ニンニク
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

ニンニクは自然状態ではアリインを多量に含み、鱗茎がすりおろしなどで加工されて分解されるとアリシンに変化するが、どちらも非常に強力な成分であり、生で1日1片、加熱調理で1日3片を超えて摂取すると有害な副作用が現れる[12][13]

ニンニクの株

株元



総苞に包まれた花序と花茎

花序(開花期)

花序にはムカゴがつく

花蕾

鱗茎

歴史江戸時代の農業百科事典『成形図説』 (1804年)

原産地は中央アジアと推定されるが[4]、既に紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていた。また、紀元前1550年ごろにエジプトで書かれたという、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』には薬としても記載されている。中国へは紀元前140年ごろに伝わり、日本には中国を経て8世紀ごろ(平安時代)には伝わっていたと見られる[14]

日本では、禅宗の禅寺の戒壇石に「不許葷酒入山門」(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)と刻まれるように、強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教僧侶の間ではニラネギ等とともに五辛の一つとして食が禁じられた。漢字表記の「蒜」「大蒜」は漢語に由来する一方、仏教用語の「忍辱(にんにく)」がニンニクの語源となったとされる[14]。『大和本草』巻之五 草之一 菜蔬類では、悪臭甚だしくとも効能が多いので人家に欠くべからざるものと評価された。

古代日本では上記の通り禁葷食となったほか、肉や油を摂る習慣のなかった当時は食材としては刺激が強すぎるため、薬や強壮剤として用いることが主だったとされる[15]江戸時代に入り徐々に食材として用いられるようになり、料理書『料理物語』にはたぬき汁鹿汁の添え物として、『江戸料理集』には鳥肉汁の薬味タニシの和え物として使われた記述がある[15]。近代に入り栄養面の研究が進むも、食後の口臭体臭が忌避され続けたため食材としては長らく活用されなかったが、第二次世界大戦後の食の西洋化・多様化により需要が高まった[15]
生産地

中国が世界のニンニク生産量の8割を占めており、安価であるため世界各国に広く普及している。

日本国内の流通においては、国産ニンニクの80%を青森県産が占め(市町村別では、十和田市[16]が最も多く生産している)、次いで香川県の出荷が多い。青森県田子町が「ニンニクの町」としてPRして[17]早くからブランド化に取り組み、独自の品種も開発している[18]。中国産と比べて香りが強く高品質であるが高価格でもある。

ニンニクを多量に用いるブラジルでは、本来冷涼な気候に適したニンニクを熱帯で栽培しているために、国産ニンニクの品質が良くなかったが、種苗会社『テクノ・プランタ』[19]カルロス・トシキにより開発された種苗により品質が大幅に向上した[20][21][22]。カルロスが開発したニンニク種苗はブラジル国内ではシェア100%を誇っており、地元では「偉大なにんにくスペシャリストの1人」として有名である[20][21][22]。カルロスは日本芸能界1986年から5年間オメガトライブ歌手として活動した後、ブラジルに帰国して知人の種苗会社就職し、国立大学でも農業を学んだという異色の経歴の持ち主である[20][21][22]
栽培収穫後は吊して乾燥する

ニンニクは種子がとれず、鱗片を種球として植える[5]。日本においては、暖地の場合、秋に鱗片を畑地に軽く植え付け、翌年の春から初夏に収穫する[23]。食用のニンニクでも種球にでき、病虫害の心配も少ないのであまり手間がかからず[5]、ニンニクの栽培は比較的簡単なことから、畑作のほか、家庭菜園アパートマンションベランダでのプランター菜園でも栽培できる。栽培適温は5 - 15度で、植え付けは9月ごろ、収穫は翌年6月ごろが望ましく、植え付けから収穫までは9 - 10か月ほどかかる[23][24]連作障害は出にくいほうで[5]連作は可能であるが、酸性土壌を嫌う性質をもっている[23]。密植して葉にんにくとしても利用できる[23]

植え付け前の畑は堆肥などをすき込んで、平らなをつくる[5]。植え付けは、ニンニクの鱗茎の外皮を外して分球したらば、鱗片の尖ったほうを上に向けて株間20センチメートル (cm) ぐらいずつあけて1片ずつ5 cmほどの深さで畑に植える[23][5]。植え付け後1週間ほどで芽が出て生長が始まる[23]。ふつうは1箇所から1本だけ芽が出るが、2本から複数出ることもある。その場合は芽かきをして、太くて丈夫な芽を残して1箇所1本だけにする[23][5]。秋の植え付けから12月までに1回目の追肥を行い、株元に土寄せを行っておく[23][5]。翌年の春に2回目の追肥を行い、中耕して土寄せを行う[25][5]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:117 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef