ハイパーボリア_(クトゥルフ神話)
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ハイパーボリア王国と首都コモリオムは王により支配され、また行政や裁判制度も整った高度な文明が存在していた。しかし、ヴーアミ族出身の無法者クニガティン・ザウムが、3度の斬首刑を受けながら3度とも復活を果たし、またほのめかされていたツァトゥグァとの血の繋がりを証明するかのように悍ましい姿を現したことにより、住民は全て逃げ去り、コモリオムは廃都となった。[9]

コモリオムが廃棄された後、新首都ウズルダロウム(Uzuldaroum)が新たに建設された。コモリオムが無人の地となってから数百年を経て、都市が放棄された理由は次第に忘れ去られていった。廃都市に残された財宝を狙ってやって来た盗賊が、ツァトゥグァの神殿に潜んでいた不定形の怪物に襲われたという手記が残されている。[10]
ヴーアミタドレス山 (Mount Voormithadreth)

首都コモリオムから徒歩で1日かかる距離にあるエイグロフ山脈の中でもっとも高い山。4つの火口があるが、活動を停止した休火山となっている。[11]

凶暴な原人種族ヴーアミ族が住み付いている。ヴーアミタドレス山の名称はヴーアミに由来する[注 2]。山頂で妖しい儀式を執り行っている妖術師の姿を見たという者もいるが定かではない。[11]

山の地下洞窟にはツァトゥグァが潜む。他にも、蜘蛛神アトラク=ナクア、邪神アブホースがおり[注 5]、妖術師ハオン=ドルが館を築き、高度な知性ある蛇人間[注 6]たちが住まう。他にも人類の始祖と称するアルケタイプが生息している[11]
ムー・トゥーラン (Mhu Thulan)

ハイパーボリア大陸の最北端にある半島[注 2]。この半島には、ウボ=サスラが護る神々の智慧が記された銘板から知識を得ようとした魔術師ゾン・メザマレックや[1]、魔道士エイボンが住んでいた。

当時のハイパーボリア王国の信仰の主流はヘラジカの女神イホウンデーであり、ゾタクアを信仰する魔道士エイボンは邪教徒とみなされた。イホウンデーの神官モルギは、エイボンを捕らえ宗教裁判にかけようとするが、勘付いたエイボンは魔術の力でサイクラノーシュ(土星)へと逃走し、追跡したモルギともども2度とハイパーボリアの地に帰ってくることはなかった。この事件は「モルギがエイボンに負けて連れ去られた」と世間では信じられていく。これにより、イホウンデーへの信仰は衰退し、ゾタクア=ツァトゥグァ信仰が盛んになった[12]

大陸を襲った氷期により、ハイパーボリアの北にあるムー・トゥーランがまず氷河に覆われ始めた。しかし、この地の氷結は明らかに超自然によるものであった。氷に閉ざされたムー・トゥーランに軍を率いて遠征した王は、随行した魔術師に擬似太陽を魔術で生み出させ氷を溶かしたが、やがて発生した霧により陽光は遮られ、王と魔術師は軍勢の大半とともにその場で氷に閉じ込められ息絶えたと、わずかに生き残った兵士が証言している[13]
その他

コモリオムの都市の南方、湿地帯の密林を横切り、名も無き様々な川を進み続けた先に、伝説の王国ツチョ・ヴァルパノミがあったといわれる。そこには沸きたつ瀝青の湖があり、金剛石の砂と紅玉の小石でできた浜辺に火花を発する大洋が炎の泡を放って押し寄せていたという[10][14]
登場作品
クラーク・アシュトン・スミスの作品
作品数は、詩を含めて11。
創元推理文庫『ヒュペルボレオス極北神怪譚』には全て収録されている。

CAスミスのハイパーボリア作品一覧英語原題邦訳題初出[15]ヒ極クト帝国2イ巨ア呪エ書
The Muse of HyperboreaヒュペルボレオスのムーサFF1934/06○○
The Seven Geases七つの呪いWT1934/10○4○
The Weird of Avoosl Wuthoqquanアウースル・ウトックアンの不運WT1932/06○○○
The Testament of Athammausアタムマウスの遺書/アタマウスの遺言WT1932/10○5○
The Coming of the White Worm白蛆の襲来SSS1941/04○○
The Door to Saturn土星への扉/魔道士エイボンSS1932/01○5○
The White Sybil皓白の巫女FP1935○○
The Ice-Demon氷の魔物WT1933/04○○○
The Tale of Satampra Zeirosサタムプラ・ゼイロスの話/サタムプラ・ゼイロスの物語WT1931/11○12
The Theft of the Thirty-Nine Girdles三十九の飾帯盗みサターン1958/03○


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