繁殖様式は胎生。妊娠期間はナミハリネズミで34 - 49日[3]。インドハリネズミ類は1回に1 - 5頭、ナミハリネズミやオオミミハリネズミ類は1回に1 - 10頭の幼獣を産む[3]。 日本語では「ネズミ」と付くが、実際はモグラに近い。ミミズなどを捕食する。英語名のHedgehog(生垣のブタ)はブタのように鼻を鳴らしながら生垣をかぎ回ることに由来する。 ハリネズミは多くの文化において食材として扱われる。古くは古代エジプトなどで食用とされており、ヨーロッパ中世後期のいくつかのレシピでは、ハリネズミ肉の記載が残されている[6]。ユーラシア及びアフリカにおいては、ハリネズミは民間治療や呪術医による治療の材料として取引が行われている。中東の、特にベドウィンにおいてはリウマチと関節炎の薬として認められ[7]、結核からインポテンツまでさまざまな病気を治療する万能薬とも伝えられている。モロッコでは、焦げるまで焼いた皮膚や毛の煙を吸入することで、発熱やインポテンツ、尿に関する病気などに利くとされており、ハリネズミの血は白癬によるひび割れやイボの治療薬として利用される[8]。ロマの人々の間ではいまでもハリネズミが食用とされ、ボイルあるいはローストして食べられており、血と脂肪は民間治療的に用いられる[7]。1980年代のイギリスにおいて「ハリネズミ風味」のポテトチップスが発売されたことがあったが、この商品にハリネズミは含まれていなかった[9]。 ヨーロッパでは市街地にも生息し、生け垣や納屋などに住み着いたり庭や農耕地・芝生・花壇・堆肥などで獲物を探す[3]。民間伝承にも多く登場し、一例としてウシの乳を吸う・ヘビの毒に免疫があるなどといったものがある[3]。プリニウスは「棘に果実を刺して運ぶ」と記しており、同様の伝承は中国でも知られている[3]。 日本では、化石は発見されているものの、有史以後は分布しなかった。ただし現在は、ペットとして飼われていたと思われるものが、神奈川県の小田原市や静岡県の伊東市などに定着していることが確認されている[10]。日本では2005年12月にハリネズミ属が属単位で特定外来生物に指定(2006年2月施行)されている[11]。2015年にはハリネズミ属が属単位で環境省の生態系被害防止外来種リストにおける総合対策外来種のうち、重点対策外来種に指定されている[11]。2017年現在ヨツユビハリネズミを除くアフリカハリネズミ属・オオミミハリネズミ属・Mesechinus属が未判定外来生物に指定されている[11]。 バイオミメティクスの一例としてこの針の仕組みを応用したアメリカンフットボール用のヘルメットに使われる衝撃吸収材が研究開発されている[要出典]。
名前
人間との関係
出典[脚注の使い方]^ a b Rainer Hutterer, " ⇒Erinaceomorpha". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 212-219.
^ a b c d e f g Pat Morris, Amy-Jane Beer「ハリネズミ科」「ナミハリネズミ」「ヨツユビハリネズミ」本川雅治訳『知られざる動物の世界 1 食虫動物・コウモリのなかま』前田喜四雄監訳、朝倉書店、2011年、6-15頁。
^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t Andrew Wroot 「ハリネズミ」今泉吉晴訳『動物大百科 6 有袋類ほか』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、18-25頁。
^ 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 「食虫目・貧歯目・翼手目・有袋目全種名リスト」『動物大百科 6 有袋類ほか』、平凡社、1986年、156-176頁。
^ a b 阿部永 「モリハリネズミ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、130頁。
^ Pidd, Helen (2007年9月14日). ⇒“Roast hedgehog and nettle pud ? a slap-up feast for ancient Britons”. The Guardian (London). ⇒http://www.guardian.co.uk/britain/article/0,,2169066,00.html 2009年6月12日閲覧。
^ a b Qumsiyeh, Mazin B. (1996). Mammals of the Holy Land
^ Nijman, V. and Bergin, D. (2015). ⇒“Trade in hedgehogs (Mammalia: Erinaceidae) in Morocco, with an overview of their trade for medicinal purposes throughout Africa and Eurasia”. Journal of Threatened Taxa 7 (5): 7131. doi:10.11609/JoTT.o4271.7131-7. ⇒http://www.researchgate.net/publication/275461953_Trade_in_hedgehogs_%28Mammalia_Erinaceidae%29_in_Morocco_with_an_overview_of_their_trade_for_medicinal_purposes_throughout_Africa_and_Eurasia.