ハイビジョン
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しかしこのハイビジョンテレビは各家電メーカーとも最上級モデルに該当するため、初期の薄型テレビと同じく非常に高価(市販化直後の1989年 - 1990年代前半は100万円台[5]、末期の1999年頃で20 - 40万円台[6])であった[注 2]三洋電機が1992年ごろ販売した「帝王」は、MUSE-NTSC変換デコーダーを内蔵したことにより、アナログハイビジョンを4:3画面(NTSC仕様 よってレターボックス16:9と同じ)に変換して視聴できるシステムを取り入れ、推定8万台を売り上げたとされている[7]

また、MUSEデコーダは内蔵していないもののハイビジョン対応のコンポーネント端子あるいはD3(1080i)以上のD端子を搭載した高精細度放送対応のテレビでは、内蔵もしくは単体のBSアナログチューナーと単体のMUSEデコーダとを「AFC端子」と「検波端子」に接続した上、コンポーネント端子でテレビに接続することで同様に視聴することができた。

2000年以降に発売されたD3以上のD端子を搭載したテレビでも、BSアナログチューナの各端子からMUSEデコーダーを介してD端子に接続することで敢えてBSアナログハイビジョン(BS9ch)を視聴することも理論上できたが、殆どがアナログハイビジョンの1035iに対応せず1080iで表示するため画角に変動が生じ、放送内容もNHKデジタル衛星ハイビジョンと同一(サイマル放送)となっていたため、W-VHSやハイビジョンLDを現役で併用する者以外では実用性に欠けたものであった。

従来の標準画質480i)のみ対応のテレビやビデオで視聴する場合、BSアナログチューナーに「M-Nコンバータ」あるいはM-Nデコーダ内蔵のMUSEデコーダを「AFC端子」と「検波端子」の両方に接続することで疑似NTSCで変換出力され、視聴・録画することができた。ハイビジョンテレビによってはM-Nコンバーターを内蔵せず、録画の際には別途M-Nコンバーターが必要な機種もあった。

なお、「検波端子」はアナログWOWOWの視聴時にスクランブル解除用のWOWOW(JSB)デコーダなどと接続する際にも必要となるため、殆どのBSアナログチューナー内蔵テレビには搭載されているが、チューナー内蔵型のビデオデッキの一部やPSXには搭載されていないため接続には注意が必要であった。

「MUSEデコーダー」・「M-Nコンバーター」は「BSデジタルチューナー」の市販化に伴い1999年から2000年にかけて各メーカーで生産が打ち切られた。その後、アナログハイビジョン放送の終了に伴い必然性は大きく薄れているが、数少ないハイビジョンLDの再生にあたってはMUSEデコーダが必要となる。

当初はMUSE方式での有料放送の計画もあり、有料放送を見るために必要な「MUSEデスクランブラー」の発売も予定されていたが、デジタル放送開始などもあり、アナログハイビジョンでの有料放送は実現せず、MUSEデスクランブラーも発売されなかった。
アナログハイビジョン放送(BSアナログ9ch)について詳細は「ハイビジョン試験放送」を参照
デジタルハイビジョン
概説

NHKはハイビジョンを世界の統一規格にすることを目指し、欧米で精力的な標準化活動を続けたが、政治的その他様々な理由から、日米欧はそれぞれ異なる方式でHDTV放送を行うことになった。

またアメリカではHDTVの開発をデジタル放送方式で行うことになり、ヨーロッパもこれに追従したため、日本でも放送のデジタル化が推進されることとなる(→デジタルテレビ放送)。

このため、HDTVアナログ放送であったBSハイビジョン放送は、使用中の放送衛星であるBSAT-1の設計寿命が尽きる2007年(平成19年)9月30日をもって終了した。

なお、デジタルHDTVであっても、ベースバンドの映像制作・蓄積に於いてはアナログハイビジョンのために開発された技術が使われているため、アナログ時代に制作されたハイビジョンHDTV素材は簡単な処理を経てデジタルハイビジョンで放送可能である。

アナログハイビジョンであるMUSE方式との間には、ベースバンド信号として、以下の大きな差異がある。

フィールド周波数

MUSE:60.00Hz

Digital HDTV:59.94Hz


有効走査線

MUSE:1,035本

Digital HDTV:1,080本


タイムコード

MUSE:NDF(non-drop frame)

Digital HDTV:DF(drop frame)


これらの差異は過去の素材を活用する際に、互換性の点で問題になる場合がある。
デジタルハイビジョン放送

日本において、デジタルハイビジョンの放送用伝送規格としてはISDBが策定・運用されている。衛星放送ではISDB-S[注 3]、地上波放送ではISDB-Tと呼ばれる。ISDBはあくまでデジタルハイビジョンの放送を含むテレビ放送全般の規格であって、「ISDB=ハイビジョン」という意味ではない。したがってISDBには従来の標準画質規格の放送規格[注 4]も含まれている。画質(解像度とは別)は伝送レートに依存し、伝送する側(放送局側)の事前の設定次第で変化する[注 5]。伝送レートの変更(違い)は実際の放送上では概ねチャンネルごと(放送局ごと)程度にまとめられた設定で運用されていて、例えば番組ごととかCMごとにレートが変化するような運用は特別な事情がない限り行われていない[注 6]

BS・CSデジタル放送は主にハイビジョン(通称:2K)での放送であるが、スカパー!の一部の放送局は標準画質での放送となっている。2018年12月より4K・8Kテレビ放送が始まった。

スカパー!プレミアムサービス(東経124・128度)においても2008年(平成20年)10月1日よりハイビジョン放送が開始された。

地上デジタルテレビ放送でも一部チャンネルを除きハイビジョンで放送されている。

標準画質のカメラで収録した番組はアップコンバート(解像度の変換を行い標準画質の映像をハイビジョン信号として放送すること)を行った映像が放送される。これはBSデジタルでも同様。この番組を16:9画面サイズのテレビで見た場合、4:3サイズの映像部分が中心部に表示され両端にサイドパネルが表示される。但しこの形式の放送信号を4:3画面サイズで見た場合、付加情報で4:3画角情報が付かない場合は額縁のように映る現象が起こる。4:3画角情報が付いた放送信号の場合は両端のサイドパネルが見えない状態までズームされた形で4:3画面全体に表示される。


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