クタニド(Kthanid)は旧神の一柱。邦訳ぶれでサニド[4]とも表記される。容姿はクトゥルフに瓜二つの「兄弟」[注 8]。
ブライアン・ラムレイが旧神の王として創造した。敬称はクタニド帝、猊下など。
慈愛に満ちた理性の神で、旧神たちの指導者であり、旧神郷エリシア(イリジア)の宮殿に住む。35億年前に、旧神の中から反逆者クトゥルフが現れたために、彼らをエリシアから追放して幽閉した。[注 9][注 10]
神は異種族と子供を作ることが可能で、クタニド帝の遠い子孫がティアニア姫であり、彼女はタイタスの伴侶となる。
クトゥルフのそっくりさんが旧神の統率者という設定は、ラムレイ以外は扱いかねているようで、TRPGではサニド(クタニドの別表記)は基本ルールには出てこず、サブ設定にて説明がされる。カーター版ネクロノミコンでは、クトゥルフら邪神たちを罰した旧神の指揮官をノーデンスかクタニドか特定できていないとしている[5]。 クトゥルフの同種生物ではないが、重要な神について解説する。
クタニドの登場作品
ブライアン・ラムレイ『タイタス・クロウ・サーガ』
リン・カーター『ネクロノミコン』
ダニエル・ハームズ『エンサイクロペディア・クトゥルフ』
ケイオシアム社「クトゥルフ神話TRPG」『マレウス・モンストロルム』
その他
イダ=ヤアー Idh-Yaa
ゾス星系に棲む雌性生物。ゾス三神とクティーラの母親。言及作品:『陳列室の恐怖』。語られるだけで登場しない。
カソグサ Kassogtha
3番目の妻。クトゥルフの姉妹でもある。ヌクトーサとヌクトルーの母親。登場作品:比地加夜子『黒い別邸』[6]
ヌクトーサとヌクトルー Nctosa, Nctolhu
クトゥルフとカソグサの娘たち。双子の姉妹。木星の大赤斑の中に幽閉されている。登場作品:ジョゼフ・S・パルヴァー『Nightmare’s Disciple』[7]名前の邦訳(音訳カナ)が定まっていない。クトゥルフ神話TRPG資料である『マレウス・モンストロルム』では、ヌトゥーサとヌタルフとされている[8]。Nctolhuは、クトゥルー、クトゥルフそれぞれに近い2通りの邦訳がされている。パルヴァ―の作中にて、リン・カーターが1975年に『ヌクトーサとヌクトルー』という小説を書いて発表していたという架空の設定が語られ、掲載誌がレアで、内容もほとんど知られていないとされている[7]。現実にはカーターは書いていないし発表してもおらず、出版社も掲載雑誌も実在しない。
ドヌムル D' numl
クトゥルフの従姉妹。登場作品:ジョゼフ・S・パルヴァー『Nightmare’s Disciple』[7]
眷属・小神
ダゴンとヒュドラ
詳細は「父なるダゴンと母なるヒュドラ」を参照
ウブ Ubb
ユッギャ種族の長。イソグサとゾス=オムモグの従神。レッサー・オールド・ワン[注 11]。登場作品:『奈落の底のもの』
関連作品
超時間の恐怖(英語版
クトゥルーの子供たち - ゾス三神に関わる日本語版単行本。ほぼ上記の邦訳版。
タイタス・クロウの帰還 - 1976年作品。クティーラとクタニドの初出。およびゾス三神の商業出版物上での初出。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 大瀧啓裕がこちらの表記を用いる。大瀧は、HPLオリジナルと、ダーレス以降の神話を区別しており、HPLオリジナルをクルウルウと呼称する。
^ Spawn(落とし子)、Star-Spawn(星の落とし子)などと呼ばれ、「クトゥルフの落とし子」(クルウルウの末裔)や「クトゥルフの従者」と邦訳される。
^ ラムレイは『タイタス・クロウ・サーガ』にて、クトゥルフを邪神の王とし、ヨハンセン文書(HPLのクトゥルフの呼び声)で南太平洋に登場した怪物は、クトゥルフ自体ではなく、種族の一匹にすぎないとした。
^ このクトゥルヒは『這いよれ! ニャル子さん』にてルーヒーというキャラクターに萌え擬人化されている。この作品では邪神は星人種族の扱いになっているため、実質はクトゥルフの擬人化である。またガタノソア擬人化のキャラクターもいる。
^ 諸作品に登場するクトゥルフ種クリーチャーを、一括で取り込んだもの。元ネタはそれぞれ、@中国は『クトゥルフの呼び声』『クトゥルフ神話TRPG』『ハスターの帰還』など、A中東砂漠は『無名都市』『クトゥルフの呼び声』『永劫の探究』、Bグリーンランドは『クトゥルフの呼び声』、C北米の人家の地下洞窟は『ハスターの帰還』、D南米は『永劫の探究』。微妙に異なるので、TRPG導入時にアレンジが加えられている可能性がある。またダーレスの『永劫の探究』によると、クトゥルフ教団の拠点は世界に8箇所あるとされ、幾つかが先述の強個体5箇所に重複する。
^ ゾス三神の商業出版物上での初出は『タイタス・クロウの帰還』である。カーターがゾス三神を作品内で発表するより前に、交流のあったラムレイがゾス三神を作品内で言及した。
^ これは、非ラムレイの手によるリン・カーター版ネクロノミコンでも採用されており、アブドゥル・アルハザードは、クトゥルフの落とし子を@ガタノトア、Aイソグタ、Bゾス=オムモグ、Cそして余には述べる勇気としてないもの、と記している。クティーラの名前を出さずに、存在を暗示している。
^ ラムレイのクタニドは双眼、HPL由来のクトゥルフは六眼。
^ ラムレイの旧神は、優れた科学者である。太古の知恵が、ある側面では魔術とみなされ、他方では科学であるというのが、ラムレイ作品のスタンスである。
^ サーガ最終作『旧神郷エリシア