バーブル
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そして、モンゴルと呼ばれることを嫌悪し[111][70]、ティムールの子孫であることを強調した[70]

若年時のバーブルは禁欲的な生活を送っていたが、1506年にヘラートで開かれた宴席で初めてワインを飲んだ[112][113]。ヘラートでの体験以後バーブルは多量の酒を飲むようになり[114]、『バーブル・ナーマ』に宴会や酒にまつわる回想を多く書いた[115]。バーブルはワインを好んで飲み、一度だけ飲んだビールについては不味いという感想を残している[116]。1527年のラージプートとの戦いに際してバーブルは禁酒の誓いを立てたが、日記に禁酒の苦しみを書き表した[115]。果物に強いこだわりを持つ美食家でもあり、特にメロンを好んだ[117]

バーブルは文学と書物を好み、征服先の土地に所蔵されている書籍を接収した[118]。また、自然に対しても強い好奇心を持ち、動植物に対する詳細な記述を書き残した[95][119]。カーブルに建設した庭園の1つであるバーグ・イ・ヴァファーには、インドで採取したバナナの木やサトウキビが植えられた[29]。バーブルはインドの人間・自然に好ましくない印象を抱き、中央アジアの果実、氷、水がないことを歎息した[1][120]。多くの金銀を蔵する点、多種の職人が無数に存在する点には好意を持っていた[1][111]

バーブルには自慢好きな、やや短気な面もあった[121]。ある時バーブルは馬を引いてきた従僕の態度が悪いと腹を立てて彼の顔を殴りつけたが、薬指の付け根を脱臼してしまった[121]。その後3か月間字が書けず、弓も引けない状態が続いた[121]。時折残忍な性格も覗かせ、インド遠征の際に敵対するアフガン人の首を切り、首の塔を建てることが数度あった[122]
家族バーブル(右)とフマーユーン(左)[123]

1500年3月にバーブルは許嫁であるスルターン・アフマドの娘アーイシャ・スルターン・ベギムと結婚するが、バーブルは彼女とは十数日に一度しか会おうとせず、自伝には初めての結婚に対する困惑と気恥ずかしさを書き残している[124][125]。翌1501年にアーイシャ・スルターン・ベギムとの間に一女をもうけたが、娘は生後間も無く夭折し、バーブルとアーイシャ・スルターン・ベギムの関係は良くならなかった[125]。アーイシャ・スルターン・ベギムとの結婚と同じ時期、バーブルはバーブリーという名の少年に強く魅了され、衝動に駆られて街路や庭園をさまよい歩いた[126][127]

バーブルはアーイシャ・スルターン・ベギムの異母妹であるマースーマ・スルターン・ベギムと恋に落ち、1506年の冬にヘラートで彼女と結婚した[128]。マースーマ・スルターン・ベギムは娘を産んだ後に亡くなり、バーブルは彼女が残した娘に母親と同じマースーマという名前を付けた[129]

バーブルは早い段階から長男のフマーユーンを後継者として考え、生前に臣下にフマーユーンに王位を継承する意思を伝えていた[130]1520年/21年にバーブルは当時13歳のフマーユーンをバダフシャーンに総督として派遣し、息子を気遣ってフマーユーンの生母であるマーヒム・ベギムとともに任地まで付き添った[131]。パーニーパットの戦いの前にフマーユーンが初陣を飾った時の様子を、誇らしげに書き残した[132]

1518年/19年に実施したインド遠征中に生まれた息子には、テュルク語で「インドの征服」を意味するヒンダルと名付けた[51]。1522年/23年には次男カームラーンにスンナ派ハナフィー学派の教義を分かりやすく説明するため、チャガタイ語による韻文『ムバイイン(解説)』を著した[133]
父母

父:ウマル・シャイフ

母:クトゥルク・ニガール・ハヌム

兄弟

ジャハーンギール(異母弟)

ナースィル(異母弟)

ハンザーダ・ベギム(同母姉)

ミフル・バーヌー・ベギム(異母姉)

シャフル・バーヌー・ベギム(異母妹)

ヤードガール・スルターン・ベギム(異母妹)

ルカイヤ・スルターン・ベギム(異母妹)



アーイシャ・スルターン・ベギム

マースーマ・スルターン・ベギム

マーヒム・ベギム

グルルフ・ベギム

ビビ・ムバリカ

ディルダール・ベグム

など
男子

フマーユーン

カームラーン

アスカリー

ヒンダル

女子

グルラン・グルチフラ

グラザール・ベグム

マースーマ・スルターン

グルバダン・ベグム

主な著作

バーブル・ナーマ

『ムバイイン』

『アルーズ・リサーラス(韻律論)』

『504のリズム』


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