『バベル』(Babel)は、2006年のアメリカ映画。監督は、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。 2006年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、監督賞を受賞。菊地凛子が米映画批評会議賞新人女優賞を受賞した他 アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたの含めて7部門ノミネートされ作曲賞を受賞した。2006年10月にアメリカで、2007年4月末に日本で公開された。 イニャリトゥ監督の過去の作品と同じく、時間軸が交差する作品である。モロッコ、アメリカのカリフォルニア、メキシコのティフアナ、そして日本の東京と、遠く離れた地域の人物たちのそれぞれのストーリーが、ある事件をきっかけに交差する。 キャッチコピーは「届け、心。」、「神よ、これが天罰か。」。 バベルは『旧約聖書』創世記第11章にある町の名。町の人々は天まで届くバベルの塔を建てようとしたが神はそれを快く思わず、人々に別々の言葉を話させるようにした。その結果人々は統制がとれずばらばらになり、全世界に散っていった。この故事を背景に、「言葉が通じない」「心が通じない」世界における人間を描く。 ※括弧内は日本語吹替
概要
あらすじ
モロッコ
裏売買で父親が手に入れたライフルを羊を狙うジャッカルの退治に渡された遊牧民の兄弟。羊の放牧に出た正直な兄アーメッドと要領のいい弟ユセフは射撃の腕を競ううちに遠くのバスを標的にしてしまう。たがいに心の中に相手への不安を抱えながら、旅行でモロッコを訪れたアメリカ人夫婦のリチャードとスーザン。観光バスで移動中にスーザンは銃撃を受けて負傷、観光客一行は近くの村へ身を寄せる。リチャードは必死に救助を要請するが、一向に助けは来ず、バスに残された他の観光客たちとも不和が広がっていく。次第に事件が解明され、ライフルの入手元がモロッコに来た日本人の猟師であることが判明し、ストーリーが日本へとつながる。
アメリカ・メキシコ
リチャード・スーザン夫妻の家で子ども2人の世話するメキシコ人の使用人で不法就労者のアメリア。故郷のティフアナで催される息子の結婚式が迫るが、夫妻が旅行中のトラブルで帰国できず、代わりに子どもの面倒を見てくれるはずの親戚も都合がつかない。しかたなく彼女は子どもたちを結婚式に同行させる。式の後、甥のサンティアゴが3人をアメリカまで送り返すが、国境の検問所で子どもたちを不法に連れ込んだと見なされたのと飲酒運転がばれ、取り調べを受けそうになったところを強行突破してしまう。警察に追われ逃げ切れないと焦ったサンティアゴは、真夜中の荒野にアメリアと子どもたちを置き去りにしてしまう。
日本
千恵子は父と二人暮しのろう者の女子高生。母親を亡くした苦しみをうまくわかちあうことができない不器用な父娘関係に孤独感を深める千恵子だが、街に出ても聾であることで疎外感を味わっている。ある日、警察が父親に面会を求めて自宅を訪れるが、千恵子は刑事の目的を母親の死と関係があると誤解する。
出演
リチャード・ジョーンズ - ブラッド・ピット(松本保典)
スーザン・ジョーンズ - ケイト・ブランシェット(塩田朋子)
ユセフ - ブブケ・アイト・エル・カイド(津村まこと)
アーメッド - サイード・タルカーニ(木村良平)
アブドゥラ - ムスタファ・ラシーディ(原康義)
アメリア - アドリアナ・バラッザ(磯辺万沙子)
サンティアゴ - ガエル・ガルシア・ベルナル(小森創介)
マイク・ジョーンズ - ネイサン・ギャンブル(小林由美子)
デビー・ジョーンズ - エル・ファニング(川田妙子)
アンワー - モハメド・アクザム(落合弘治)
国境検問所の警官 - クリフトン・コリンズ・Jr(後藤敦)
国境警備隊隊員 - マイケル・ペーニャ
綿谷安二郎 - 役所広司
綿谷千恵子 - 菊地凛子
真宮賢治 - 二階堂智
千恵子が通う歯科医 - 小木茂光
日本人の声 - ミチ・ヤマト
スタッフ
原案・監督・製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
原案・脚本:ギジェルモ・アリアガ
製作:スティーヴ・ゴリン、ジョン・キリク
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
撮影監督:ロドリゴ・プリエト
編集:ダグラス・クライズ、スティーヴン・ミリオン
美術:ブリジット・ブロシュ
衣装:マイケル・ウィルキンソン
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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