ハイビジョン
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デジタルハイビジョンテレビに関するJEITAの定義[8]

ブラウン管方式の場合、1125i(有効走査線1080i)および750p(有効走査線720p)をフルデコードして、1125iまたは750pで表示できることが条件となる。しかしながら民生品のブラウン管テレビにおいては電子線を高精度に走査することを長期間にわたって維持することは困難であるため、一般にオーバースキャンが行われている。このため送られてくる映像のうち上下左右の端は画面の表示領域外に追い出されており、画面に表示されているものは送られてきた映像のうち9割ほどである。なお、ブラウン管のスリット数は必ずしも横方向の解像度を表すものではない。

液晶ディスプレイプラズマディスプレイなど固定画素方式の場合、1125iおよび750pをフルデコードして垂直画素数650以上で表示できることが条件となる。このため、ハイビジョン信号の表示が可能なXGAパネル(1024×768 正方画素)を搭載したテレビはハイビジョン映像入力時にはレターボックス表示により、映像部分の実質解像度は1024×576相当になるため「垂直画素数650以上」を満たしておらず、フルデコード対応デジタル放送チューナを内蔵していてもデジタルハイビジョンテレビの定義からは外れることになる。

デジタルハイビジョン放送では画素数 1920×1080(横×縦、正方形画素)または1440×1080(横長の長方形画素)[注 7]が主流である。画素数が1366×768あるいは1280×720のパネルもハイビジョンパネルと称してはいるが、1080iを表示する際には画素数を約半分に減らすスケーリング処理が行われる(この際にオーバースキャン処理が行われることがある)。画素数が1920×1080以上のハイビジョンパネルは、1080iをスケーリングすることなくドットバイドット(Dot by Dot)での表示が可能である(多くの場合デフォルトはオーバースキャンになっているため、ユーザーがドットバイドットに切り替える必要がある)。これらのパネルもしくはこれを採用した機種はフルを付けてフルHD、フルハイビジョン、フルスペックハイビジョン等と呼称されることが多いが「解像度だけを以てフルスペックと呼んでいいのか」等について議論があることから統一された呼称は定義されていない[9]

表示領域はメーカー間で異なるだけでなく、同一メーカー内でも統一されていない。また、同じテレビであっても表示している映像の明るさによって表示領域が大きく変動してしまうこともある[注 8]

なお、デジタルチューナーは搭載しているが、表示においてハイビジョンの条件を満たしていない場合は単なる「デジタルテレビ」となる。パネルの解像度が640×480または854×480であるにもかかわらずデジタルチューナー内蔵を以ってハイビジョンテレビと呼んでいる場合もあるが、これは誤りである(店頭POPにこのような誤りが多い)。そして、デジタルチューナーは未搭載であるが表示においてハイビジョンの条件を満たしている場合は一般的には「デジタルハイビジョン対応テレビ」という、やや紛らわしい表現が使われる。
アナログ・デジタル放送規格

総走査線数が1,125本で同じであっても放送局からの映像のある有効走査線数はアナログハイビジョンでは1,035本(1035i)、2000年(平成12年)12月1日開始のBSデジタル放送からのデジタルハイビジョンでは1,080本(1080i)と異なる。有効走査線数以外の放送の規格もアナログハイビジョンと衛星放送(BS/CS)のデジタルハイビジョン・地上デジタルハイビジョンとは異なる。

この放送規格の違いから、テレビ製造メーカーは1999年(平成11年)までに発売されたアナログハイビジョンテレビはデジタルハイビジョン放送規格が設定される前のためデジタルハイビジョンチューナーからの入力に対応しないと説明する。現実には、デジタルハイビジョンチューナー側で「1125i固定」(標準画質もすべて1125iに変換)に設定することでアナログハイビジョンテレビでもコンポーネント端子接続で1125i固定で受像され使用可能である。但しアナログハイビジョンテレビでは前述のように表示走査線数が少ないので、フル画像を表示させるために表示走査線数の調整が望ましい。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一部のハイビジョンテレビの取扱説明書では、アナログハイビジョンでの有料放送が開始された場合を想定して、MUSEデスクランブラー(未発売)の接続・設定方法が記載されていた。
^ 但し、初期の白黒テレビカラーテレビよりは安価であった(何れも登場当初は、当時の会社員の年収数年分に相当していた)。
^ 2007年現在、日本における衛星放送関連についての運用の全てがISDB-Sに集約されているわけではない。通信衛星を使った放送の一部はISDB-S以外のもので行われている。詳細については衛星放送の記事なども参照のこと。
^ デジタル放送の伝送規格にハイビジョンの他に旧来のアナログ放送で行っていたものも放送可能にすることで、放送局側の運用面や視聴者側の環境面などで従来資産の活用を多少なりとも可能にしアナログ放送からデジタル放送へ移行することをよりスムーズに行える余地を拡大することを意図したもの。
^ 各種テレビ放送の違いによる伝送レートの設定の違いはデジタルテレビの記述を参照のこと。
^ 映像の解像度が変化する(異なる)場合、一定の映像品質を維持する上ではその映像記録や伝送に必要なレートも変わるので解像度が異なる場合は含まない(つまり、ハイビジョンと標準解像度・従来解像度の映像では必要な映像記録レート・伝送レートは異なる)。解像度と映像の伝送レートの関係についての詳細は当該関連記事を参照のこと
^ アナログ放送時とは違い、表示の際に4:3から16:9になるよう左右に引き伸ばすわけではない。元々が横長の長方形画素である。
^ このため、番組制作サイドでは安全領域を定めて字幕やテロップはこの範囲内に収まるように映像を作る。この安全領域も一定していない。

出典^ 一般財団法人 NHKエンジニアリングシステム
^ [1](特許情報プラットフォーム
^ [2] 2023年9月2日閲覧。
^ 藤尾孝(1988) 「HDTV(ハイビジョン)開発の経緯:システムの最適化とその性能(HDTV(ハイビジョン)(第1回))」、『テレビジョン学会誌』 42(6)、570-578、1988-06-20
^ 大西宏(1993) 「3-1 信号変換(3.ワイドテレビ)(<小特集>ハイビジョン・ワイドテレビ受像機)」、『テレビジョン学会誌』 47(7)、949-952、1993-07-20
^ 二宮佑一(1995)、「ハイビジョンの現状と先端技術」、『電気学会誌』1995年 115巻 3号 p.170-173
^45万円のテレビが8万台も売れたワケ─「帝王」ヒットの裏側[三洋電機のテレビ 2][リンク切れ]日経トレンディー


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