ニンジン
[Wikipedia|▼Menu]
涼しい気候が適しているが、苗の段階では比較的高い温度にも耐えられる。ニンジンは発芽率が低く、は好光性で吸水力が弱いため種撒き後は覆土はごく薄くし、雨後を狙って筋まきあるいは1か所に5 - 6粒ほど種を撒き、発芽するまで乾燥させないように管理する必要がある[16][17][5]

根が長く伸びるため畑はできるだけよく耕し[16]、短根ニンジンは多くの土質で栽培が可能なためあまり考慮する必要はないが、有機質に富んだ砂質土壌が最適とされる。しかし過湿に弱く、水はけが悪いと根腐れを起こしてしまう。土壌酸度はpH6 - 6.5の弱酸性から中性が適し[16]酸性ほど生育が遅れ、裂根が多くなる。また、日陰では茎葉ばかりが茂り、根の肥大が悪くなるためなるべく日陰になりやすい場所は避けたほうが良い。

長根種は一部の地域で栽培されているだけで、現在は五寸ニンジンと呼ばれる長さ15 cm内外の品種が多く栽培されている。これは品種も肉質や外皮の色、形状と揃い、カロテンの含有量、作りやすさなどを目的にして改良が進んでいるものである。このほかプランターでの栽培が容易な、栽培期間が60 - 70日と短いミニニンジンもある[18]

ニンジンは種を撒いて発芽するまでに7 - 14ほどかかる[16]。種まき後、新聞紙などを掛けて土が乾かないように管理していると、雑草が一斉に生えてきてどれがニンジンかわからないほどである。また生えてきたニンジンは生育が遅いため、除草作業を怠ると雑草に負け枯れてしまうので、雑草は小さいうちに早く抜き取ることが大切である。生育期間中は間引き追肥、株のまわりの土をかるくほぐす中耕を行う[17]。最初は支えあって育つため、本葉2 - 3枚(草丈6 cmくらい)になるまで待ち、1か所3 - 4本に間引きする[16]。その後、込み入っていると根が太くならないため、本葉が5 - 6枚(根が10 cmくらいにのころ)になってきたら、最終的に10 cm間隔ごとに1本ぐらいに間引く[18]。追肥は化成肥料などを行い、畝間(株間)を軽く耕して株元に土を寄せる[18][19]

品種によって異なるが、およそ種まきから3 - 4か月後の葉が茂ってくるころが収穫期で、株元の根の太り具合を見て大きくなったものから収穫する[18][17][19]。秋まきでは収穫が多少遅れても畑で貯蔵できるため問題ないが、春まきは収穫適期を逃すと根に(ス)が入ることがある[18]。また、春化を経て花茎が伸び始めたニンジンは形成層の内側が硬くなる「薹(トウ)立ち」を起こし、薹立ちしてしまったニンジンの芯の部分は食感が悪くなるため食用には適さなくなる。

病虫害は、キアゲハが卵を産み付けて幼虫による葉の食害を受けやすい[17][19]。多少葉を食べられても問題にはならないが、見つけたら取り除いて捕殺する[19]。また線虫(ネコブセンチュウ類やネグサレセンチュウ類)の被害を受けやすいので、前作に被害にあったところは避ける。

コンパニオンプランツとして、ニンジン(セリ科)とエダマメマメ科)を混植すると、お互いの害虫を予防する働きがあり、ニンジンの害虫キアゲハと、エダマメの害虫カメムシを寄せ付けにくくするといわれる[5]

ニンジンの自動計量・パッキング装置

ドイツのニンジン畑

ニンジンの収穫機

ニンジンの葉を食害するキアゲハの幼虫

日本の生産地

日本では最大生産地の千葉県をはじめ、北海道徳島県などが主産地である[9]。冬ニンジンは、茨城県埼玉県愛知県で多く出荷されており、季節により主産地は変わる[9]。輸入品は、中華人民共和国産が多く、ニュージーランド台湾オーストラリアなどからも輸入されており、一年を通して安定して供給されている[9]
種類

原産地からヨーロッパで改良された西洋系品種と、中国を経て日本に渡った東洋系品種に大別される[15]。西洋系よりも東洋系の方が肉質が締まり、特有のニンジン臭が強い[9]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:93 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef