ハンフリー・オブ・ランカスター
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一方、イングランドでボーフォート枢機卿一派の排除を画策、調停に動いた兄の工作により1426年バット議会で一旦矛を収めたが、兄が翌1427年にフランスへ向かうと枢機卿への讒言、ボーフォート派の更迭などを行ったが、いずれも諮問会議の反対で失敗、1435年に兄が亡くなり1437年にヘンリー6世が親政を宣言すると、国王の信任が厚い枢機卿らボーフォート派がイングランドの支配を確立、政争に敗れたグロスター公は百年戦争の対応を巡り抗戦派としてヨーク公リチャードらと結託、和平派のボーフォート派と対立した[2][3]

やがて和平派がヘンリー6世の周辺を取り囲むようになり、ヨーク公らが大陸派遣の命令で遠ざけられると孤立、1440年に和平派がフランスとの交渉進展工作として実行した捕虜のオルレアン公シャルル・ド・ヴァロワの釈放に反対したが受け入れられず、1441年に2番目の妻エレノア・コブハムがヘンリー6世を黒魔術で呪詛したとの疑いで逮捕され、大いに面目を失った。そして王妃マーガレット・オブ・アンジューやボーフォート枢機卿、サフォーク伯ウィリアム・ド・ラ・ポールら和平派の工作により1447年に逮捕され、同年2月23日に急死した(和平派に暗殺されたとも)。4月に枢機卿も死去、政界はサフォーク伯を中心に動いていった[2][4]

軽率な行動が多く不遇な生涯を送ったが、オックスフォード大学で学んだことがあり、文芸の保護に熱心で蒐集書は大学に寄贈され、現在のボドリアン図書館の元になるハンフリー公図書館(英語版)が創設された。また、イングランド商人に対して免税を推進したことがあり、商人層やロンドン市民からの人気は高く善良公(Good Duke)と呼ばれた[2][5]
結婚

1422年にエノー・ホラント・ゼーラント女伯ジャクリーヌと結婚、ジャクリーヌは1子を死産した後は子供ができなかった。ジャクリーヌは先夫ブラバント公ジャン4世と離縁しての再婚であったが、1428年にローマ教皇マルティヌス5世の勅書で先夫との結婚が有効でありグロスター公との結婚は無効であるとされた。同年、グロスター公は愛人でジャクリーヌの侍女だったエレノア・コブハムと再婚したが、1441年にエレノアは呪詛容疑で逮捕され終身刑の判決が下り、1452年に死ぬまで釈放されなかった[6]。嫡子が生まれなかったため、グロスター公位は断絶した。

ただし、2人の庶子がいる(母はエレノアとされる)。

アーサー(? - 1447年)- 父の死後5ヶ月後に反逆罪で逮捕[7]

アンティゴネ(? - ?) - タンカーヴィル伯ヘンリー・グレイと結婚

脚注^ 森、P214、尾野、P38 - P41、松村、P342 - P343、城戸、P258 - P262、ロイル、P161 - P162。
^ a b c 松村、P343。
^ 森、P214 - P216、尾野、P41 - P46、ロイル、P172 - P173。
^ 森、P216 - P219、尾野、P46 - P52、城戸、P210、ロイル、P178 - P181。
^ 森、P196 - P197、尾野、P41。
^ ロイル、P179 - P180、P427。
^ ロイル、P180 - P181。

参考文献

森護『英国王室史話』大修館書店、1986年。

尾野比左夫『バラ戦争の研究』近代文芸社、1992年。

松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。

城戸毅『百年戦争―中世末期の英仏関係―』刀水書房、2010年。

トレヴァー・ロイル著、陶山昇平訳『薔薇戦争新史』彩流社、2014年。

関連項目

イングランド・フランス二重王国

ウィリアム・シェイクスピアの史劇に登場する。

ヘンリー四世 第2部

ヘンリー五世 (シェイクスピア)

ヘンリー六世 第1部

ヘンリー六世 第2部

公職
先代
ヨーク公巡回裁判官
トレント川以南管轄
1416年 - 1447年次代
ヨーク公
先代
新設護国卿
共同:ベッドフォード公
1422年 - 1429年次代
消滅
イングランドの爵位
先代
新設グロスター公
1414年 - 1447年次代
消滅
先代
新設ペンブルック伯
1414年 - 1447年次代
サフォーク公

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