バーチャル・リアリティ
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バーチャル・リアリティ/virtual realityは、もともとシュルレアリスムの詩人アントナン・アルトーが造語[45]した芸術用語であった。現在のような意味では「バーチャル・リアリティの父」[46][47]と呼ばれるジャロン・ラニアーらが普及させた。

「バーチャル・リアリティ」は、たとえば、人間が行けない場所でのロボット操作などの応用や、コンピュータ上の作り出す仮想の空間を現実であるかのように知覚させることなどに使用される。現実の光景にさまざまなデジタル情報を重ね合わせて表示する技術の拡張現実 (Augmented Reality) とは異なる。

1990年代はじめまで「人工現実感/artificial reality」という言葉があったが、「仮想現実/virtual reality」に押されて衰退した[48]
仮想現実バーチャルな自然である枯山水は仮山水とも書く[48]

英語の "virtual" は本来「厳密には異なるがほとんど同様の」という意味であり、「バーチャル・リアリティ」はその一例である。一方自然科学分野の文脈においては「物理的には存在しないもののそのようにみえる」という意味で用いられ、電子工学用語の仮想接地という用語の英文は「Virtual ground」と呼ばれている。実際に接地されているわけではないが、理屈上接地しているという概念である)。

「仮想」という言葉は、本来は「仮に想定すること」を意味するが(仮想敵/imaginary enemyなど)、コンピュータ関連の文脈においては、上記のような意味における "virtual" の訳語として用いられている(仮想ドライブ/virtual drive など)。よって"virtual reality" は「仮想現実」と訳される。

明治時代の日本では「強キ」「能アル」「ハタラキアル」などと訳されたが、物理学の学術用語として「虚」「假(仮の旧字体)」があてられ、虚像/virtual imageなどの言葉も生まれている。少なくとも1928年には『物理学用語新辞典』において「假想」の訳後が存在しており、その後定着したものとみられ、1972年に日本IBMがvirtual storageを「仮想記憶装置」と訳した際には、特に異論は出なかった[48]

しかし現在使われている「仮想」は原義よりも虚な感じがあり、誤解を与えかねない訳語であるとして別の訳語をあてるべきとの意見が1990年代半ば頃からある[48]。東京大学大学院教授(当時)の舘ワは、2005年の日本バーチャル・リアリティ学会第10回大会において、バーチャル・リアリティの訳語として、「現実」という語を提案した。はこのために提案された国字で、立心偏に實(実の旧字体)と書き、「ジツ」または「ばーちゃる」と読む[49][50][51]

その他の言語では、virtual realityに対し、簡体字では虚???(虚擬現実)、繁体字では?擬實境(虚擬実境)をあてている。

バーチャル・リアリティに関する感想
ASCII社の高橋幸治は2016年に「よくよく考えてみると、これまでのテクノロジーとメディアの歴史というのは、人間が <<ここ>> ではない場所の情報や <<いま>> ではない時代の情報を、なんとかして時空を超えて現前させようとする、まさに仮想現実を追い求めてきた結果。VR元年は実は人間の歴史とともに始まったと言えるような気もする 」
[52]と感想を述べた。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 2種以上の感覚器に連動し辻褄の合った刺激を与えることをクロスモーダルという[1]。クロスモーダル方式で各物ごとに複数の感覚で辻褄のあった感覚刺激を与えると、脳は "これは現実だ フィクションではない" といわば勝手に感じる。つまり "リアルさ" が格段に増す。

出典^ NTT docomo, ITトレンド用語、バーチャル・リアリティ
^ [https://www.merriam-webster.com/dictionary/virtual%20reality Merriam-Webster, virtual reality.
^ “米家電見本市「近未来」の仮想現実や自動運転が続々”. 産経ニュース (2022年1月5日). 2022年1月5日閲覧。
^ “ ⇒VRとは - IT用語辞典”. 2016年5月11日閲覧。
^ “「VR=仮想現実」ではない? VRの“第2次ブーム”で世界はどう変わる (1/3)”. 2016年5月11日閲覧。
^ “ ⇒Pygmalion's Spectacles”. Project Gutenberg. 2014年9月21日閲覧。
^ Sutherland, I.E.. “The Ultimate Display”. Proc. IFIP 65 (2): 506-508, 582-583. 
^ “ ⇒知覚的リアリティの科学 (2)バーチャルリアリティ――リアリティをつくり,変える技術”. 2016年5月11日閲覧。
^ .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}Cruz-Neira, C.; Sandin, D.J.; DeFanti, T.A. (1993). ⇒"Surround-Screen Projection-Based Virtual Reality: The Design and Implementation of the CAVE". Proceedings of SIGGRAPH '93 Computer Graphics Conference. SIGGRAPH '93 Computer Graphics Conference. ACM SIGGRAPH. pp. 135?142.


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