ニューヨークの人口で特徴的なのが、人口密度の高さと、文化的な多様性である。市の人口密度は1km2あたり1万194人であり、人口10万人以上の自治体の中ではもっとも高い[199]。マンハッタンの人口密度は1km2あたり2万5,846人であり、アメリカの郡の中で1位である[200][201]。
人口の多様性も著しい。歴史を通じて、ニューヨークは移民が流入してくる玄関口であった。「人種のるつぼ (melting pot)」という言葉は、最初、ロウアー・イースト・サイドの人口密度の高い移民地区を指す新語として作られた。現在、市人口の36.7%が外国生まれであり、3.9%はプエルトリコ、米国の諸島生まれ、またはアメリカ人の親を持って外国で生まれた者である[202]。これより外国人人口の比率が高いのは、ロサンゼルスとマイアミだけである[201]。両都市の場合は、いくつかの国籍によってほとんどが占められているが、ニューヨークの場合は、支配的な国籍や出身地は特にない。現代の移民の出身地で多いのは、ドミニカ共和国、中国、ジャマイカ、ガイアナ、メキシコ、エクアドル、ハイチ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、ロシアである[203]。市内ではおよそ170の言語が話されている[11]。21世紀の現代においてもなお、不法移民に寛容的な施策をとる聖域都市の代表例であり、統計に反映されない住民も多数存在する[204]。
ニューヨーク都市圏は、イスラエル外における最大のユダヤ人コミュニティをなしている。テルアビブ市域(都市圏ではなく、自治体の境界内)の人口も、ニューヨーク市域のユダヤ人口に及ばないため、ニューヨークは世界最大のユダヤ人コミュニティであるといえる。フィオレロ・ラガーディア市長や「ニューヨークのマスタービルダー」と呼ばれたロバート・モーゼスなどニューヨークの著名人にユダヤ系は多く、ニューヨーク市民の約12%がユダヤ人またはユダヤ系の子孫である[205]。また、インド系アメリカ人の人口も大きく、アメリカ国内の約4分の1が集まっている[206]。アフリカ系アメリカ人のコミュニティもアメリカの都市の中で最大である。そのほか、ニューヨーク都市圏の中国系人口は、アジア外の都市圏で最大であり、2007年コミュニティ調査の時点で61万9,427人で、チャイナタウンも少なくとも6つを数える。
2005年推計で、5大民族集団は、プエルトリコ系、イタリア系、カリブ系、ドミニカ系、中国系である[207]。ニューヨークのプエルトリコ系人口は、プエルトリコ外で最大である[208]。イタリア系は、20世紀初頭に大量に流入した。アイルランド系は、第6位の民族集団であり、同じく重要な地位を占めている。ヨーロッパ系のニューヨーク市民50人に1人には、Y染色体に、アイルランドの5世紀の王、九虜囚のニールにまでさかのぼる遺伝学的特徴を有している[209]。
アメリカ合衆国統計局が実施した2005年から2007年のアメリカコミュニティ調査の時点で、市人口の44.1%が白人(非ヒスパニックは35.1%)である。