野菜や穀物であっても肥料に豚の糞などが使用された物は禁忌と解釈されることがある(特にシャリーアに規定があるわけではない)。
飲料に関する規則詳細は「イスラム教における飲酒」を参照
クルアーンにおいて飲酒は忌避すべきとされており、一般的にアルコール(飲料)はハラーム(禁止)になる。調味料などに含まれるアルコールは完全なハラームではない。サウジアラビアではイスラム教国家ではない国に住んでいる場合、含有率が3%未満の調味料や食品はハラームではないとしている。
保管された果物、発酵食品[19]、香料に含まれるアルコール成分など、醸造を意図しなくとも微量にアルコール成分が含まれる食品は珍しくなくそれらのアルコール成分をどこまで容認するかも人それぞれの考え方による。規則としてはその国家の制度による。食品以外の用途ではアルコール消毒が問題となったこともあるが、考え方は人や国により、アルコール消毒が容認されているケースは存在する[20]。
食品中のアルコールの認証の基準の具体例としてはマレーシア政府ファトワ委員会にて「醤油を含む果実、ナッツ、シリアルなどにおいて、製造時に発生する自然発酵アルコール成分はナジス(不浄)ではないとする。」、また「ワインを製造する目的で製造されてない軽い飲料はアルコール度数1%以下なら可。」としたケースがある[21][22]。なお、これはマレーシア政府の認証基準であり、イスラム社会全体でこの基準に沿っているわけではないことに注意したい。 豚を禁忌とするのは肉だけでなく、豚に由来する酵素や蛋白質にまで及ぶこともある。これは医薬品や化粧品などにも適用範囲が及ぶこともあり、実際にサウジアラビア、イラン、インドネシアなどでは法律で禁止されている。 現代の製薬業界において細菌の培養に必要な培地の生産に、豚由来の分解酵素が使用されていることは珍しくない。このため、非常に広範囲の医薬品がハラームである可能性があり、豚由来の分解酵素が使用されているかどうかは非常にわかりにくいためムスリムの間では難しい問題になっている。法学者ユースフ・アル=カラダーウィーは、前述のイスティハーラ理論に従い、豚由来の製剤をハラールと判断するファトワーを出しているが、いまだイスラム世界の統一見解とはなっていない。 また、国によっても態度が大きく異なる。サウジアラビアでは、医療に関しては比較的寛容な姿勢が見られ、代替品がないという条件付きで消毒用アルコールや豚由来製剤の使用を認めている。豚皮を使った人工血管の移植なども、他に術がなければ合法とのファトワーが出ている[23]。 しかしインドネシアではやや厳しく、2009年には聖地メッカを巡礼するために必要なワクチンの接種において、ワクチンの製造に豚の酵素を使用していたことが問題になった[24]。2000年にも、インドネシアの味の素で発酵菌の栄養源を作る過程で触媒として豚の酵素を使用していたために、日本人技術者1人を含む東ジャワ州モジョクルト 根拠となるクルアーンの記述には以下の物がある 日本では、国内に在住するムスリム向けの食材店が中心だったが、近年ではハラールフードを売り物にするレストランも登場している。 イスラム教圏(主にインドネシアやマレーシアといった東南アジア)から、訪日外国人旅行が日本へ訪日するにあたり、日本ではハラールに則った料理を出すことができる宿泊施設が非常に少ないことが懸念されている。そのため、豚肉の調理をしていない調理場を新たに設ける、アルコール消毒の必要がない紙皿でハラールフードを提供するなど工夫するホテルが登場している[25]。 また、近年増えているイスラム教圏からの留学生への対応として、東北大学・九州大学・山梨大学・国際大学などでは、学生食堂のメニューにハラールフードを追加する大学も現れている。全国大学生活協同組合連合会によると、2014年時点で、少なくとも日本の19の大学生協で、ハラール食が提供されているという[26]。
医薬品問題
根拠
第二章173
かれがあなたがたに、食べることを禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外の名で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。
第五章3
あなたがたに禁じられたものは、死肉、血、豚肉、アッラー以外の名を唱え殺されたもの、絞め殺されたもの、打ち殺されたもの、墜死したもの、角で突き殺されたもの、野獣が食い残したもの、ただしあなたがたがその止めを刺したものは別である。また石壇に犠牲とされたもの、籤で分配されたものである。これらは忌まわしいものである。今日、不信心な者たちはあなたがたの教えを打破することを断念した。だからかれらを畏れないでわれを畏れなさい。今日われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成し、またあなたがたに対するわれの恩恵を全うし、あなたがたのための教えとして、イスラームを選んだのである。しかし罪を犯す意図なく、飢えに迫られた者には、本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
第五章5
今日(清き)良いものがあなたがたに許される。啓典を授けられた民の食べ物は、あなたがたに合法であり、あなたがたの食べ物は、かれらにも合法である。また信者の貞節な女、あなたがた以前に、啓典を授けられた民の中の貞節な女も。もしあなたがたが(貞節な)女に姦淫や密通をせずに、きちんと婚資を与え妻に迎えるならば許される。凡そ信仰を拒否する者は、その善行も虚しく、来世においては、失敗者の類である。
第五章90
あなたがた信仰する者よ、誠に酒と賭矢、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である。これを避けなさい。恐らくあなたがたは成功するであろう。
第五章91
悪魔の望むところは、酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたがアッラーを念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎しまないのか。
第五章96
海で漁撈し、また獲物を食べることは、あなたがたにも旅人にも許されている。だが陸上の狩猟は、巡礼着の間は禁じられる。アッラーを畏れなさい。あなたがたはかれの御許に集められるのである。
第六章121
またアッラーの御名が唱えられなかったものを食べてはならない。それは実に不義な行いである。しかし悪魔は、自分の友を唆し、あなたがたと議論させようとする。あなたがたがもしかれらに従うならば、あなたがたは正に多神教徒である。
イスラム圏外でのハラール
日本