データ量の削減とセキュリティーの向上のため、データ圧縮、暗号化および重複排除などの技術が併用されることが多く、バックアップソフトウエア・ハードウエアはこれら機能を実装していることも多い。仮想化技術、例えばテープライブラリをHDDで置き換える仮想テープライブラリという技術もある。なお、RAIDはアレー内のディスクの物理破壊にしか対応できず、論理破壊や自然災害の対策にはならないことに留意する。むしろ、これはバックアップではなく可用性を高める技術であると理解する必要がある。 実際の運用では、バックアップに比較して復旧の頻度は相当に低く、テストがおろそかになりがちである。いざという時に復旧できないのであれば高価なバックアップ装置は無駄であり、計画的な復旧テストを実施することはバックアップ計画以上に重要である。 リスクマネジメントでシステム停止の可能性と損害を洗い出し、かけられるコストを勘案して運用される。
データ復旧
データのベリファイ
意図したバックアップ計画通りに運用できているかを確認するのみならず、データが正しく読み出せることを定期的にチェックする必要がある。チェックサムでデータの一貫性をチェックすることが一般的な方法であり、その際にエラーが発生した場合はただちにメディアの交換とデータの再記録を検討する必要がある。必要であれば、遠隔地にて保管しているメディアも呼び戻してベリファイする。
機器のヘルスチェック
稼働時間、書き込み容量および平均故障間隔などを基準として、定期的に機器のヘルスチェックとメンテナンスを行うことが必要である。また、急な故障が発生しても復旧できるよう、普段から故障率をモニターして過不足ない機器交換計画の立案と予備品を調達しておくことも重要である。なお、磁気テープではおおよそのヘルスチェックが可能な機能がある。
復旧手順書の確認
復旧手順書が存在しない場合、管理者の異動や退職に伴って復旧できなくなる可能性がある。手順書を常に最新の状態に保ち、災害発生時でも簡単に取り出せる場所に保管しておく必要がある。
復旧訓練
機器故障あるいはサイトの火災・停電などを模擬し、実際の復旧訓練を行うことも重要である。思わぬ因子で復旧できなくなる可能性、例えば消火ガス噴射の衝撃音が大量のハードディスクとサーバを破壊したという例もあり[3]、想定外の因子に備えるためにも訓練が必要である。
システムのバックアップ
リスク分類と対処法
装置故障 - 部品劣化、電源障害(瞬停など)、作業ミス
対処法 - フェイルオーバークラスタ、冗長化、ホット/コールドスタンバイ
電源供給不足 - 停電
対処法 - 自家発電装置や無停電電源装置
サイトの機能不全 - 大規模災害、パンデミック、紛争、DoS攻撃
複数サイトにシステムを分散
出典^ a b 吉田幸春. “ファイル・バックアップとイメージ・バックアップって何が違うの?―いまさら聞けない、2つのバックアップ手法
^ “バックアップファイルを分割してDVDなどへ存出来るようにする
^ ⇒消防訓練で消火ガス噴射の衝撃音が大量のハードディスクとサーバを破壊
関連項目
冗長化
アーカイブ (コンピュータ)
ディスクのクローニング