ノーベル賞
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授賞式は、ノーベルの命日である12月10日に、「平和賞」を除く5部門はストックホルム(スウェーデン)のコンサートホール、「平和賞」はオスロ(ノルウェー)の市庁舎で行われ(古くはオスロ大学の講堂で行われた)、受賞者には、賞金の小切手賞状メダルがそれぞれ贈られる[20][21]

2020・21年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響により、授賞式は招待を行わずオンライン形式で実施し、受賞者は自国でメダルと賞状を授与する方式に変更された[22][23]

2022年、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、同年の授賞式にロシアやロシアを支持するベラルーシ、さらに人権問題と反政府デモ抑圧などを理由にイランの駐在大使を招待しなかったが、翌2023年の授賞式にノーベル財団は同年8月31日、「世界がどんどん分断され、異なる意見を持つ者の対話が減っている。こうした傾向に対抗したい」としてロシア、ベラルーシ、イランを含むノルウェー、スウェーデンに駐在するすべての大使を招待することを声明で発表していた[24][25]。しかし、この決定にスウェーデンやウクライナを中心に世界各国から反発の意見が上がったこともあり、2日後の同年9月2日、財団は「スウェーデンでの強い反応が、(財団の)メッセージを覆い隠してしまった」として、ロシア、ベラルーシ、イランの授賞式招待を撤回した。一方、オスロで行われる平和賞の授賞式は「すべての大使を招待することになる」とした[26][27]
晩餐会・舞踏会

授賞式終了後、平和賞以外はストックホルム市庁舎(1930年まではストックホルムのグランドホテルの舞踏室)で、スウェーデン王室および約1,300人のゲストが参加する晩餐会が行われる。王室、受賞者などが階段を上がり、2階の別室へと退場したあと晩餐会は散会となり、そのまま2階のゴールデンホールという大きな部屋で舞踏会が始まる[28]。平和賞の晩餐会はオスロのグランドホテルで行われ、こちらにはノルウェーの国会、首相および2006年以降はノルウェーの国王夫妻を含めた約250人が招かれている。1979年の平和賞の晩餐会は、受賞者のマザー・テレサが「貧しい人にお金を使ってください」として出席を辞退、開催を中止させ、晩餐会に使うはずだった7,000USドルの費用はインドコルカタ(旧名:カルカッタ)の2,000人のホームレスへのクリスマスの夕食に使われた。晩餐会が中止になった最初の例で、前述の通り2020・21年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行の影響により、晩餐会などの関連行事も中止となった[23]

1991年にノーベル賞90周年事業の一環として、晩餐会に使う食器類をすべてスウェーデン製に置き換えようとしたが、カトラリーだけはその複雑なデザインゆえに仕上げ研磨ができる技術が国内になく、カトラリーのデザインを担当したゴナ・セリンが懇意にしていた新潟県燕市の山崎金属工業に依頼した[29]。食器類など授賞式に使う調度品は、普段は厳重に鍵のかかった倉庫に保管されており、ノーベル賞の晩餐会にのみ使用される。晩餐会で使用されるカトラリーセットは「ノーベルデザインカトラリー」として一般向けにも販売されている。

ドレスコードは燕尾服もしくはナショナルドレス(民族衣装)であるため、川端康成本庶佑紋付羽織袴で出席している。
その他のイベント

受賞者は受賞後にノーベル・レクチャーと呼ばれる記念講演を行うのが通例になっている。その後、受賞者はストックホルム大学やストックホルム経済大学などの大学の学生有志団体が毎年持ち回りで行うパーティーに出席し、そこで大学生らと希望する受賞者はさらなる躍進を願って一斉に「蛙跳び」をするのが慣例となっている。
授与

受賞者へは賞状とメダルと賞金が与えられる。受賞者に与えられる賞金は、ノーベルの遺言に基づき、彼の遺産をノーベル財団が運用して得た利益を原資としている。ただし「経済学賞」は1968年に創設され1969年から授与されたが、その原資はスウェーデン国立銀行の基金による[4]

ノーベル賞の賞金は、過去幾度も変動してきた。ノーベルは遺産を安全な有価証券にすることを指定しており、このため得られる利子額は長年にわたって低いものであり、賞金もそれに連動して設立当初より相対的に低い額にとどまっていた。こうした状況は1946年にノーベル財団が免税となったことと、1950年代に株式への投資が解禁されたことによって改善され、1990年代には設立当初の賞金レベルを回復した[17]。2001年から現在まで賞金額は1000万スウェーデン・クローナ(約1億円)である。しかしスウェーデンのノーベル財団は2012年6月11日の理事会で、過去10年間にわたって運用益が予想を下回ったことなどを理由として、2012年のノーベル賞受賞者に贈る賞金を2割少ない800万スウェーデン・クローナ(約8900万円)とすることを決めた[30]

なお、日本においては経済学賞以外のノーベル賞の賞金は所得税法第9条第1項第13号ホにあるように、所得税は非課税となっている。これは、1949年に湯川秀樹が日本人として初のノーベル賞を受賞した際に、賞金への課税について論争が起こったのを受けて改正されたものである[31]。なお、経済学賞が非課税の対象にならないのはその賞金がノーベル財団ではなくスウェーデン国立銀行から拠出されているためである。
メダル1974年のノーベル平和賞の金メダル

受賞時に渡されるメダルは1902年から使用され、ノーベル財団によって商標登録されている。1901年の第1回受賞時にはメダルが間に合わなかったため、第2回からの授与となっている。

メダルには表面にアルフレッド・ノーベルの肖像(横顔)と生没年が記されている。


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