ニューヨーク港
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船舶の運航のために港には約240マイル (380 km)の水路(水先案内人が必要)と、アッパー・ニューヨーク湾を中心に投錨地および港湾施設がある[10]。大きな船は水路を鋭角に回る時にタグボートの助力を必要とし、その例がニューアーク港に入るキルバンクルである。南東にある大西洋から港に入る主要な入り口は、ロッカウェイ・ポイントとサンディフックの間である。もう一つの入り口は北東のロングアイランド湾からイースト川河口にある。港は南西のラリタン川河口から北西のニューアーク港とさらに北のジョージ・ワシントン・ブリッジまで広がっている[11]。他の乗り物を使った港を横切る経路として、PATH(ハドソン川港湾公社)水底トンネルと下流のヴェラザノ・ナローズ・ブリッジなどがある。
港湾スタテンアイランド・フェリーのローワー・マンハッタン乗り場。

ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社の港湾施設として、合衆国では最大の石油輸入量と2番目の海上コンテナ取扱量を誇っている[12]。ニューヨーク港という言葉はニューヨーク市の港としての商業活動を示唆しているが、ニューヨーク市5区とニュージャージー州近郷都市の岸辺を含んでおり、1972年になって2州に跨る港湾公社の下に体系化された[13]1950年以降、ニューヨークとブルックリンの商業港は、近くのニューアーク湾にあるニューアーク・エリザベス港海上ターミナルのコンテナ船施設にほとんど完全にお株を奪われ、後者は東海岸で最大のコンテナ取り扱い港となっている。ニューヨーク港は旅客輸送でも重要性を失ってきたが、港湾公社はニューヨーク市(ラガーディア空港ジョン・F・ケネディ国際空港)とニュージャージー州(ニューアーク・リバティー国際空港)にある主要3空港を運営している[14]。ニューヨーク市にはまだ幾つかの定期航路、通勤用フェリーおよび観光客用周遊船がある。ブルックリンのレッドフックに新しい旅客施設が最近開館した。フェリーは大半が私企業によって運営されているが、スタテンアイランド・フェリーはニューヨーク市運輸局が運航している。
水路の維持

ニューヨーク港の管理責任は市から連邦政府まであらゆるレベルの政府に分け持たれている。港湾施設は2州の港湾公社によって管理されているが、水路の水深管理はアメリカ陸軍工兵司令部の管轄であり、1826年頃に連邦議会が包括的河川港湾法を成立させて以降関わっている[15][16]リバティアイランドとガバナーズアイランドの間のアンカレッジチャンネル北端を通過するポストパナマックスコンテナ船

ニューヨーク港の自然の水深は約17フィート (5 m)であるが、1880年に水深を管理するようになって、長い間に約24フィート (7 m)まで掘り下げられた[17]1891年までに主要船舶航路は水深最低30フィート (9 m)とされた。1914年、アンブローズ水路が港に入る主入り口となり、ここは水深40フィート (12 m)、幅2,000フィート (600 m)とされた。第二次世界大戦のとき、パナマックス級までの大型船に対応させるために、主要水路の水深は45フィート (13.5 m)とされた。現在工兵司令部は、スエズ運河を航行可能なポストパナマックス級コンテナ船に対応するため、水深を50フィート (15 m)にする契約をしている[18][19]。このことはニューアーク港のコンテナ施設と大西洋を繋ぐ水路での環境に関する関心を高めてきた。PCB(ポリ塩化ビフェニル)などの汚染物が海底土壌の下に堆積されていた[20]。多くの場所では砂の多い海底が浚渫されて岩層にまで達し、現在では爆破を必要としている。浚渫機械は岩を取り出してそれを廃棄処理している。2005年のある時点では、港内で70の浚渫設備が水路を深くするために動いており、世界でも最大の浚渫船隊となっている。この作業は時として騒音や振動を生み、スタテンアイランドの住人に感じられることがある。浚渫業者は爆破が行われるときには住人に警告している。
安全保障

アメリカ沿岸警備隊は、流出、救難およびテロ対策など水路の管理を行っている[21]。特に組織犯罪に絡む犯罪行為の防止と捜査は2州の沿岸委員会の責任である[22]。この委員会は労働者の違法行為と戦うために1953年に設立された(映画『波止場』の1年前)。当時はガンビーノ一家がニューヨーク側を支配し、ジェノヴェーゼ一家がニュージャージー側を支配していた[23]1984年、地元のトラック運転手達がRICO(組織犯罪に対処する法)管理のもとに置かれ、2005年には国際沿岸労働者協会に対する訴訟が起こされた[24]

2006年3月、港の乗客設備はドバイ・ポート・ワールドに移管された。アメリカ合衆国港湾の運営を外国、特にアラブの国に所有されることについて安全保障に関する議論がある。実際の運営者はイギリスに本拠を置くP&Oポーツであり[25]、また中華人民共和国によって支配される会社のオリエント海外投資会社がハウランドフック・海上ターミナルの運営契約をしているという事実もある[26]


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