あまりにも長いため、タイ国民は最初の部分をとり『クルンテープ』と呼んでいる。タイ語は後置修飾が基本であるので、意味は後ろの節から訳し、以下のようになる。イン神(インドラ、帝釈天)がウィッサヌカム神(ヴィシュヴァカルマン神)に命じてお作りになった、神が権化としてお住みになる、多くの大宮殿を持ち、九宝のように楽しい王の都、最高・偉大な地、イン神の戦争のない平和な、イン神の不滅の宝石のような、天使の大都。
参考までにハース方式の発音記号(声調略)を挙げると、以下のようになる。なお、太字はラーイ詩形によって韻が踏んであるところである。[kru? theep mahaanakh??n am??nrattanakoosin mahintharaayutthayaa mahaadilok phop noppharat raatchathaanii burii rom udomraatchaniweet mahaasathaan am??n phimaan awataan sathit sakkathattiya witsanukam prasit]
この儀式的名称はラーマ1世が遷都の際つけられた。後のラーマ4世は「イン神の卓越した宝石」すなわちボーウォーンラッタナコーシン[注釈 5]の部分をアモーンラッタナコーシン[注釈 6]すなわち「イン神の不滅の宝石」と変更させた。[6]
その後、1916年いわゆるムアンをチャンワット(県)と呼ばせるようになる[7] とバンコク(現在のトンブリー地域を除く)は県庁在地のプラナコーン郡にちなんでプラナコーン県と呼ばれ、儀式上と行政上の名称が完全に分離した。
1971年のタノーム元帥は革命後、同年の12月21日の革命団布告によってプラナコーン県とトンブリー県を融合しナコーンルワンクルンテープトンブリー[注釈 7]と改称した[8]、さらに翌年の革命団布告によってクルンテープ・マハーナコーン[注釈 8]と改称された[9]。現在はこの略称としてクルンテープ[注釈 9](「天使の都」の意)がよく使われている。
日本語や英語で慣用されるバンコクの語は、「バーンマコーク[注釈 10]」が訛った「バーンコーク[注釈 11]」がさらに訛ったものである[10]。バーンマコークとは「アムラタマゴノキ[注釈 12]の水村」という意味である[10]。
一般にはアユタヤ王朝時代、トンブリー(チャオプラヤ川を挟んでバンコク中心部の対岸側)にある要塞に駐屯していたポルトガル傭兵団がこの地の地名を現地人に訪ねたところこの名前が答えとして返ってきたが、バーンコークは固有名詞ではなく普通名詞なのでこれが誤って広まり定着したとされる[11]。一方、17世紀のフランスの外交官、シモン・ド・ラ・ルベールは本当の名前であるトン(ブリー)を外国人から隠すためにわざとバンコクという名を用いているとしている[12]。いずれにせよ、外国ではこの地をバンコクと呼ぶことが定着した[11]。
なお、タイ語のバーンコークであるが、現在ではトンブリー側にある一地域を指す言葉であって、タイ語のバーンコークは外国語のバンコクではない。
日本語ではバンコック、バンコークとも表記される。また漢字表記は曼谷、盤谷の2通りがある。
歴史王宮高層ビル群を背景としたルンピニー公園バンコク中心部の高層ビル群