ネコ
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イエネコは、形態学的分析を主とする伝統的な生物学的知見によって、以前からヨーロッパヤマネコの亜種リビアヤマネコ Felis silvestris lybicaが原種とされてきた[5]20世紀後半から発展した分子系統学遺伝子研究)などによる新たな知見も従来説を裏付ける形となった。米英独などの国際チームによる2007年6月29日の『サイエンス』誌(電子版)への発表では、世界のイエネコ計979匹をサンプルとしたミトコンドリアDNAの解析結果により、イエネコの祖先は約13万1000年前(更新世末期〈アレレード期(英語版)〉)に中東砂漠などに生息していた亜種リビアヤマネコであることが判明し、従来からの形態学的分析が裏付けられた[6]

愛玩用家畜として同じく一般的なイヌ Canis lupus familiarisに比して、ネコは飼育開始の時期が遅いが、これは家畜化の経緯の相違による。イヌは狩猟採集民猟犬番犬として必要とされ、早くから人の社会に組み込まれたが、ネコは、農耕の開始に伴い鼠害(ネズミの害)が深刻にならない限り有用性が乏しく、むしろ狩猟者としては競合相手ですらあった。その競合的捕食動物が人のパートナーとなり得たのは、穀物という「一定期間の保管を要する食害を受けやすい財産」を人類が保有するようになり、財産の番人としてのネコの役割が登場したことによる[要出典]。また、伝染病を媒介する鼠を駆除することは、結果的に疫病の予防にもなった[要出典]。さらに、記録媒体としてなど食害されやすい材料が現れると、これを守ることも期待された[要出典]。

日本には平安時代に倉庫の穀物や経典類の番人として輸入されたことにより渡来してきたものと考えられてきた[7][8]が、2000年代ごろから見野古墳群須恵器に足形が見られるなどの痕跡から、移入期が紀元前2世紀の弥生時代までさかのぼる可能性が出てきた[9][10]縄文時代に該当する出土骨も存在するが、家畜としてのネコなのかは不明瞭である[11][注釈 1]

農耕が開始され集落が出現した時期の中東周辺で、山野でネズミノウサギを追っていたネコがネズミが数多く集まる穀物の貯蔵場所に現れ、棲みついたのが始まりと考えられている(リビアヤマネコの生息地と農耕文化圏が重なった地域で、複数回起こっていたと考えられる[独自研究?])[要出典]。穀物には手を出さず、それを食害する害獣害虫のみを捕食することから双方の利益が一致し、穀物を守るネコは益獣として大切にされるようになり、やがて家畜化に繋がった[要出典]。

初めて人に飼われたネコから現在のイエネコに直接血統が連続しているかどうかは不明確。最古の飼育例は、2004年4月に報告されたキプロス島の約9,500年前の遺跡のものである[12][5][13]。墓は約30歳の高貴な人物のもので、人骨から約40 cm離れて埋葬されていた[5]。キプロス島には野生のネコ科動物は分布せず、人が持ち込んだものと考えられている[5]。また、今日のイエネコの直接的・系統的起源は明らかではないが、紀元前3000年ごろ古代エジプトで固定化されたものといわれている。紀元前1600年ごろの古代エジプトの王墓に描かれたネコの壁画が確実な証拠である[5]

なお、ネコ科の祖先は、ミアキスという約6000万年前の中型肉食獣に遡る。ミアキスの特性に近いままプロアイルルスを経て進化した種がネコであり、平原に出て集団狩猟を行う種を経て現在の姿に進化した種がイヌである。
身体的特徴

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「ネコの解剖学(英語版)」を参照
概要ネコ(オス)の体の構造
■赤=主に呼吸器系 ■緑=主に消化器系 ■金色=神経系とその他

通常の生理[14]体温摂氏38.6
心拍数120 - 140bpm
呼吸数16 - 40回/分

体の大きさは現生するネコ科の他のほとんどの動物に比べて小さく、体重は2.5から7.5キログラムの範囲に収まるものが多いものの、大型のものでは、体長(頭胴長)75センチメートル(比較資料:「長さの比較」)、尾長40センチメートル、肩高35センチメートルに達する。

非常に優れた平衡感覚に、柔軟性と瞬発力のきわめて高い体の構造、武器である鋭い鉤爪(かぎづめ)やを持ち、足音が非常に小さく、体臭が少ない。

吻部(眼窩下部から口先もしくは鼻先までの部位)が突出していない丸い頭部を持つ。

汗腺は発達しておらず、しっかりと汗がかけるのは足の裏(肉球)だけである。そのため、熱中症になりやすい[15]。この肉球は滑り止めの役目を果たす他、マーキングにも用いられる[16]。額、頬、口周囲、顎下、耳、肛門周囲に皮脂腺があり、ここからフェロモンを分泌して、他のネコに情報を提供したり飼い主などに匂いを付着させる[17]
年齢と寿命

ネコは半年から1年ほどで生殖可能年齢を迎え、5歳くらいで落ち着いた雰囲気を醸し出し、7歳あたりから高齢期に差し掛かり、20歳超えはかなりの長寿とされる[注釈 2]

屋外で暮らさなければならない野良猫と人間に室内で飼われているネコの寿命には、歴然とした差がある。前者は多くの天敵や事故・怪我・病気やそれに伴うストレスに晒されており、大学機関や自治体関連部門によれば野良ネコの寿命は3年から5年といわれ[19][20][21][22][23]、その大半が子ネコの内に死亡する[24]。ネコの年齢をヒトに換算すると、室内ネコの場合は例として1歳で人間でいう17 - 20歳、2歳で23 - 25歳、以降は1年ごとに4、5歳ずつ比例していく計算となるが、成熟期が短く中年期が長いため単純な比較はできない[25]

ネコと人間の年齢の比較
ネコ6か月1歳3歳6歳8歳9歳10歳13歳16歳20歳
人間14歳16歳20歳30歳40歳50歳60歳70歳80歳90歳

体格コビーを代表するペルシャ。丸みを帯びたシルエットはぬいぐるみのようである。オリエンタルを代表するシャム。四肢は長く、肩幅は狭い。

ネコは骨格筋肉の付きかた、脚の長さなどによっていくつかの種類に分類することができる。コビーと呼ばれる種類は短いにがっしりとした、やや短めのを持ち、この代表とされるのがペルシャである。一方、逆三角形の顔に長い四肢、鞭のような尾をもつオリエンタルというタイプを代表する種はシャムである。この二種の間を分割し、セミコビー、セミフォーリン、フォーリン、そしてそれらの種類とまた違うロング&サブスタンシャル(長く、がっしりとした、という意味)という種類を加えた6種がネコの体格に関する基本的区分である[26]

ネコの筋肉と筋肉の名称

ネコの骨格と骨の名称[注釈 3]


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