バートン・フィンク
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演 - ジョン・ポリト(峰恵研)キャピタル映画社の重役。かつてはキャピタルの株を取得しており、経営権を握っていた。
ベン・ガイズラー
演 - トニー・シャルーブ (谷口節千田光男)キャピタル映画社のプロデューサー。早口で口が悪い。
W・P(ウィリアム・プレストン)・メイヒュー
演 - ジョン・マホーニー(藤本譲小島敏彦)バートンの尊敬するハリウッドの小説・脚本家。重度のアルコール依存症で、実際にはほとんど脚本を書いていない。妻のエステルは精神病で、ファイエットビルに住んでいる。
オードリー・テイラー
演 - ジュディ・デイヴィス(小宮和枝佐藤しのぶ)メイヒューの秘書で、愛人。メイヒューのゴーストライターをしていたことがのちに判明する。
(メイヒューの叫び声)
演 - ウィリアム・プレストン・ロバートソン(声優)エンドロールで「the Golden Throat of...」とクレジットされている。
ガーランド・スタンフォード
演 - デイヴィッド・ワリロフ演 - ニューヨークの、バートンのエージェント。
デレク
演 - I・M・ホブソンブロードウェイのプロデューサー
リチャード・セント・クレア
演 - ランス・デイビデレクと会食していた男性。
ポッピー・カーナハン
演 - ミーガン・フェイデレクと会食していた女性。
チェット
演 - スティーヴ・ブシェミ荒川太郎青山穣)ホテルの不気味なフロントクラーク。フロントの地下で靴磨きをしている。
ピート
演 - ハリー・ブーギンホテルのエレベーターボーイ。
マストリオノッティ刑事
演 - リチャード・ポートナウロス警察の刑事。イタリア系。
ドイチュ刑事
演 - クリストファー・マーニーロス警察の刑事。ドイツ系。
公開

映画は1991年8月21日に北米で公開され、約600万ドルの興行収入を挙げた[1]。然しながら、興行的には『ミラーズ・クロッシング』に引き続き赤字となった。
評価

1991年度のカンヌ国際映画祭パルム・ドール監督賞男優賞を受賞した。同年度のアカデミー賞では助演男優賞美術賞衣装デザイン賞の3部門で候補になったが、受賞には至らなかった。カンヌでは上述のように主要3部門を制覇したが、これは映画祭の歴史上初めてのことである。カンヌ国際映画祭は伝統的に一つの映画に対し複数の賞を与えないようにしていたが、これ以降その規定がはっきりと明文化されることになった。本作は公開後批評家たちから絶賛された。観る者によって様々な深読みが可能な作品であり、多くの批評家たちが彼ら独自の観点からこの映画を語っている。著名な映画評論家であるロジャー・イーバートは、映画の美術デザインや主演のジョン・タトゥーロの演技を賞賛したものの、カンヌ国際映画祭で賞を総なめにしたことについては懐疑的な評価を下した。同時に彼は若干躊躇しながらも、1930年代から40年代にかけてのファシズムの台頭が、映画の重要な主題の一つとなっている可能性を示唆した[2]ワシントン・ポストの批評家リタ・ケンプリーは、本作品をその年で最高の映画の一つで、最も魅力的な作品であると絶賛した。彼女は映画のテーマについて、コーエン兄弟が感じているハリウッドからの疎外感を扱った自画像的な作品であると指摘した[3]。同じくワシントン・ポストの批評家であるデソン・ハウは、不吉な予兆と寓意に満ちたこの映画が、ヨーロッパから見た醜悪な新世界そのものであるように思えると述べた[4]
作品解説

コーエン兄弟が製作した四作目の映画で、2012年現在ではコーエン兄弟のキャリアを代表する作品だと認識されている。作家が陥るスランプを扱った本作品であるが、その構想は前作の『
ミラーズ・クロッシング』製作中にコーエン兄弟が脚本執筆に苦心した体験に基づいているとされる[3]

映画の舞台は1941年12月に設定されている。ベン・ガイスラーの指示でバートンが観ていた公開前のフィルム"Devil on the Canvas"には、カチンコに撮影日1941年12月9日と書かれていり、アメリカが日本に宣戦布告した翌日である。

映画のクレジットには「ロデリック・ジェインズ」なる人物が編集としてクレジットされているが、これはコーエン兄弟の変名であり、実際にはそのような人物は存在しない[5]

前三作で撮影監督を担当したバリー・ソネンフェルドが多忙であったため、コーエン兄弟は代わりにロジャー・ディーキンスを起用した。この作品から『ノーカントリー』まで、ディーキンスはコーエン兄弟の映画全てにおいて撮影監督を担当している。

制作背景に関わるインタビューにおいて、映画制作時にオットー・フリードリックの著書"City of Nets(1986)"を読んでおり、トーマス・マンウィリアム・フォークナーについて言及している。また空虚なホテルの舞台設定については、ジム・トンプスン (小説家)の"A Hell of a Woman(1954年)などの影響も受けていると語っている。[6]

一部の批評家は、映画の後半はバートンの妄想・夢だと推測しているが、監督はインタビューで否定している。「映画の後半はすべて夢に過ぎないと考える人がいますが、決してそういう意図はありません。私たちが不条理なストーリー展開を目指していたのは事実です。映画の雰囲気に主人公の心理状態を反映させたかったのです。(Some people have suggested that the whole second part of the film is nothing but a nightmare. But it was never our intention to, in any literal sense, depict some bad dream, and yet it is true that we were aiming for a logic of the irrational. We wanted the film s atmosphere to reflect the psychological state of the protagonist.)」[7]

劇中では、最後までオードリーを殺害した犯人が示されていないが、コーエン監督はインタビューで以下のように述べている。「誰がオードリーを殺したのかは誰にも分かりません。バートンは何度も無実を訴えていますが、私たちは彼が犯人である可能性を削りたくなかったのです。観客にできるだけ長く偽の手掛かり示すのは、典型的な犯罪映画の慣習の1つです。つまり、映画の最後までそれを曖昧なままにしておきたかった。しかしこれが意味するのは、犯人は彼の隣人であるチャーリーだということです。(No one knows what has killed Audrey Taylor. We did not want to exclude the possibility that it was Barton himself, even though he proclaims his innocence several times. It is one of the conventions of the classic crime film to lay out false trails as long as possible for the viewer. That said, our intention was to keep the ambiguity right to the end of the film. What is suggested, however, is that the crime was committed by Charlie, his next-door neighbor.)」[7]

関連項目

ベラスコ劇場
・・・冒頭、バートンの演劇"Bare Ruined Choirs"が上演されていたブロードウェイの劇場。

ロウアー・イースト・サイド・・・バートンが映画脚本で舞台としているマンハッタンの地区。当時、移民や労働者階級が住む貧民街であり、テネメントという集合住宅が多数存在した。

フルトン・ストリート(マンハッタン)・・・バートンの実家で、両親と伯父が住んでいる。かつてはフルトン魚市場があり、ブルックリンのフルトン・ストリートとは、フェリーで繋がっていた。

ウォーレス・ビアリー・・・ハリウッド黄金期に数多くの映画に出演し、アカデミー賞も受賞した俳優。カンザスシティ (ミズーリ州)出身。

Slave Ship(奴隷船)・・・1937年のウォーレス・ビアリー主演の実在の映画。メイヒューのバンガローの扉に、執筆中の映画タイトルとして掲げてあった。脚本はウィリアム・フォークナー。原作はGeorge S. Kingの「The Last Slaver」(1933)。[8]

ネブカドネザル・・・メイヒューがサインしてバートンに渡した自著のタイトル。旧約聖書のダニエル書に登場するバビロニアの王で、ユダヤ人を迫害した。フォークナーも「アブサロム、アブサロム!」という旧約聖書に関わる小説を書いている。またバートンが聖書を開いた時にたまたま見たページもダニエル書。[9]

George Pappas・・・アメリカの哲学者・大学教授。ジョージ・バークリーの哲学研究が専門で、認識的正当化に関する著書のほか、Marshall Swainとゲティア問題についての共同著作などを出版している。


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