における係数を三角錐状に並べたもので「パスカルのピラミッド(英語版)」「パスカルの四面体」「パスカルの三角錐」と呼ばれる(ただし、エジプトのギザの大ピラミッド五面体四角錐である)。パスカルの三角錐の頂点は1であり、それより下の段にはその上方に位置する三つの数の和を配置する。頂点から下る三本の辺にはそれぞれ無数の1が並ぶ。三つの側面はいずれもパスカルの三角形である。n 段目には x + y + z を n − 1 乗して展開した係数が三角形状に並ぶ。三角形の三つの頂点はいずれも1であり、三本の辺はいずれもパスカルの三角形の n 段目に等しい。三角錐の n 段目の数字の総和は 3n−1 である。

4次のものは五胞体状で3次元空間に描くことは不可能であるが、各段は三角錐状であるので描くことができる。三角錐の四つの頂点はいずれも1であり、六本の辺はいずれもパスカルの三角形の同じ段に等しく、四つの面はいずれもパスカルの三角錐の同じ段の三角形に等しい。三角錐の数字の総和は一辺の数字の総和の2乗に等しい。
脚注^ https://javalab.org/ja/pascals_triangle_ja/

関連項目パスカル三角形からなるシェルピンスキーのギャスケット.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}プロジェクト 数学ポータル 数学

二項定理

ライプニッツの調和三角形

シェルピンスキーのギャスケット - パスカル三角形の奇数と偶数を違う色で塗ったら、この図形のように見える。

シングマスター予想 - パスカルの三角形に関する予想。


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