1959年、アメリカ合衆国のひとつの州となった。その植民地支配のためハワイアンの社会経済的地位は低下し、その影響は現在(2000年代)でも続いている[53]。「先住ハワイアン」と言われる民族は、約10万人程度である。しかし、これらの人々の中でも純血と言える人は稀である。現在、純血のハワイアンは約8,000人に満たない。先住ハワイアンのうち98%は混血である[54]。現在広く用いられているのは、1920年に成立した「ハワイ人住宅寄託法」で示された「キャプテン・クック来航以前にこの島々に住んでいた人々の血を50%以上引いていること」という定義である。先住民ハワイアンは州内人口の民族構成で5.9%に過ぎず、独自文化の存続を図るため、1980年にハワイ人問題事務局が設置された。2000年の米国内務省統計では、ハワイアン人口は全米で40万人強、そのうちハワイ州在住は約24万人、それ以外のハワイアンはカリフォルニア州居住が圧倒的である。ハワイアンはハワイ州総人口の約5分の1を占め、白人系、日系、フィリピン系に次ぐ集団となっている[53]。
1990年代からハワイ先住民による主権回復運動(ハワイ独立運動・ハワイアン・ソブンティ運動:自決権あるいは独立要求)が盛り上がっている[55]。 ハワイの伝統的な私立学校であるカメハメハ・スクールズは、先住ハワイアンの血を引く者のみしか入学できないというのが条件である。カメハメハ・スクールズはカメハメハ1世の直系の子孫であるバーニス・パウアヒ・ビショップが、遺言によって設立した私立学校であり、公的な助成金を一切受けておらず、また彼女の遺言によって先住ハワイアンの教育を旨とすべきことが学校の方針であった。 2003年にこの入学規定が非ハワイ人から「人種差別」だとして訴えられた[55]。2005年9月の連邦巡回控訴裁判所において違法との判決を受けた。この判決には先住ハワイアンのみならずハワイ社会全体から広範な反発が起きた。2006年12月、巡回裁判所における再審理の結果、原判決が破棄され、ハワイ人優先入学制度は違法でないとされた。 カメハメハ・スクールズは上級審で逆転勝訴したが、敗訴した原告の白人少年側は「カメハメハ・スクールズが入学を許可しなかったことで生じた学習の遅れに対する損害賠償」を求めて反訴する意志を示し、合衆国最高裁に再審理を要求したが、判決が下る前に両者の間で和解が成立した。同校は現在もハワイ人優先の入学制度を維持している。 人類学者の井上昭洋によれば、これらの裁判は、1990年代のハワイ先住民による主権回復運動に対する反発が根底にあり、アメリカ社会における反アファーマティブ・アクション(バックラッシュ)の流れと無関係ではないとされる[55]。 2009年12月28日、アメリカ合衆国下院天然資源委員会
カメハメハ・スクールズ裁判
先住ハワイアン政府再編成法
天然資源委員会内ではこの法案について、「先住ハワイアンによる民族政府の樹立は合衆国憲法に違反する」と、ドク・ヘイスティングス(英語版)下院議員を代表とする共和党員メンバーによって反対論陣が組まれてきた。
民主党員側では、ハワイ生まれのオバマ大統領を筆頭とする多数の議員、また先住ハワイアンだけでなく、アラスカ議会代表団、アラスカのインディアン、エスキモー団体がこれを支持している。
言語ハワイ州の公式言語は1978年憲法で承認された英語とハワイ語である。
ハワイ語
ハワイ語はポリネシア人であるハワイ先住民が伝統的に用いたオーストロネシア語族に属する言語である。現代では母語とする話者は少ない。しかし近年は地名表記などにおいて、ハワイ語発音での表記が増加している。
日本語
日系移民が多かったこともあり、かつては簡単な日本語なら理解できる者が多かったが、英語の普及と移民排斥により話者は減った。第二次世界大戦後は日本からの観光客が増加したため、ワイキキ周辺では日本語が通じることもある。
英語
ハワイは英国のキャプテン・クックにより「発見」されたため、当時から英語が補助的に使われており、アメリカに併合後も英語(アメリカ英語)が引き続き使われている。2008年のアメリカ地域社会調査では、5歳以上のハワイ州住人の74.6%が家庭で英語のみを話している[56]。併合後には日系移民の間でピジン英語が話されるようになった。
他
ヨーロッパ系住人はその母国語を話すものも多い。スペイン語を話す住民は2.6%であり、1.6%がその他のインド・ヨーロッパ語族の言語を話している。アジアからの出稼ぎ労働者によりアジア系言語の話者は21.0%おり、中国語、タガログ語(5.37%)、イロカノ語(4.05%)などである。0.2%は異なる言語を話している[56]。
宗教ハワイ州にある教会(1958年撮影)詳細は「ハワイの宗教」を参照
2000年時点で信徒がもっとも多い宗派はキリスト教であり、次に大きく離れて仏教であった。宗派別信徒数は以下の通りである[57][58]。
キリスト教:35万1,000人(28.9%)
仏教:11万人(9%)
ユダヤ教:1万人(0.8%)
その他:10万人(10%)
無宗派:65万人(51.1%)
その他の宗派としては、バハイ教、儒教、道教、ハワイ宗教、ヒンドゥー教、イスラム教、シーク教、神道、ゾロアスター教などがある。