先述のように、HPLはスミスからツァトゥグァを借りて自作に登場させ、アトランティスの大祭司クラーカシュ=トンによるコモリオム神話群について述べた。ハイパーボリアの名を出さずとも、ツァトゥグァと「エイボンの書」に言及したことは何度もある。
ハイパーボリアについて言及しているのは『狂気の山脈にて』と『永劫より』である。前者では、氷河期の訪れが、南極で古のものを滅ぼし、他方ではハイパーボリア大陸を滅亡させたことについて言及した[5]。後者では、20万年前、ムーのガタノソアと同時代に、ハイパーボリアではツァトゥグァが崇拝されていたとある[6][注 2]。いずれも、ハイパーボリアを直接描いた作品ではなく、小言及することで世界観を接続した程度にとどまる。
アイテム「銀の鍵」はハイパーボリア起源とされている(正確には、銀の鍵と、セットのルルイエ語羊皮紙)[7]。またハイパーボリアと同様に、グリーンランド近辺にロマールという古代王国があったと設定した[8]。 ギリシア伝説のヒュペルボレイオスを参考に、オリジナルのハイボリア
ロバート・E・ハワード
人間種族が築いた、ハイパーボリア王国の首都。もっとも栄えた都市で、大きな外壁や純白の尖塔が立ち並び、「大理石と御影石の王冠」とも形容され、その繁栄をほしいままにしていた。アトランティス大陸やムー大陸から貢物が献上され、北方の半島ムー・トゥーランから南方のツチョ・ヴァルパノミにまで至る広い地域から多くの交易商人たちが訪れていたという。[9]
ハイパーボリア王国と首都コモリオムは王により支配され、また行政や裁判制度も整った高度な文明が存在していた。しかし、ヴーアミ族出身の無法者クニガティン・ザウムが、3度の斬首刑を受けながら3度とも復活を果たし、またほのめかされていたツァトゥグァとの血の繋がりを証明するかのように悍ましい姿を現したことにより、住民は全て逃げ去り、コモリオムは廃都となった。[9]
コモリオムが廃棄された後、新首都ウズルダロウム(Uzuldaroum)が新たに建設された。コモリオムが無人の地となってから数百年を経て、都市が放棄された理由は次第に忘れ去られていった。廃都市に残された財宝を狙ってやって来た盗賊が、ツァトゥグァの神殿に潜んでいた不定形の怪物に襲われたという手記が残されている。[10] 首都コモリオムから徒歩で1日かかる距離にあるエイグロフ山脈の中でもっとも高い山。4つの火口があるが、活動を停止した休火山となっている。[11] 凶暴な原人種族ヴーアミ族が住み付いている。ヴーアミタドレス山の名称はヴーアミに由来する[注 2]。山頂で妖しい儀式を執り行っている妖術師の姿を見たという者もいるが定かではない。[11] 山の地下洞窟にはツァトゥグァが潜む。他にも、蜘蛛神アトラク=ナクア、邪神アブホースがおり[注 5]、妖術師ハオン=ドルが館を築き、高度な知性ある蛇人間[注 6]たちが住まう。他にも人類の始祖と称するアルケタイプ ハイパーボリア大陸の最北端にある半島[注 2]。
ヴーアミタドレス山 (Mount Voormithadreth)
ムー・トゥーラン (Mhu Thulan)