パイロット_(航空)
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戦闘機パイロットの場合は、航空学生が部隊に配属されるまでには5年間で5億円程度がかかるとされる[16]。さらに部隊指揮や武器の取り扱いに関する部内資格を取得する訓練が別途必要となる。

新人副操縦士が国際路線の機長となるには7?8年がかかるとされる[17]。このため新型コロナウイルス感染症の世界的流行により航空需要が激減し客室乗務員の採用を停止した際にも、運航再開に備えてパイロット候補生の定期採用が続いている[18]

管制塔や他の航空機と交信する必要があるため、操縦資格とは別に総合無線通信士航空無線通信士など国際的に共通化された航空局の操作資格と航空英語の技能証明が別途必要となる。一部の国では操縦士の試験に含まれたり、国内での非商用飛行に限り資格不要(アメリカ)としているなど統一されていないが、外国で飛行するには無線資格と航空英語の証明が必須である(免許証等を携行する)。

操縦技量は飛行時間に比例するが、頻繁なタッチ・アンド・ゴーは燃料費や整備費がかさみ、事業に使用する航空機を訓練で占有するのが難しい。フライトシミュレータによる訓練も飛行時間に含まれるが制限がある。特に旅客機には機種ごとの限定ライセンスが設定されているが、実機による訓練が必要であるため個人が独自に資格を得ることはほぼ不可能である。このため多くの航空会社では軍のパイロットを中途採用するか、事業用操縦士を取得しチャーター便などで飛行時間を重ねた者を雇用し、費用を限定ライセンスの取得のみに抑える、あるいは他社のパイロットを引き抜くという採用方法が主流である[注釈 3]

現代ではオートパイロットの進化により離陸以外の操縦は自動化されており、定期路線を飛行するエアラインパイロットは操縦より管制官との交信、計器の監視、キャビンクルー(客室乗務員など)のマネージメントに多くの時間を割いており、大型船舶の船長のような管理職としての業務が多い。プロパイロット養成施設ではフライトコンピューターと地図を使用する旧来の航法の訓練が簡略化され、アビオニクスクルー・リソース・マネジメントに関する授業を行うなど訓練内容も変化している。

アメリカやオーストラリアなど天候が安定し広大な空域を確保できる国では、海外の航空会社や個人を受け入れる訓練学校が多く存在し、教育ビジネスとして成立している[19]

操縦のトレーニングで培った空間認識能力ロボットアームの操作などにも応用が利くという[20]
各国の資格と人数と状況

ICAOに加盟している国の資格の教育体系はおおむね共通であり、国外で取得した資格を自国の資格に切り替える事が可能である。また国際線の操縦士が目的地や経由地の国の資格を個別に取得しなくてもいいように、一時的に立ち寄る場合はICAO加盟国の資格であれは自国の資格を有すると見なす国が多い。

国際的には自家用操縦士事業用操縦士定期運送用操縦士が認定されているが、事情に合わせた独自の資格を設定している国もある。

操縦訓練は黎明期から民間のクラブが主体となっていたため、現代でも認可を受けた民営の訓練学校(フライトスクール)が主流であり、国立校を設置している国は少ない。一部の航空会社では自社養成している。軍のパイロットは訓練部隊で養成している。

資格証明証はパスポートクレジットカードのサイズが主流であるが様式は各国で異なり、顔写真を貼らない国もある。

ICAOでは上限年齢の目安を65歳未満としているが、人手不足により航空会社から緩和要請があるため、日本では68歳未満に改訂されるなど国によって異なっている。また高齢になると身体検査が厳格化される国もある[11]
アメリカ詳細は「:en:Pilot certification in the United States」を参照

2014年末の統計で男性操縦士が554,177人、女性操縦士が39,322人だった。

様々な分類法があるが、FAAの航空身体検査では

1st class - 定期運送用操縦士に相当。

2nd class - 事業用操縦士に相当。

3rd class - 自家用操縦士に相当。

の3つに分類されている[21]。アメリカでは以下のように制限付きの資格など細かな区分がある[22]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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