“Detective Comics”#29(1939年7月)にユーティリティベルト、#31(1939年9月)にバットラング、バットモービル、バットプレーン(のちのバットウイング)が登場した。“Detective Comics”#33(1939年11月)にキャラクターの原点が掲載され、彼の両親の死によって行動するバットマンの陰気なペルソナを確立する2ページの物語が繰り広げられる。フィンガーによって描かれたそれは、強盗に殺された両親の殺人を目撃した若いブルース・ウェインであることが示唆されている。数日後、両親の墓石の前で子供が「私の両親の霊に掛けて、すべての犯罪者と戦争し、私の人生の残りをかけて彼らに復讐する」と誓う[15][16][17]。
1942年にはバットマンの背後にいるライターやアーティストがバットマンの神話の基本的な要素のほとんどを確立していた[18]。第二次世界大戦の次の年には、DCコミックスは「社会的な論評の陽気な少年ファンタジー」に賛成した。このアプローチの影響で、1940年代の「荒涼と威嚇するような世界観」は消え去り、バットマンは明るくカラフルな「社会のために行動する立派な市民」として描かれるようになった[19]。 本名はブルース・トマス・ウェイン (Bruce Thomas Wayne)。 大企業「ウェイン・エンタープライズ」のオーナーであり、ゴッサム・シティの億万長者、慈善家。幼いころに眼前で両親のトーマスとマーサを強盗に殺害され、以来執事のアルフレッド・ペニーワースに育てられる。表舞台では著名な慈善家として福祉や雇用拡大のために活動する一方で、裏では両親の命を奪った犯人への復讐と恐怖からバットマンとして戦う。 多くの心身共に強いヒーローとは異なり、彼は精神的な繊細さと葛藤を内包する人物像であることが特徴である。対外的には自由気ままで呑気な資産家を装っているが、その内面は自虐的・自嘲的かつストイックで、やや悲観的な現実主義者。全ての作品でトラウマに苦しみながら戦う。幼少期に洞窟で大量のコウモリに襲われた彼は、その後両親と観覧した演劇に登場したコウモリを怖がり、両親にせがんで劇場を途中退場した。その直後に強盗に両親を目の前で射殺され、「自分があと少し恐怖に耐えてさえいれば両親は死ななかった」という悔恨の念を今も抱える。多くを語らず、恋愛にも決して積極的ではないが、そのミステリアスな雰囲気はさまざまな女性から好意を抱かれ、結果として多くの恋愛を経験している(ただしそのほとんどは任務の一環や一時的なもので終わっている)。 ほとんどのスーパーヒーローと違って、バットマンはスーパーパワーを持っていない。彼は知恵と努力、武術、科学技術、莫大な富、脅迫、そして不屈の意志を駆使する。14歳から複数の大学で犯罪学・化学・法医学の知識を得るも、より実用的な技術を欲し世界各地を巡る。ヘンリー・ドゥカードからは犯人捕捉法、キリギ率いる忍びたちから忍術、アフリカの部族から狩猟技術、世界有数の暗殺者デビッド・カイン、ボクシング世界チャンピオンのテッド・グラントらから格闘技[20]、オリバー・クイーンことグリーンアローからアーチェリー[21]、ネパールの僧侶から地域伝来の治癒法、開業医から腹話術[22]を教わる。20歳でFBIに入ろうとするも法律に沿った活動に限界を感じ、ゴッサム・シティに帰還する。 犯罪者に恐怖を与える「恐怖の象徴」が必要であると考え、彼自身の恐怖心の象徴でもあるコウモリを元にするバットマンというアイデンティティーを作り、活動を始める。自宅である大邸宅「ウェインマナー」の地下には洞窟があり、そこを秘密基地のバットケイブにしている。事件が起こるとゴッサム市警本部に設置されたサーチライトのバットシグナルが雲に向けて照射される。作品によって異なるが、執事のアルフレッドや警察本部長のジェームズ・ゴードンというような人間の支援を受けてゴッサム・シティで活躍しているのはフォーマットとして共通している。 バットマンは固有の超人的な力を持っていない。彼は自身の科学的知識、探偵のスキル、および競技的な腕前に依存している[8][23]。バットマンは世界で最も偉大な探偵の1人、もしくは世界最大の犯罪解決者とみなされている[23]。DCユニバースにおける最大の武術家の1人であり、天才レベルの知性を持ち人間の限界まで鍛えたフィジカルコンディショニングを有する者として記載されている[24] 。
人物
能力と技術