一方、オーストリアの動物行動学の権威、コンラート・ローレンツはその著書『ソロモンの指環』の中で、平和の象徴とされるハトの別の一面を紹介している。2羽のハトを一つの鳥籠に入れて外出したところ、籠の中でハトが喧嘩を起こし、互いに死ぬまで決して戦いを止めようとはしなかった、というもので、こうした「ハトの喧嘩」は戦い方を知らず致命打を与えられるほどの武器も持ち合わせていない動物ほど、いざ争いを始めた際には戦いに慣れた肉食動物以上に凄惨な殺し合いに発展する、という事例の典型例として引き合いに出される。
国・地域ごとの状況
日本第一次世界大戦を終結させたヴェルサイユ条約締結を記念して日本で発行された3銭切手(大正8年 (1919年))
日本では鳩が八幡神の神使とされてきた。八幡神は軍神なので平和とは結びつかず、武士の家紋ともなった[4]。第二次世界大戦後に西洋での鳩のイメージが入ってきて、タバコのピースのデザインのような平和のシンボルと言うイメージが定着した。十銭紙幣A号券(昭和22年 (1947年))
日本の童謡の代表的なものの一つとして『鳩』が挙げられる。また、瀧廉太郎は『鳩ぽっぽ』という童謡を作曲している。
「鳩に三枝の礼あり(仔鳩が親の恩を感じ三つ下の枝に止まる故事より、礼儀を重んじることの重要性)」「鳩に豆鉄砲(突然の出来事に、あっけにとられた様子)」「鳩を憎み豆を作らぬ(些細なことに拘って肝心なことが疎かになる愚かしさや弊害)」など諺でもお馴染みである。
ハトの名前は特急「はと」という列車名に用いられたことがある他、日本テレビのジャンクション『鳩の休日』にも開局以来ハトが登場している。また、神奈川県の銘菓の一つに「鳩サブレー」というハトの形を模した菓子も存在している。平和堂フレンドマート彩都店郷土玩具のあけび鳩車
企業名やシンボルマークでハトにちなんだものとしては、例えばはとバスや、イトーヨーカ堂のロゴマーク(真上に青と真下に赤の中間にシロバトの位置)、同社傘下のスーパーマーケットであるヨークマートのマーク(ヨーカ堂での青部分が緑)、全国宅地建物取引業協会連合会のシンボルマーク、全国引越専門協同組合連合会が存在する。滋賀県を中心に展開するスーパーチェーンの平和堂のロゴマーク(赤い背景に前にシロバトと後にアオバトの位置)として親しまれていたこともある。後述の外国語名から取られた企業名として、ベビー用品メーカーのピジョン、ガス機器メーカーのパロマなども挙げられる。
日本では1980年代あたりから都市部を中心にハトによる糞害が多発し、問題化している。鳥の糞にはヒトに肺炎を起こすオウム病、クラミジア(原虫)やクリプトコッカス(カビの一種)を含んでいることがあり、[5][6]特に大群をなすハトはそれを排出しやすい。公園などでの餌付け行為は禁止されている[7]。それでも鳩への餌やりを止めない人もおり、東京都の荒川区や大田区のように罰則付き条例で禁止する地方自治体もある[8]。ハトの食べ残しはネズミも呼び寄せる弊害もあるため禁止条例を求める動きは他地域にも広がっており、大阪市にように餌やり禁止でなく事後の清掃義務付けを規定した例もある[9]。
金沢駅(石川県金沢市)では糞害対策として鷹匠に依頼して鷹で鳩を追い払うパトロールが定期的に行われている[10]。 中華人民共和国(中国)では鳥を放つと幸運が訪れるという民間信仰があり、祭事・祝い事の際にはハトを放つ習慣があったが、現在では都市部でハトが繁殖してしまっているため、放鳥が禁止されている地域もある。
イングランドという観賞用のハトの品種群が存在する。
中国