ネットワーク_(映画)
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ハワードが番組中で、UBSの大株主のCCAがアラブ諸国により大量の株が買い占められていることを批判したことで、CCAの逆鱗に触れ、彼とUBSの実質的な執行責任者であるフランクはCCAの会長のアーサー・ジェンセンに呼び出される。アーサーはハワードに、現実の世界を動かしているのは主義や思想ではなく金であるという彼独自の世界観を述べる。それに説伏されたハワードは現代社会における人間性の喪失について番組で語るが、彼の新たな思想はあまりに憂鬱すぎると視聴者に敬遠され、次第に番組の人気も落ちていく。視聴率の低下に頭を悩まし、番組の人気回復に試行錯誤するダイアナ。報道倫理を完全に喪失し、ただ視聴率のみを追い求める彼女を理解できないマックスは、ダイアナとの関係を終わらせ家族の下に帰ることを決意する。

視聴率は急落しているものの、資本家の哲学の代弁者となったハワードを解雇するわけにもいかず、進退に窮したUBSのニュース部門。その上層部であるダイアナとフランクは、ついに厄介者のハワードの暗殺を決定する。彼らはテレビ局の走狗と化した過激派の連中をスタジオの観客に紛れ込ませ、ハワードを銃撃させる。武装テロリストのマシンガンで蜂の巣にされ息絶えるハワード。彼の最期は生放送で全米に放映されたのだった。
キャスト

役名俳優日本語吹替
TBS版機内上映版
ダイアナ・クリステンセンフェイ・ダナウェイ鳳八千代野沢雅子[4]
マックス・シューマッカーウィリアム・ホールデン近藤洋介
ハワード・ビールピーター・フィンチ久松保夫
フランク・ハケットロバート・デュヴァル森川公也
ネルソン・チェイニーウェズリー・アディ大木民夫
アーサー・ジェンセンネッド・ビーティ藤本譲
ハリー・ハンタージョーダン・チャーニー
バーバラ・シュレシンジャーコンチャータ・フェレル
ビル・ヘロンダリル・ヒックマン
エドワード・ジョージ・ラディウィリアム・プリンス
ロバート・マクドノーレイン・スミス
ルイーズ・シュマッチャーベアトリス・ストレイト
ローリン・ホブスマーリーン・ウォーフィールド
不明
その他寺島幹夫
寺田誠
蟹江栄司
宮田光
飯塚昭三
長堀芳夫
菊池紘子
石井敏郎
池田勝
鈴木れい子
芝田清子
西村知道
屋良有作
山本敏之

演出小林守夫
翻訳額田やえ子
効果
調整
制作東北新社
解説荻昌弘
初回放送1980年4月14日
月曜ロードショー

※日本語吹替はDVD未収録
※字幕翻訳:石川周三 (劇場公開用)[5]、吉川一夫(ビデオ用)、戸田奈津子(DVD用)
主な受賞

1976年度(第49回)アカデミー賞
主演男優賞 - ピーター・フィンチ主演女優賞 - フェイ・ダナウェイ助演女優賞 - ベアトリス・ストレイト脚本賞 - パディ・チャイエフスキー

1976年度(第34回)ゴールデングローブ賞
監督賞 - シドニー・ルメット主演男優賞(ドラマ部門) - ピーター・フィンチ主演女優賞(ドラマ部門) - フェイ・ダナウェイ脚本賞 - パディ・チャイエフスキー

1977年度(第30回)英国アカデミー賞
主演男優賞 - ピーター・フィンチ
評価

『ネットワーク』は公開後批評家たちから概ね好意的な評価をされた。本作品のことを映画評論家のレナード・マルティンは「突飛な風刺劇」、ポーリン・ケールは「非常に説得力の有る道化芝居」だと評した。商業主義に支配された放送関係者をリアリズムではなくむしろ徹底的に戯画化して描いた作品であるが、今日ではマスメディアのモラル崩壊に対して予見的であったと評価されている[6]

ただし、映画の製作者たちからはそれらの評価に対する反論も出ている。監督のシドニー・ルメットは、この映画のことを風刺劇ではなくテレビ業界の内実を暴露したルポルタージュであると述べた[2]。プロデューサーのハワード・ゴットフリードは、本作品がただテレビを主題にした映画に終わらず、脚本を担当したパディ・チャイエフスキーが現代社会におけるグローバリゼーションの到来を予測して書いたものだと主張した[3]

1998年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選んだ映画ベスト100中第66位、2007年に更新されたリストではベスト100中第64位にランクインした。2002年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
トリビア

武装テロリストに身代金目的で誘拐され、後に彼らの一員になった富豪令嬢は
パトリシア・ハーストがモデルである。また、社会変革の理念を忘れマスメディアに迎合する共産主義者のキャラクターは、実在の政治活動家アンジェラ・デービスを連想させるものである。

ネッド・ビーティが拝金主義を信奉する資本家を、ベアトリス・ストレイトが長年連れ添ってきた夫に裏切られた妻を、それぞれ演じている。両人の映画中における出演時間はいずれも僅か数分に過ぎないが、そこで卓越した演技を見せた彼らはアカデミー賞の助演男優賞助演女優賞にノミネートされた。そのうちストレイトが助演女優賞を受賞、アカデミー賞史上最も短い出演時間(5分40秒)で演技賞を獲得した俳優になった。

1974年フロリダ州のニュースキャスターだったクリスティーン・チュバックが、生放送中に自殺するという事件が起きた。チャイエフスキーはチュバックが死んだのと同じ月に映画の脚本を書き始めているが、彼女の死に様からインスピレーションを受けた可能性をイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の教授マシュー・C・アーリックが指摘している。

脚注[脚注の使い方]^ a b BOX OFFICE MOJO、“Network (1976)”(参照:2009年4月10日)
^ a b Private Screenings with Sidney Lumet(アカデミー名誉賞を受賞したシドニー・ルメットに対するインタビュー、ワーナー・ブラザース版DVD収録)
^ a b c The Making of Network(『ネットワーク』製作の模様を扱ったドキュメンタリー、ワーナー・ブラザース版DVD収録)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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