ノートパソコン
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IBMは1973年にポータブルコンピュータのプロトタイプIBM Special Computer APL Machine Portable (SCAMP) を発表し、1975年には世界初の市販ポータブル・コンピュータIBM 5100を発売した[6]

1980年代のはじめ、最初期のポータブルパソコンは、トランクスーツケース大の筐体にCRT補助記憶装置を詰め込み、何とか持ち運びが可能な状態に組み上げた製品であった。Portal R2E CCMC、オズボーン・コンピュータオズボーン1や、コンパックCompaq Portableなどがそのルーツである。しかし、これらはバッテリー駆動ではなく外部電源を必要とし、どうにか移動できるというレベルであった。

後にA4サイズ程度の持ち運べるコンピュータが開発され、ハンドヘルドコンピュータと呼ばれた。フルキーボードと小さな液晶ディスプレイを備え、バッテリー駆動が可能であった。マイクロカセットプリンタなどの入出力機器を搭載したものもあったが、基本的にはデスクトップタイプのパソコンとは互換性のない、別個の商品として扱われていた。エプソンHC-20TRS-80 Model 100、そしてNECPC-8201などが初期の例である。これらはディスプレイサイズが極端に小さく(データやタイピングを一行から数行表示できる)、デスクトップタイプのパソコン互換ではないことから、現在のノートパソコンとは異なる系統と言える。他にもポケットコンピュータというジャンルも存在していた。
ラップトップパソコンの誕生

1982年には、ビル・モグリッジがデザインし、Grid Systems Corporationが開発したGrid Compass 1101という世界初のクラムシェル型、つまり二つ折りにすることで、フルキーボードと画面を両立させ、折り畳んだ状態で持ち運べる小型パソコンが発売された[7]。これによってノートPCの原型が確立された[8]が、高価格だったこととOSがマイナーな独自OSだったため、利用者はNASAアメリカ軍など特殊な層であり、一般には広く普及しなかった。1983年には同じくクラムシェル型のDulmont Magnumが、同じく1983年にはSharp PC-5000(英語版)[9]、Ampere[10]、そしてGavilan SC(英語版)[11]、1985年にはBondwell-2が発売された。PC-5000は本体のみの場合、バッテリで8時間使用可能とされた[12]。1985年には、一般市場向けで商業的に成功した初のラップトップとして、東芝からIBM PC/XT互換ラップトップPC T1100が発売された[13]

これらの1980年代初頭より登場した製品は、椅子に座ったひざの上で操作できるという意味で、「ラップトップパソコン」(英語:Laptop Computer)と呼ばれたが、重量が嵩んだ製品が多く、中にはMacintosh Portableなど7kgを超える製品も有ったため、ラップクラッシャー(膝壊し)などと揶揄されることもあった[14]

また、1989年には初のパームトップPCであるAtari Portfolioが発売された。これは、掌サイズの横長のクラムシェル型筐体に、ディスプレイとキーボードが備わっていた。この分野では、Poqet PCやシャープ、HPが続いて商品を発売した。
ノートパソコンへ進化

そんな中、A4ノートサイズ、2.7kgと軽量で、最小限のインターフェースを装備しながら、大型の液晶ディスプレイを備え、デスクトップタイプのパソコンと互換性を保持した製品として、1989年6月27日発表、同年7月に東芝から発売されたDynaBook(現・dynabook) J-3100SSは、19万8,000円という価格で衝撃を与えた。発表こそ エプソンPC-286NOTE executive が先んじていたものの(1989年6月7日発表、同年9月発売、重さ 2.2kg、45万8,000円)、価格的には競合にならなかった。これらは、1989年10月には NEC より発売された PC-9801n とともに、「ノートパソコン」、通称「ノートPC」という新たな市場を切り開いた。基本的なデザインはノートPCの原型となったGrid Compassと大きく変わらないものの、それ以前のより重量的なラップトップPCと区別するためにノートPCという用語が使われるようになった。(注:1990年代後半になると、ラップトップPCとノートPCはほぼ同じ意味で使われるようになった。)

1991年にはApple ComputerPowerBookシリーズの発売を開始、キーボードの手前にパームレストポインティングデバイス(当時はトラックボール)を配置するという現在のノートパソコンのデザインの原型となった[15]ThinkPadIBM/Lenovo)は独自のトラックポイントを採用している。
ノートパソコンの多機能化

2000年代には、タッチパッドポインティング・スティックといったポインティングデバイス、イーサネット無線LANといったネットワーク機能はどのノートパソコンにも必ず搭載される機能になった。ディスプレイは高画質化され、Bluetoothをはじめとしたワイヤレス接続機能は著しい発展をとげ、プロセッサの処理速度や搭載メモリ容量なども大幅に向上した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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