2013年5月22日、独立機関の聖座財務情報監視局は、2012年の金融取引において6件のマネーロンダリングの疑いがあると発表した[26]。2013年6月28日には、現金4千万ユーロ(約52億円)を無申告でスイスからイタリアに運ぼうとしたとして、スカラーノ司祭がイタリア警察に逮捕された。2013年7月1日には、幹部2人が辞任に追い込まれた[27]。 バチカン職員の給与水準は、イタリア・ローマの平均給与よりもやや良いといわれている。独自通貨をつくらないため、以前はリラが用いられていたが、イタリアがユーロに通貨を変更した2002年1月1日以降、バチカンでもユーロが流通するようになった。なお、バチカン発行のユーロ通貨は、ユーロ圏ならどこでも使用することが可能であるが、切手はバチカン専用で、バチカンでイタリアの切手は使えない。 ローマ教皇庁が所有する自動車は「SCV」というナンバーがつく。この3文字の意味は「Stato della Citta del Vaticano(バチカン市国)」の略である。 かつては、バチカンを取り囲むように古い住宅がごみごみと立ち並んでいたが、1920年代にイタリアの実権を握ったベニート・ムッソリーニは、ラテラノ条約によるカトリック教会との和解を世界にアピールしようと、サン・ピエトロ大聖堂正面の家屋を大胆に撤去し、広い街路を敷いた。これが「和解の道 (Via della Conciliazione)」といわれる、バチカン市国前のメインストリートである。 ローマ市民たちは国際郵便を出す場合、イタリアの郵便局(ポステ・イタリアーネ)を通すよりも、バチカン市国内にあるPoste Vaticaneの郵便ポストから投函するほうが、格段に早くかつ確実に郵便物が到着することを知っているため、少し歩いてでも越境してバチカン内から投函する者も多い[29][30]。ただし、この場合イタリア発行の切手は通用しないため、バチカン市国発行の切手を貼付する必要がある。 バチカンの人口は832人(2011年7月推定値)[31]であり、彼らはバチカンの城壁内で生活している。バチカン市民のほとんどはカトリックの修道者であり、枢機卿・司祭などの聖職者と、叙階されていない修道士・修道女がいる。教皇庁で働く、修道者以外の一般職員は3000人にものぼるが、彼らのほとんどは市国外(すなわちイタリア)に居住し、そこから通勤している。またスイス人衛兵もバチカン市民である。衛兵の宿舎は市国内にあるが、市国外に住居を持って通勤している衛兵もいる。 聖座の外交官や各省庁の官職にある者は、教皇庁の公用の必要がある場合に、バチカン市国のパスポートを取得することができる。いわゆる外交パスポートに相当するものは、青色の表紙をしている。なお、一般のバチカン市国住民には市国パスポートは発給されない。イタリアとの間の移動、イタリアなどシェンゲン協定国間の移動にはパスポートは不要であるため、欧州連合内は自由に移動できる。 2003年末の時点で、バチカンの「居住権」(いわゆる「市民権」あるいは「国籍」)を保持する者は552名に及ぶ。そのうち61人が枢機卿、346名が司教、司祭などの聖職者である。101名がスイス人衛兵、44人が一般の職員である。全ての者がバチカンの居住権と併せて、従来の国籍も保持している(二重国籍)。 バチカン居住権は聖職者も含め、基本的にバチカンで職務についている期間に限って与えられる。教皇庁の職員の多数を占めるイタリア人職員たちには外交業務などにおいて特に必要がないかぎり、居住権は与えられない。また、バチカンの市民権は上記のように職務に対応する特殊な地位であるため、たとえバチカン市国内で出生しても出生地主義による国籍の取得はできない。 バチカン市庁における女性職員は600人程度で、カトリック信徒であることが必須であるが、初の女性職員は、1934年に採用されたフランクフルト出身のユダヤ教徒、ヘルミーネ・シュパイアーであった。2020年1月には教皇庁外務局次官にフランチェスカ・ディジョバンニが起用され、教皇庁において副大臣級初の女性起用となった。 バチカン市国は、国家自体が世界文化遺産の宝庫である。サン・ピエトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂など、ボッティチェッリ、ベルニーニ、ミケランジェロといった美術史上の巨匠たちが存分に腕をふるった作品で満ちあふれている。また、バチカン美術館とバチカン文書資料館には歴史上の貴重なコレクションが大量に納められている。なお、バチカンは1984年に世界遺産にも登録されている。 バチカンに定住している人々は、カトリック教会の聖職者国家という性格上男性がほとんどである。わずかな女性たちが職員として教皇庁で働くために、二つの女子修道会が支部を置いている。バチカンで働く聖職者たちは、枢機卿などの高位聖職者を除けばほとんどが修道会員である。 バチカンは聖地であるため服装規定がある。特に女性は観光客であっても、聖堂内に入るときなどに服装に気をつかうこと(ノースリーブの服なら上からなにかを羽織る、半ズボン禁止など)が求められる。 バチカンは巡礼者のみならず全世界から訪れる観光客でいつもにぎわっている。教皇は世界から訪れる信徒のために毎週日曜日には彼らの前でミサを執り行い、平日にも信徒と共に行う信心業や謁見(通常は毎週水曜)を行っている。復活祭などの特別な祝日には、サン・ピエトロ広場に姿を見せて世界に挨拶を送るのがならわしとなっている。 日付日本語表記現地語表記備考
その他
交通イタリア・ローマ市の「和解の道」からバチカン中心部を望む。「バチカン市国の鉄道」も参照
通信
国民と国籍
文化「バチカン市国 (世界遺産)」も参照
祝祭日
1月1日元日(神の母聖マリアの祭日)
1月6日主の公現(祭日)
2月11日ラテラノ条約締結記念日
3月19日聖ヨセフ(祭日)
3月-4月復活の主日(祭日)移動祝日
5月1日労働者聖ヨセフ(記念日)
5月主の昇天(祭日)移動祝日
6月キリストの聖体(祭日)移動祝日
6月29日聖ペトロ・聖パウロ(祭日)
8月15日聖母の被昇天(祭日)
11月1日諸聖人の日(祭日)
12月8日無原罪の聖マリア(祭日)
12月24日 - 12月25日主の降誕(祭日)
12月31日年越し
スポーツ
サッカー(英語版