ギリシア伝説のヒュペルボレイオスを参考に、オリジナルのハイボリア
(英語版)を創造し、英雄コナンの活躍を描いた。同じものをモデルとして、ハワードとスミスは別物を作っている。ハワードもまたクトゥルフ神話に参入することで相互交流が発生する。人間種族が築いた、ハイパーボリア王国の首都。もっとも栄えた都市で、大きな外壁や純白の尖塔が立ち並び、「大理石と御影石の王冠」とも形容され、その繁栄をほしいままにしていた。アトランティス大陸やムー大陸から貢物が献上され、北方の半島ムー・トゥーランから南方のツチョ・ヴァルパノミにまで至る広い地域から多くの交易商人たちが訪れていたという。[9]
ハイパーボリア王国と首都コモリオムは王により支配され、また行政や裁判制度も整った高度な文明が存在していた。しかし、ヴーアミ族出身の無法者クニガティン・ザウムが、3度の斬首刑を受けながら3度とも復活を果たし、またほのめかされていたツァトゥグァとの血の繋がりを証明するかのように悍ましい姿を現したことにより、住民は全て逃げ去り、コモリオムは廃都となった。[9]
コモリオムが廃棄された後、新首都ウズルダロウム(Uzuldaroum)が新たに建設された。コモリオムが無人の地となってから数百年を経て、都市が放棄された理由は次第に忘れ去られていった。廃都市に残された財宝を狙ってやって来た盗賊が、ツァトゥグァの神殿に潜んでいた不定形の怪物に襲われたという手記が残されている。[10] 首都コモリオムから徒歩で1日かかる距離にあるエイグロフ山脈の中でもっとも高い山。4つの火口があるが、活動を停止した休火山となっている。[11] 凶暴な原人種族ヴーアミ族が住み付いている。ヴーアミタドレス山の名称はヴーアミに由来する[注 2]。山頂で妖しい儀式を執り行っている妖術師の姿を見たという者もいるが定かではない。[11] 山の地下洞窟にはツァトゥグァが潜む。他にも、蜘蛛神アトラク=ナクア、邪神アブホースがおり[注 5]、妖術師ハオン=ドルが館を築き、高度な知性ある蛇人間[注 6]たちが住まう。他にも人類の始祖と称するアルケタイプ ハイパーボリア大陸の最北端にある半島[注 2]。この半島には、ウボ=サスラが護る神々の智慧が記された銘板から知識を得ようとした魔術師ゾン・メザマレックや[1]、魔道士エイボンが住んでいた。 当時のハイパーボリア王国の信仰の主流はヘラジカの女神イホウンデーであり、ゾタクアを信仰する魔道士エイボンは邪教徒とみなされた。イホウンデーの神官モルギは、エイボンを捕らえ宗教裁判にかけようとするが、勘付いたエイボンは魔術の力でサイクラノーシュ(土星)へと逃走し、追跡したモルギともども2度とハイパーボリアの地に帰ってくることはなかった。この事件は「モルギがエイボンに負けて連れ去られた」と世間では信じられていく。これにより、イホウンデーへの信仰は衰退し、ゾタクア=ツァトゥグァ信仰が盛んになった[12]。 大陸を襲った氷期により、ハイパーボリアの北にあるムー・トゥーランがまず氷河に覆われ始めた。しかし、この地の氷結は明らかに超自然によるものであった。氷に閉ざされたムー・トゥーランに軍を率いて遠征した王は、随行した魔術師に擬似太陽を魔術で生み出させ氷を溶かしたが、やがて発生した霧により陽光は遮られ、王と魔術師は軍勢の大半とともにその場で氷に閉じ込められ息絶えたと、わずかに生き残った兵士が証言している[13]。 コモリオムの都市の南方、湿地帯の密林を横切り、名も無き様々な川を進み続けた先に、伝説の王国ツチョ・ヴァルパノミがあったといわれる。そこには沸きたつ瀝青の湖があり、金剛石の砂と紅玉の小石でできた浜辺に火花を発する大洋が炎の泡を放って押し寄せていたという[10][14]。
ヴーアミタドレス山 (Mount Voormithadreth)
ムー・トゥーラン (Mhu Thulan)
その他