ニューヨーク市地下鉄
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

468駅[1][注 2]が設置されており、全ての路線と駅で24時間営業が行われている。年間利用者数は約17億5000万人(2014年)で、世界で7番目に利用者が多い地下鉄でもある。
歴史
前史
ビーチの気送管式地下鉄

ニューヨークで最初の「地下鉄」は、1869年サイエンティフィック・アメリカン誌の編集者で弁理士、発明家のアルフレッド・イーリー・ビーチが建設したビーチ・ニューマチック・トランジットである[6]

当時ニューヨークは水運や工業の発達と移民の流入によって人口が大幅に増加し続けており、現在の市域にあたる5郡の人口は1830年には約24万3000人だったものが60年後の1890年には10倍以上の約250万7000人にまで増加していた[7][8]

人口の大半が集中するマンハッタン島には1832年に開業した馬車鉄道乗合馬車の他に交通機関がなく、19世紀中頃には街路の横断が「命がけ」と称される程の激しい道路混雑が問題となっていた[9][10][6]。ビーチの地下鉄はこの問題の解決策として計画されたが、彼の設計した地下鉄は当時ロンドンの地下鉄蒸気機関車を使用していたのとは異なり、気送管の技術を応用しトンネルとほぼ同じ大きさで円筒形の車両を送風機によって押し出すか吸い出すことで運転するという特殊なものだった[11][12][6]

建設にあたって、ビーチは馬車業者や政敵で当時市政を牛耳っていたタマニー協会の「ボス」ことウィリアム・M・トウィードの妨害を避けるため、郵便物用の気送管と偽って許可を取得し人目につかないよう夜間にひっそりと工事を進めた[13][11][10][6]。トンネルは市庁舎の真横、ブロードウェイとワーレン・ストリートの交差点からマレー・ストリートまでの1ブロックだけで延長はわずか312フィート(95メートル)しかなかったが、注目を集めるため駅の待合室には豪華な装飾が施されていた[11][14][6][15]

ビーチが1870年2月28日にトンネルを一般公開すると地下鉄はたちまち市民の注目の的となり、1873年4月にはトンネルをセントラル・パークまで延長する計画が許可された[14][16][17][15]。しかし、同年に発生した1873年恐慌の影響で必要な資金を調達できなくなったこと、また空気圧による制御が難しいという技術的な問題があったことなどから支持を失い、資金を使い果たしたビーチは1874年に運行を停止し、トンネルを封鎖した[16][18][17][15]

その後、ビーチの地下鉄は人々から忘れ去られたが、1912年になりBMTブロードウェイ線シティホール駅の建設現場で偶然発見され、取り壊されて同駅の一部となった[18][19][15]
高架鉄道の発達

ビーチの試みが失敗に終わった一方、地下鉄開業以前のニューヨークでは高架鉄道が発達した。最初の高架鉄道は技師のチャールズ・ハーヴェイがグリニッジ・ストリートに建設したウェストサイド・アンド・ヨンカーズ・パテント鉄道(West Side and Yonkers Patent Railway,後のIRT9番街線[20])である[21][22][15]

この路線は全長4分の1マイルの高架式ケーブルカーで、ビーチの地下鉄同様デモンストレーションを目的とし1867年7月3日に最初の試験走行を行った[22][15]。試験結果は良好で、ハーヴェイは路線を9番街を北上してマンハッタンの北端まで延伸する許可を得たが、1869年に発生した金融危機によって同社は破産宣告され、1871年にニューヨーク高架鉄道 (New York Elevated Railroad Company) として再出発し蒸気機関車による運行を開始した[23][24]

その後、1880年までにニューヨーク高架鉄道が3番街と9番街、新たに設立されたメトロポリタン高架鉄道 (Metropolitan Elevated Railway) が2番街6番街に高架鉄道を開業させ、1879年には両社はともに鉄道王ジェイ・グールドの支配するマンハッタン鉄道 (Manhattan Railway Company) の傘下に統合された[25][26][27][28][24]。高架鉄道は1880年には6803万1757人、1890年には1億8820万3877人を輸送するようになっていたが、騒音や煙を撒き散らすとともに街路への採光を妨げ、激しい混雑や運行速度の遅さなど都市高速鉄道としては問題が多く、住民の反対運動を招くことになった[29][28][19]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:129 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef