ハプログループO-M122_(Y染色体)
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11人のうち、系統樹上の位置が詳細に解明されている1人の日本人男性(山口県出身のYGU234)のサブクレードは、O2a2b2a1b1-IMS-JST008425p6で、最も近い共通祖先は約10,800年前、主に中国東北部即ち旧満州、華北及び山東地区に分布し、中国全国の男性人口の約0.36%を占める[17]。民族別では満州族に比較的多い(21/2938 = 0.71%[18])。

佐藤ら(2014)ではO-P201(xM134)が日本人の3.8%(2390人中90人、最多札幌市成人男性206人中12人=5.8%、最少福岡市成人男性102人中2人=2.0%)に見られる[11]。現代日本人にはオーストロネシア語族と関連が指摘されているO2a2b2-F3237に属す者はほとんどおらず、O-P201(xM134)に属す日本人の大半がO2a2a1a1b-MF18110/FGC50590/FGC50625に属している。そのサブクレードには日本及び韓国で比較的多く観察されるO-MF114497/O-SK1702と、中国(の主に東部及び北部)及び韓国、タイ、カザフスタン(ドンガン人)で稀に観察されるO-MF14256があるが、両者の間には大きな隔たりがあり、その最も近い共通祖先は今より約12,750年前[19]或いは12,173(99% CI 16,073 ? 8,996)年前[20]に遡る。O2a2a1a1b-MF18110/FGC50625は、O-M159が最も近縁で、これは現代の中国南部で割と頻繁に観察され、中国全国男性人口の約0.80%を占める。両者の親グループであるO-CTS201の最も近い共通祖先は約16,070年前、更に、O-CTS201とO-M7の親グループであるO-CTS445の最も近い共通祖先は約16,090年前である[19]

古墳人にみられるO2(M122)系統Y染色体ハプログループは東アジア全体で見られ古人骨ゲノムデータの主成分分析では現代日本人と大陸集団との中間に位置し、縄文人弥生人よりも現代日本人との遺伝的親和性が高い。
日本国内における頻度

現代日本では平均して約20%の男性に観察される。[5][11]

Tajima et al. (2004)及びHammer et al. (2006)(両者は一部同じサンプルを使用している)のデータによれば、西日本で頻度が高い。

沖縄: 7/45 = 15.6%[21][5]

九州: 25/104 = 24.0%[21]

徳島: 15/70 = 21.4%[5]

静岡: 12/61 = 19.7%[5]

青森: 4/26 = 15.4%[5]

しかし、より大きな数のサンプルを集計したSato et al. (2014)によれば、地域による統計的有意性のある頻度の差が無く、一番頻度の高い長崎の学生と一番頻度の低い福岡の成人男性は両方とも九州の集団である。

長崎 (学生): 71/300 = 23.7%

大阪 (成人男性): 54/241 = 22.4%

金沢 (成人男性): 51/232 = 22.0%

札幌 (学生): 61/302 = 20.2%

札幌 (成人男性): 41/206 = 19.9%

全国合計: 470/2390 = 19.7%

金沢 (学生): 55/298 = 18.5%

徳島 (学生): 69/388 = 17.8%

川崎 (学生): 57/321 = 17.8%

福岡 (成人男性): 11/102 = 10.8%

逆に、Nonaka et al. (2007)のデータによれば、日本全国に於ける頻度は44/263 = 16.7%とやや低いが、Tajima et al. (2004)、Hammer et al. (2006)のデータと同様に、西日本でやや濃い分布を示している。

関東 (東京 n=51, 千葉 n=45, 神奈川 n=14, 埼玉 n=13, 茨城 n=5, 栃木 n=5, 群馬 n=4): 20/137 = 14.6%

沖縄: 18/87 = 20.7%(Y-STRにより推定)

名古屋: 45/207 = 21.7%(Y-STRにより推定)

西日本 (東海 n=24, 中国 n=16, 近畿 n=15, 九州 n=13, 長野 n=11, 四国 n=9, 北陸 n=7, 山梨 n=2): 23/97 = 23.7%

現代宮崎県出身男性1702名を対象にした研究では、9.52%(162/1702)がO-M122(xM134)に、9.05%(154/1702)がO-M134に、合計18.57%(316/1702)がO2-M122に属すという、全国平均と大差の無い結果が得られたが、父親または父方の祖父の代まで宮崎県出身だという者に対象を絞り、更に出身市町村に基づいて県北地域(延岡市・日向市・門川町・諸塚村・椎葉村・美郷町・高千穂町・日之影町・五ヶ瀬町)、県央地域 (宮崎市・西都市・国富町・綾町・高鍋町・新富町・西米良村・木城町・川南町・都農町)、県西地域(都城市・小林市・えびの市・三股町・高原町)、県南地域(日南市・串間市)に分けてみると、O2-M122が県北地域で13.8%(48/349)、県西地域で17.2%(50/291)、県央地域で21.3%(104/488)、県南地域で22.0%(31/141)という結果になり、数世代前の宮崎県に於いては、南東や海へ行くに連れてO2-M122の分布が濃くなり、北西や山へ行くに連れてO2-M122の分布が薄くなる傾向があった事を示唆している。[10]

Katoh et al. (2005)が関東地方にて採集したサンプルについては、16.2% (19/117)がO-M122に属している。[22] 1000人ゲノムプロジェクトによって東京都で採集されたサンプルJPT("Japanese in Tokyo, Japan")については、17.9% (10/56)がO-M122に属しているとPoznik et al. (2016)が述べている。[23]
サブグループ

ハプログループO系統の分岐については2020年4月16日改訂のISOGGの系統樹(ver.15.58)による[24]

O2(旧O3)(M122)[TMRCA 29100年前]:中国北部に特に多い。シナ・チベット語族モン・ミエン語族との関連が想定される。

O2a(M324)[TMRCA 23800年前]

O2a1(L127.1)

O2a1a(F1876/Page127)[TMRCA 12700年前]

O2a1b(IMS-JST002611)[TMRCA 12900年前]


O2a2(IMS-JS021352/P201)[TMRCA 23000年前]

O2a2a(M188)[TMRCA 18600年前]

O2a2b(P164)[TMRCA 19100年前]

O2a2b1(M134)[TMRCA 17400年前]

O2a2b1a1(M117,Page23)[TMRCA 12400年前]

O2a2b1a2(F122,Y20)[TMRCA 14400年前]


O2a2b2(AM08122/F3223/F3237)[TMRCA 14300年前]




O2b(F742)[TMRCA 24900年前]


O-F1876







O2a1a (F1876/Page127)

O2a1a1 (F1867) - 中国(初めは長江中流域から広がっていったと推測されており、現在は主に中国南部に分布しており、全国男性人口の約1.47%を占める
[25]

O2a1a1a (F2266) - 中国(湖南省[26][27]

O2a1a1a1 (L599) - 中国[28][26][27](男性人口の約0.78%を占めており、福建省、台湾、江西省、安徽省、湖北省、浙江省等に集中している[29])、台湾[27]、ベトナム[28][26][27]、シンガポール[26][27]、インドネシア(ジャカルタ都市圏[26]


O2a1a1b (F854) - 中国[28][26][27](中国の男性人口の約0.36%を占めており、比較的南部地域に分布が集中している[30]


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