バージョン
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ライブ・バージョン(古くは「実況録音」)などと称する(詳細はライブ・アルバムを参照)。
演者自身が過去にスタジオで録音して発表した楽曲を、後日コンサート会場で生演奏してそれを録音したものを発表した場合、先に発表された元となる音源を「スタジオ・バージョン」などと称する。この場合にも、自分自身の既発表作品をライブで演奏する場合と、他の演者の既発表作品をそのライブで採り上げて演奏したカバーである場合もある。

既発表作品に対し、演者自身の歌や演奏の再録音をすることなく改変作業を施す。
アナログ・レコードの時代には、アルバムに収録された比較的演奏時間の長い楽曲をシングルカットする際に、1コーラス削る、イントロやエンディングを短くする、間奏をなくす等の編集を行い、演奏時間を短くしてリリースするという手法がとられることがあった(シングル・バージョン)。
また、再録音はせずにトラックダウン(ミックス)をやり直すなどした「リミックス」、マスターテープにまで遡って音質向上措置を施す「リマスター」などの作業によってもバージョン違いが生まれる。(詳細は「ミキシング」、「リミックス」、「マスタリング」などを参照)
この他、シングルとアルバムが同時発売もしくは発売日が近接している場合、シングルの価値を低下させない為などの理由から、アルバムにはバージョン違いを収録する場合がある(アルバム・バージョン)。

既発表作品にさらになんらかの演奏を付加する。
例)サザンオールスターズの楽曲「思い過ごしも恋のうち」は元々アルバム『10ナンバーズ・からっと』(1979年4月5日リリース)の収録曲で後にシングルカットされたが、その際、新田一郎アレンジのブラスセクションが新たにサビのバックに被せられた。

既発表作品にアレンジの異なったバージョンを後日改めて発表する。
例)ジャッキー吉川とブルー・コメッツの楽曲「草原の輝き」(1968年6月30日リリース)の場合、オリジナル・バージョンはティンパニーチェンバロの音のイントロで始まり、全体的にストリングスを強調したオーケストラ調のアレンジを絡めたアレンジとなっていたが、およそ2か月後に発表されたアナザー・ヴァージョン(同年9月1日リリース)はオリジナル・バージョンに対し、シンバルとドラムの音のイントロで始まり、全体的にグループ自身の演奏をより前面に押し出し、更にオーケストラ調のアレンジを極力抑えた形のバージョンとなった。ちなみにこの楽曲はオリジナル・バージョン、アナザー・バージョン共に筒美京平のアレンジによるものである。

特定ジャンルでの用法

レゲエのシングルレコードでは、多くの場合B面にはA面曲のオフヴォーカル(いわゆるカラオケ)が収録されている。多くのジャンルでは「インストルメンタル」「バッキング・トラック」などと呼ばれるのに対し、レゲエにおいてはこのカラオケを特に「ヴァージョン」と呼ぶ。
テイク

録音スタジオで演奏者が録音を行う際、ただ1回の演奏で完全なものが録音できることはごくまれであり、プロデューサーからOKが出るまで何度か同じ楽曲の演奏・録音が繰り返されることになる。

この、完成形ができるまでの間に録音された各音源は「バージョン」とは呼ばず「テイク」と呼ばれ、「テイク1」「テイク2」など「○回目の録音」という意味で呼ばれる。

ただしこの「テイク違い」の音源が、特定作品の再リリースの際に「ボーナス・トラック」のような形で収録されて公式に発表され、作品として流通した場合には「バージョン違い」として扱われる場合もある。
?エディション

特にアルバム単位で、オリジナル作品に一定の付加価値を与えて聞き手(買い手)にとってより魅力的なパッケージを制作して再リリースするような場合、「コレクターズ・エディション」、「リミテッド・エディション」などと称する場合がある(あくまでも販売戦略上レコード会社が任意で決める呼称であり、用法に定義・規則はない)。

これも広義の(楽曲単位ではなく「販売物」としてのアルバム単位での)別バージョンといえる。

この場合の付加価値とは、先に挙げたリミックス、リマスター等楽曲部分に対する音質向上措置、ライナーやブックレットなど添付物のグレードアップ、既発表音源のアウトテイクやライブ・バージョンなどの追加収録(ボーナス・トラック:作品によってはこの追加収録だけでCD1枚分もしくはそれ以上になる場合がある)、アナログ・レコード時代の装丁の復刻など、購買意欲を刺激するための様々なアイデアが盛り込まれる。
出版

出版業などでは、発刊された書籍は(ビジネス書、実用書、文学作品などその内容を問わず)装丁を替えたり、誤植を修正したり、加筆を加えたりしながら版を重ねる。書籍の場合一般に「第○版第○刷」といった表現が用いられ、「バージョン」という呼び方はされない。
ゲームソフト

1996年に任天堂がゲームボーイ用ソフトとして発売した『ポケットモンスター 赤・緑』が社会現象的な人気を博すと、同じ任天堂の『ゼルダの伝説 ふしぎの木の実』や他社の『メダロット』、『ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記』、『SDガンダム英雄伝』、『クロスハンター』など、『ポケモン』の販売方法を模倣した、携帯ゲーム機でバージョン違いのゲームを同時若しくはやや遅れて発売するやり方が1990年代末から2000年代初頭にかけて流行した。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ コンピュータ・ソフトウェアにおける「バージョン」は、出版業界における「版」の概念に近いが、出版物では「全面改訂」などでない限りは大規模な内容の変更は行われないのに対して、コンピュータ・ソフトウェアでは(出版物の誤字脱字に相当する)バグ修正(バグ・フィックス)に加えて、機能の追加や修正といった大規模な変更が頻繁に行われる傾向がある。
^ 提供開始後のソフトウェアにバグが発見されて適切な修正が可能になった時に、供給側からそのソフトウェアを使用している利用者に対して、多くの場合は無償でバージョンアップ用のソフトウェアが配布される。このような修正の内、小規模なものは修正パッチなどと呼ばれて、一般的なバージョンアップとは区別される傾向がある。こういったバグの修正を含んで機能向上なども行える場合には、時に有償による提供が行われる。大規模な更新などを行うもの主に指すが修正パッチを読み込むだけのものも含めて、利用者に手間を掛けずに自動的にバージョンアップ作業が行える「アップグレードツール」と呼ばれるソフトウェアがある。利用者は自らの使用しているソフトウェアのバージョンを管理しておき、新たなバージョンが提供を開始されれば、それを自ら入手して更新することが一般的であるが、一部のソフトウェア・メーカーはインターネットを経由して利用者側のソフトウェアのバージョンを把握して、新たなバージョンが配布段階になれば利用者の同意の元に自動的に更新作業を遠隔的に行えるようにしている。
^ 「エディション」で分ける例としては、マイクロソフト社のMicrosoft Windows XPには「Home Edition」、「Professional」、「Media Center Edition」といった機能の異なる複数のエディションが存在する。
^ 映画の場合の「リメイク作品」とは、自分の作品であるか他者のものであるかを問わず、過去に公開された映画をおおむね同一のプロットで(細かい点には変更が加えられることが多い)、監督、出演者などを違えてあらためて撮影・公開することを言う。

参照元^ リビジョンとは、ソフトウェアやハードウェア、規格などを改訂したり、修正したときの番号や版数を表わす。同様の意味を持つ言葉として、ソフトウェアの版数を表わす「バージョン」がある。厳密にはリビジョンとバージョンは意味が違うが、内容を更新するという意味合いにおいては、ほぼ同じと考えて差し支えない。KDDI - 用語集 - リビジョン
^ “ ⇒.NET Framework 4: Version Class”. Microsoft MSDN (2010年6月). 2011年2月25日閲覧。
^ “ ⇒Java SE Documentation: Appendix 2: Sun-Supported Specification-Version and Implementation-Version Formats”. Oracle. 2011年2月25日閲覧。
^Windows Vista以降の歴代WindowsのRTMビルドのビルドナンバーには法則があった事が明らかに 。気になる、記になる…
^ コンポーネントのバージョン管理

関連項目

アプリケーションソフトウェア

システムソフトウェア

オペレーティングシステム

コンピュータ

バグ

パッチ

バージョン管理システム

アップデート

アウトテイク

ディレクターズ・カット

カバー

セルフカバー

編曲

ライブ・アルバム


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