ハバロフスク裁判
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当時のソ連側調査グループの通訳が語ったところによれば、被告人らは、予審で裏付け証拠のあるものは認めるが、証拠のないものは認めないという作戦をとったが、予審で認めたことを本審でひっくり返すようなことはほとんどなかったという[8]。最初の罪状認否で、梶塚隆二が一部罪状を否認したが、その他の者は罪状自体はほぼ認めている。

被告人らは有期刑のため、刑期中に亡くなった者を除けば、やがて釈放されるか、刑期未了の者も1956年の日ソ国交回復に伴って事実上釈放される形で日本に帰国した。とくにこれら帰国者の間から、取調にあたって拷問があったとか、裁判で罪なき罪を認めたといった声は聞かれない[9][10]

ロシア側は裁判の正当性を主張し、また、中国からは、細菌戦犯罪に対する史上初の国際裁判であったこと、当時の日本が細菌兵器を開発し、戦時中に使用していた事実を曝いたことを評価する意見[11]もある。ロシア側は資料について「国益を損なう内容がある」として一部を公開しているのみで全面公開していない[1][12]。2021年9月には「ハバロフスク裁判」に関する学術会議を開き、ウラジーミル・プーチン大統領が「歴史の改竄」を批判するメッセージを寄せ、これは歴史問題で日本を牽制するためだともいう[13]。2020年7月にはロシアで出版物やインターネットへの投稿などを対象に、ナチスとソ連を同列視することを禁じる法律も施行されている[12]
被告人、判決、服役

山田乙三関東軍司令官・大将)- 矯正労働収容所で25年間の監禁。1956年日ソ国交回復に伴って帰国。

梶塚隆二(関東軍軍医部長・軍医中将)- 矯正労働収容所で25年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

高橋隆篤(関東軍獣医部長・獣医中将)- 矯正労働収容所で25年間の監禁。1952年、脳出血で死去。

佐藤俊二(関東軍第5軍軍医部長・軍医少将)- 矯正労働収容所で20年の監禁。1956年日ソ国交回復に伴って帰国。

川島清(第4部/細菌製造部部長・軍医少将)- 矯正労働収容所で25年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

柄沢十三夫(第4部細菌製造課課長・軍医少佐)- 矯正労働収容所で20年間の監禁。1956年、所内で自殺。

西俊英(教育部長兼孫呉支部長・軍医中佐)- 矯正労働収容所で18年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

尾上正男(731部隊海林/牡丹江支部長・軍医少佐)- 矯正労働収容所で12年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

平桜全作(100部隊研究員・獣医中尉)- 矯正労働収容所で10年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

三友一男(100部隊隊員・軍曹)- 矯正労働収容所で15年間の監禁。1956年の日ソ国交回復に伴って帰国。

菊地則光(731部隊海林/牡丹江支部支部衛生兵・上等兵)- 矯正労働収容所で2年間の監禁。1951年に釈放。

久留島祐司(731部隊林口支部衛生兵・実験手)- 矯正労働収容所で3年間の監禁。1952年に釈放。

収容先はいずれもイヴァノヴォ州レジニェヴォ地区(ロシア語版)チェルンツィ村(ロシア語版)のイワノボ将官収容所であった。
証人

古都良雄(731部隊元隊員)

堀田主計中尉(731部隊ハイラル支部)

佐々木幸助

橘武夫(チャムス憲兵隊長)

倉員悟(ハルビン憲兵隊)

畑木章

裁判官

D.D.チェルトコフ (議長法務少将)

M.L.イリニツキー (委員法務大佐)

I.G.ヴォロビヨン (委員法務中佐)

検察官

L.N.スミルノフ

弁護士

N.P.ベロフ

S.E.サンイコフ

A.V.ズベレフ

N.K.ボロヴィク

P.Ya.ボガチョフ

V.P.ルキヤンセフ

D.E.ボルホビチノフ

G.K.プロコペンコ

批判

ソ連極東地域、特に日独のシベリア抑留捕虜についての研究を行っているエレーナ・ボンダレンコは1993年に執筆した学術論文の中で、このハバロフスク裁判について国際法違反だと述べている[14]
参考文献

『細菌戦用兵器ノ準備及ビ使用ノ廉デ起訴サレタ元日本軍軍人ノ事件ニ関スル公判書類』外国語図書出版所、
モスクワ、1950年(公判書類の翻訳[15]。ソ連・ハバロフスクで発刊されたソ連文書)原著(ロシア語)Материалы судебного процесса по делу бывших военнослужащих японской армии, обвиняемых в подготовке и применении бактериологического оружия Гос. изд-во полит. лит-ры, 1950年[16]


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