国王は憲法上行政権を有するとされているが、実際にこれを行使することはなく、その権限は首相が握っている。大臣の副署がない国王の行為はすべて無効となる[17]。国王の実際的な役割はおもに儀式や式典などに限られているが、国の象徴として国民意識の統一に重要な役割を果たしている。憲法上、国王の地位について次のような規定が置かれている。
憲法第3条「行政権は、国王、又は、この憲法の第6条、第7条若しくは第48条の規定に従い女子が王位を継承した場合には、女王に属する。行政権が女王に属するときは、女王は、国の憲法及び法律において、国王が有する全ての権利及び義務を有する。」[17]
憲法第5条「国王の身体は、神聖であり、国王は、処罰されることなく、また訴追されることもない。責任は、国王の内閣がこれを負う。」[17]
憲法第12条「国王は、選挙権を有するノルウェー国民の中から内閣を選任する。内閣は1人の総理大臣と少なくとも7人のその他の閣僚で組織する。 」[17]
憲法第25条「国王は、王国の陸海軍の総司令官である。陸軍及び海軍は、議会の承認がなければ、これを増員することも減員することもできない。陸海軍は、外国の役務に用いることはできず、また外国の役務に従事する軍隊は、敵襲に対する援兵を除くの外、議会の承認なくして王国内に入れることはできない。 」[17]
憲法第31条「国王の行うすべての決定は、有効となるためには、副署されなければならない。軍隊指揮に関する決定は、報告を提出する者がこれに副署する。その他の決定は、内閣総理大臣が、総理大臣が出席しなかったときは出席者中の第一閣僚が、これに副署する。」[17]
行政詳細は「ノルウェーの首相」を参照
スウェーデン=ノルウェー連合王国時代の1814年の法律で、「国王は、議会または首相を含む内閣を任命する」という重要な執行権が与えられたが、ほとんどの場合は議会が国王の名のもとに行使している。1884年には議院内閣制が成立し、内閣の発足には議会の承認が必要となった。これにより、国王による任命は事実上形式だけのものとなった。「ノルウェー政府 (2013年?)
(ノルウェー語版)」も参照ノルウェー議会(ストーティング)は一院制で169名の議員からなる。2007年の憲法改正以前には、単一の選挙で選出された議員たちがウーデルスティング(下院127名)とラーグティング(上院42名)に分かれ、憲法改正等を除いては二院制として機能する変則的な体制であった。解散はなく、総選挙は4年に1度行われる。19の県を単位とする比例代表制選挙で150議席が選ばれたのち、19議席が得票率と獲得議席との乖離を調整するために配分される。選挙権はその年に満18歳以上となる者に与えられている。
なお、ノーベル平和賞の受賞者を決定するノルウェー・ノーベル委員会の委員はノルウェー議会によって選出される。
憲法詳細は「ノルウェー憲法」を参照 1814年、アイツヴォルの集り(英語版)5月17日の憲法記念日のパレードで、ノルウェーの国旗を持って行進するボーイスカウトたち
1814年5月17日(英語版)にアイツヴォル(英語版)会議にて調印されたノルウェー憲法は、ノルウェーを絶対君主制から民主的な立憲君主制へと変化させた。アイツヴォル憲法は言論の自由(100条)、法治主義(96、97、99条)などを定めた。主要な憲法改正には次のようなものがある。
1814年11月4日 - スウェーデン王と同君連合を形成するために再制定された。
1851年 - ユダヤ人の入国禁止条項を撤廃した。
1884年 - 議院内閣制が発足し、内閣は議会の過半数の反対があった場合存続できない慣例が確立した。この議会主義の原則は慣例であり、憲法の条項として明記されたものではなかった。
1887年 - イエズス会と修道会の禁止が撤廃された。
1898年 - 男性の普通選挙権が確立された。