ハムレット
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

シェークスピアに直接影響を与えたのは、イギリスの劇作家トマス・キッド(英語版)が書いた『スペインの悲劇(英語版)』という1587年ごろ初演された戯曲とされている[7][8]

また、研究者が「原ハムレット」と呼ぶ現存しない戯曲があって、1580年代末にロンドンで初演されて人気があった作者不明の作品がおそらくシェークスピアの『ハムレット』の直接の下敷きであろうとされている[1][9]。「原ハムレット」の作者をトマス・キッドと推定する説がある[1][8][9]
登場人物

ハムレット(Hamlet):デンマーク王国の後継者。

ガートルード(Gertrude):ハムレットの母親。クローディアスと再婚している。

クローディアス(Claudius):ハムレットの叔父。ハムレットの父の急死後にデンマーク王位についている。

先王ハムレットの亡霊(King Hamlet, the Ghost):先代のデンマーク王。ハムレットの父。クローディアスの兄。

ポローニアス(Polonius):デンマーク王国の侍従長。王の右腕。

レアティーズ(Laertes):ポローニアスの息子。オフィーリアの兄。

オフィーリア(Ophelia):ハムレットの恋人。ポローニアスの娘。

ホレイショー(Horatio):ハムレットの親友。

ローゼンクランツとギルデンスターン(Rosencrantz and Guildenstern):ハムレットの学友。

フォーティンブラス(Fortinbras):ノルウェー王国の後継者。

オズリック(Osric):廷臣。ハムレットとレアティーズの剣術試合で審判を務めた。

あらすじ

王が急死する。王の弟クローディアスは王妃と結婚し、後継者としてデンマーク王の座に就く。

「父王の死」と「母の早い再婚」とで憂いに沈む王子ハムレットは、従臣から「亡き王の亡霊が夜な夜なエルシノアの城壁に現れる」という話を聞き、自らも確かめる。父の亡霊に会ったハムレットは、実は父の死は「クローディアスによる毒殺」だったと告げられる。

復讐を誓ったハムレットは狂気を装う。王と王妃はその変貌ぶりに憂慮するが、宰相ポローニアスは、その原因を「娘オフィーリアへの実らぬ恋」ゆえだと察する。父の命令で探りを入れるオフィーリアを、ハムレットは無下に扱う。

やがて、「王が父を暗殺した」という確かな証拠を掴んだハムレットだが、母である王妃と会話しているところを隠れて盗み聞きしていた宰相ポローニアスを、王と誤って刺殺してしまう[10]

さらに、宰相の娘オフィーリアは度重なる悲しみのあまり狂い、やがて溺死する。宰相ポローニアスの息子レアティーズは、父と妹の仇をとろうと怒りを募らす。

ハムレットの存在に危険を感じた王は、復讐心を持ったレアティーズと結託し、毒剣と毒入りの酒を用意して、ハムレットを剣術試合に招き、秘かに殺そうとする。しかし試合のさなか、王妃が毒入りとは知らずに酒を飲んで死に、ハムレットとレアティーズ両者とも試合中に毒剣で傷を負ってしまう。

死にゆくレアティーズから真相を聞かされたハムレットは、王を殺して復讐を果たした後、事の顛末を語り伝えてくれるよう親友ホレイショーに言い残し、この世を去ってゆく。
構成オフィーリア ジョン・エヴァレット・ミレー画(1852年テート・ギャラリー収蔵)

第一幕

第一場 - エルシノア城。その前の防壁の上。

第二場 - 城内。国務の間。

第三場 - ポローニアスの館。その一室。

第四場 - 防壁の上。

第五場 - 防壁の上、別の場所。


第二幕

第一場 - ポローニアスの館。その一部屋

第二場 - 城内の一室。


第三幕

第一場 - 城内の一室。

第二場 - 城内の大広間。

第三場 - 城内の一室。

第四場 - ガートルード妃の部屋。


第四幕

第一場 - ガートルード妃の部屋。

第二場 - 城内の一室。

第三場 - 城内の、別の一室。

第四場 - ガートルード妃の部屋。

第五場 - 城内の一室。

第六場 - 城内の、別の一室。

第七場 - 城内の、別の一室。


第五幕

第一場 - 墓地。

第二場 - 城内の大広間。


原書

ハムレットには三つの異なる印刷原本が存在しており、二つの四折版(quatro)をQ1とQ2、もう一つの二折版(folio)をF1と呼ぶ。

Q1(1603年、約2150行):短縮版を役者の記憶に基づき再現(マーセラス役の俳優を買収か?)した海賊版とされているが、現在では真正であり、Q2の原型ではないかと考えられている(安西徹雄の訳により光文社 から2010年に出版されている(ISBN 4334752012))。

Q2(1604年 - 1605年、約3700行):草稿版。真正かつ完全なる原稿であり、海賊版に対抗して(現在の説ではQ1の改訂版として)出版された。

F1(1623年、Q2の230行を削り、80行追加):演出台本版。劇団保管の演出台本にQ2を参考にして制作された。

有名な台詞
Frailty, thy name is woman.
これは、ハムレットが夫の死後すぐに義理の弟であるクローディアスと再婚した母・ガートルードに対する批難の台詞である。日本語では、
坪内逍遥などが「弱き者よ、汝の名は女」と訳したものがよく知られている。しかし、この訳文では弱き者とは即ち保護すべき対象を指し、レディーファーストの意と誤解をしばしば招くことがあり、坪内も後に「弱き者」を「脆(もろ)き者」と再翻訳している。なお、この台詞は当時の男性中心社会の中で、女性の貞操観念のなさ、社会通念への不明(当時のキリスト教社会では、義理の血縁との結婚は近親相姦となりタブーであった)などがどのように捉えられていたかを端的に表す言葉としても有名である。また、語呂の良さから、様々な場所で引用の対象とされる(例:松原正作の戯曲『脆きもの、汝の名は日本』)。
To be, or not to be, that is the question.
これは劇中で最も有名な台詞である。明治期に『ハムレット』が日本に紹介されて以来、この台詞は様々に訳されてきた。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:82 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef