当時アメリカ経済の中心だった東海岸は天候が悪かった。当時の映画は、フィルム感度の問題から屋外のような明るい場所でしか撮影できなかった。電球などの照明はあったが、映画撮影を行うには十分な明るさを確保できなかった。そのため映画会社は、日が長く、地中海性気候のため夏にまばゆい太陽が輝くカリフォルニア州に次々に移っていった。また、まだ民族差別の激しかった時代の出演者やクリエイター達は、出自を偽ることが多かった。当時はまだ東海岸を中心にWASPがアメリカの支配層であり、イタリア系・アイルランド系・ユダヤ系などの真の出自を表に出してはスターにはなれなかったからである。
最初のハリウッドの映画スタジオは、1911年にネストール社が建てたものである。同じ年に、さらに15のスタジオが建てられた。
政治色を出すことに抵抗のないアメリカで、ハリウッドで活躍する俳優達は一般的にリベラルであるとされる。一方で共和党支持の俳優も多く、傾向として演技派の俳優が民主党寄り、アクション俳優が共和党寄りであることが多い。
ハリウッドサイン夕陽に照らされたハリウッドサイン詳細は「ハリウッドサイン」を参照
ハリウッド地区を象徴する看板「HOLLYWOOD」は世界的に有名である。晴れた日には40 - 50キロメートル離れたところからでも見える。この看板は、1923年に「HOLLYWOODLAND」という不動産会社の広告として、一文字が高さ14メートル(45フィート)、幅9メートル(30フィート)もある「HOLLYWOODLAND」という文字に、4千個の電球が取り付けられ、当時の金額で21,000ドルをかけて製作されたものだった。
広告の保守・管理が1939年にやめられたため、長年風雨にさらされ「LAND」の部分が破損、美観を損ねるため1949年に地元の商工会議所が一般からの寄付を募り、4千ドルを費やし破損した部分を撤去した。やがて残された部分も傷みがひどくなり、1973年に2万8千ドルの寄付を募ることにより全面改修を計画。1978年にハリウッド看板基金[注 2]が設立された。同年ヒューズ・ヘリコプター会社、パシフィック・アウトドア広告会社、ヒース看板会社が共同で元々の看板を解体、同じ場所に鉄骨造りで、現在の「HOLLYWOOD」の看板を建てた。
看板そのものはロサンゼルス市の管理下にあるが、土地はシカゴを拠点とする地主の私有地である。地主は不動産会社への売却を検討していた。それに対して、保存団体「ザ・トラスタ・フォー・パブリック・ランド」が2010年2月に売却阻止を狙って、買収資金1,250万ドルの募金集めを開始した。募金が目標額に達した場合には、土地を買収した上でロサンゼルス市に移譲し、隣接する公園に組み込む予定。[2] 2010年ごろから中国の映画市場は急拡大し、俗にいうチャイナマネーがハリウッドを席巻したことで、ハリウッドはチャイナマネー欲しさに中国向けに映画を撮ることが多くなった。中国企業の出資を受けた作品や中国映画市場拡大を受けて、中国への忖度で不都合なシーンカット、ストーリー変更など「中国を悪く描くことがタブー」となる中国の検閲に従ってきた。チベット問題関連などで中国批判をするリチャード・ギア、キアヌ・リーヴス、シャロン・ストーンもハリウッドで俳優としての価値とは無関係に干されるようになった。ハリウッドの中国への態度は批判されてきたが、2023年6月末にはアメリカ合衆国国防省は中国の検閲を許す作品への協力を拒むと発表した[3]。
エピソード
看板は最初「HOLLYWOODLAND」だった。しかし、英女優のペグ・エントウィスルが、映画「Thirteen Women(英語版)」の製作決定が取り消しとなったことに悲観し、1932年9月18日の夜に「HOLLYWOODLAND」の「H」に立てかけてあった作業用の梯子を使い、その上まで登り飛び降り自殺した。その後、自殺の原因を「HOLLYWOODLAND」の文字数がアメリカ文化では不吉とされる13にあるとみなされ、「LAND」の4文字が撤去され、現在の9文字になったと言われている。
特別なイベントなどがある時は、サインの文字を隠したり板を付け足したりして別の意味の言葉に変えることがある。
1991年公開の映画「ロケッティア」では、クライマックスでティモシー・ダルトン演じる映画俳優ネヴィル・シンクレア(実はナチスのスパイという設定)が、背中に背負ったロケットパックの燃料漏れに気付かずに点火して飛行し、ロケットの炎が漏れた燃料に引火し火の玉となって墜落した先が「HOLLYWOODLAND」の「LANDー」の4文字の上だったため、爆発して焼失したというオチとして用いられている。
批判
チャイナマネー問題
脚注[脚注の使い方]
注釈^ [?h?liw?d]
^ 英: Hollywood Sign Trust
出典^ ⇒[1] 【井上篤夫の眼-聖林百話】 3.いちじく畑が聖林になった・・・わけ
^ 「映画の都の看板守れ!」『日経産業新聞』2010年4月19日付
^ “「中国の検閲を受け入れる映画には協力しない」ペンタゴンが表明 中国に悩まされてきたハリウッドに異変が(デイリー新潮)