アメリカ合衆国では本作品と同日(2023年7月21日)に公開された『オッペンハイマー』(ユニバーサル・ピクチャーズ配給)と一緒に鑑賞する者が多いと報じられており、インターネット上では両方の映画のタイトルを合わせた「Barbernheimer(バーベンハイマー)」という造語(インターネット・ミーム)も誕生した[42]。詳細は「バーベンハイマー#日本の反応」を参照
しかし、この社会現象に乗じたファンがSNSにて原子爆弾やキノコ雲などを融合させた合成画像を相次いで投稿し、アメリカ合衆国のX(旧:Twitter)公式アカウントが「It's going to be a summer to remember(思い出に残る夏になる)」などと絵文字付きで返信したことから[43]、日本のユーザーから批判される事態となった[44][45]。これを受けて、日本国内の配給を担当しているワーナー ブラザース ジャパンは2023年7月31日に「極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社に然るべき対応を求めています」との声明を発表した[44][46]。
2023年8月1日(現地時間7月31日)、アメリカ合衆国のワーナー・ブラザースは全世界のプレス向けに声明を発表し、「ワーナー・ブラザースは、先の配慮に欠けたソーシャルメディアへの投稿を遺憾に思っております。スタジオとして心より深くお詫び申し上げます」と謝罪[47][48]。日本のメディアに対しては、同年8月1日に行われた本作監督のグレタ・ガーウィグ来日取材の現場に来ていた記者に対し、紙面で配布された[49]。問題となった投稿も削除された[50]。ただし、この発表はXや公式サイトで行われたものではなく、話題になった投稿以外の合成画像への反応の投稿に関しては数日間削除されなかった[51][52][53]。
本作監督のグレタ・ガーウィグはジャパンプレミアでの来日に際して行われたインタビューで本件に対し、「ワーナー・ブラザースが謝罪したことは、私にとって非常に重要なことです。発表がなされたことは、とても重要なことだと考えています」とコメントした[54][55][56]。
また、本作プロデューサーのデイビッド・ヘイマンはインタビューで本件に対し、「グレタ・ガーウィグ監督と私は共通して、ワーナーが会社として謝罪することが重要だと考えていました。映画そのものに関しては、普遍的なストーリーとして、いろいろな多様性のある人々がそれぞれの違いを受け入れるというものなのに、日本を含め世界でこうした形で話題になってしまったことを残念に思っています」とコメントした[56][57]。
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの幹部でアジア・西太平洋地域の事業責任者を務めているジェームズ・ギボンズは2023年8月8日に行われた日本経済新聞との取材において、「SNS上で起きた無神経な事件への関与を遺憾に思う」と述べ、謝罪した一方で「なぜ今回の問題が起きたと考えるか」という質問には回答しなかった[53][58]。 ベトナムでは2023年7月21日に本作品の公開が予定されていたが、同国での上映が急遽取り止めになった事が同月3日に報じられた。ベトナムの国営メディアによると、作中において、中国が一方的に主張している境界線「九段線」を示した地図が登場するシーンがあるため、同国政府が本作品の上映禁止を指示したとしている[59][60]。これを受けて、本作品の配給をしたワーナー・ブラザースは「何らかの主張を意図したものではない」との声明を出す事態になった[61]。 フィリピンでは2023年7月19日から本作品の公開を予定しているが、ベトナムと同様に九段線が描かれているとされる地図にぼかしの修正を入れるようにワーナーに要請したと同月12日に報じられた[62]。 中東では当初2023年7月19日に予定していた公開日を同年8月31日に延期した。エンターテイメント専門誌のバラエティによると、検閲当局からLGBTQ関連のナレーションや台詞などを編集するように求められているとされており、ワーナーは再編集に取り組んでいるものの、該当シーンをカットする見込みは低いとされている。このため、これらの地域で公開中止の可能性が高いと報じており[63][64]、実際にレバノンやクウェートでは政府が本作品の上映禁止を要請したことが発表されている[65][66]。
上映禁止・検閲