後にA4サイズ程度の持ち運べるコンピュータが開発され、ハンドヘルドコンピュータと呼ばれた。フルキーボードと小さな液晶ディスプレイを備え、バッテリー駆動が可能であった。マイクロカセットやプリンタなどの入出力機器を搭載したものもあったが、基本的にはデスクトップタイプのパソコンとは互換性のない、別個の商品として扱われていた。エプソンのHC-20、TRS-80 Model 100、そしてNECのPC-8201などが初期の例である。これらはディスプレイサイズが極端に小さく(データやタイピングを一行から数行表示できる)、デスクトップタイプのパソコン互換ではないことから、現在のノートパソコンとは異なる系統と言える。他にもポケットコンピュータというジャンルも存在していた。 1982年には、ビル・モグリッジがデザインし、Grid Systems Corporation
ラップトップパソコンの誕生
これらの1980年代初頭より登場した製品は、椅子に座ったひざの上で操作できるという意味で、「ラップトップパソコン」(英語:Laptop Computer)と呼ばれたが、重量が嵩んだ製品が多く、中にはMacintosh Portableなど7kgを超える製品も有ったため、ラップクラッシャー(膝壊し)などと揶揄されることもあった[14]。
また、1989年には初のパームトップPCであるAtari Portfolioが発売された。これは、掌サイズの横長のクラムシェル型筐体に、ディスプレイとキーボードが備わっていた。この分野では、Poqet PCやシャープ、HPが続いて商品を発売した。 そんな中、A4ノートサイズ、2.7kgと軽量で、最小限のインターフェースを装備しながら、大型の液晶ディスプレイを備え、デスクトップタイプのパソコンと互換性を保持した製品として、1989年6月27日発表、同年7月に東芝から発売されたDynaBook(現・dynabook) J-3100SSは、19万8,000円という価格で衝撃を与えた。発表こそ エプソンのPC-286NOTE executive が先んじていたものの(1989年6月7日発表、同年9月発売、重さ 2.2kg、45万8,000円)、価格的には競合にならなかった。これらは、1989年10月には NEC より発売された PC-9801n とともに、「ノートパソコン」、通称「ノートPC」という新たな市場を切り開いた。基本的なデザインはノートPCの原型となったGrid Compassと大きく変わらないものの、それ以前のより重量的なラップトップPCと区別するためにノートPCという用語が使われるようになった。(注:1990年代後半になると、ラップトップPCとノートPCはほぼ同じ意味で使われるようになった。) 1991年にはApple ComputerがPowerBookシリーズの発売を開始、キーボードの手前にパームレストとポインティングデバイス(当時はトラックボール)を配置するという現在のノートパソコンのデザインの原型となった[15]。ThinkPad(IBM/Lenovo)は独自のトラックポイントを採用している。 2000年代には、タッチパッドやポインティング・スティックといったポインティングデバイス、イーサネットや無線LANといったネットワーク機能はどのノートパソコンにも必ず搭載される機能になった。ディスプレイは高画質化され、Bluetoothをはじめとしたワイヤレス接続機能は著しい発展をとげ、プロセッサの処理速度や搭載メモリ容量なども大幅に向上した。これによりデスクトップ型パソコンの補助ではなく、最初に購入するパソコン、さらにメインマシンとして使用されることが一般的となった。 また低速だったUSBは進化し、2019年にはUSB4でThunderboltの仕様を取り込んだため、それ以前のノートパソコンが苦手とした拡張性を補って余りある接続性を提供しており、外部記憶装置や各種入出力機器・ユーザーインターフェイスデバイス・拡張機能を提供する周辺機器は多く、前述のBluetoothによる外部機器接続の利便性とあわせて、多用途で利用されるようになった。 構造としては、基本的にパーソナルコンピュータの機能を備える以上は、このコンピュータ・アーキテクチャを踏襲したものになっているが、オールインワン機種として、表示機器や演算装置・外部記憶装置・入力機器(ユーザインタフェース)などを一通り内蔵している。また、携帯に際して電源を得られない場所でも使用するために電源(バッテリー)を内蔵しており、内蔵電源と外部電源を利用できるようになっている。 パーソナルコンピュータ自身が汎用の製品であるため、製品によっては特定のユーザー群の利便性を向上させるべく何らかの機能を付加したものがある一方で、基本機能だけでまとめられ、ユーザーが用途に応じて拡張機能をオプションで追加することを前提とする製品も少なくない。こと小型化・携帯性を求める機種では、光学ドライブなどかさ張る機能は外部接続で利用するよう設計されている。 軽量化およびバッテリー動作のため、表示機器には主に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが使われており、基本的に本体部分との二つ折り形状となっているが、画面部分を回転させ画面を表にして折りたたむことでタブレットPCのように利用できるタイプも存在する。画面の大きさはデスクトップパソコンと同様に対角で「○○インチ」(販売店などでは○○型と表記[注釈 1])で表される。以前はアスペクト比(長辺:短辺)は「4:3」が主流であったが、2000年代半ば頃から「16:10」、「16:9」のいわゆるワイドが主流となっている。初期の頃は小型化や技術的なものやコストの問題もあってモノクロ画面を採用した製品もあったほか、16色や256色表示(色深度4ビットや8ビット)など色彩表示が限定的なものもあったが、現在はほぼ例外なくデスクトップ機と比べても遜色がないカラー表示が可能となっている。P3の広色域に対応したものもある。 液晶ディスプレイに関しては、当初は白黒液晶に始まり、カラー化の途上で比較的安価なDSTN液晶を採用した製品も普及したが、現在はほぼ全数がTFT液晶となっている。バックライトについては近年に至るまで冷陰極管(極細の蛍光管)が用いられているが、2008年第4四半期からLEDバックライト(エッジライト式)が登場している。 有機ELディスプレイに関しては、P3の広色域に対応したものや、高輝度なものもある。2024年5月にはAppleがUltra Retina XDRディスプレイ
ノートパソコンへ進化
ノートパソコンの多機能化
構造
表示機器
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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