ニューヨーク・タイムズ
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現在のニューヨーク・タイムズは、部数の面では2大全国紙USAトゥデイ(227.8万部)、ウォール・ストリート・ジャーナル(206.2万部)の半分程度だが、一般紙としてはワシントン・ポストと並び著名な新聞であり、地方紙でありながらも米国を代表する新聞と見なされている(米国内の日刊新聞は99パーセントが地方紙で、全国紙はUSAトゥディとウォール・ストリート・ジャーナルだけである)。

タイムズは、主に米国内の記事が選定対象になるピューリッツァー賞を90余り受賞するなど、その記事は米国内では高く評価されてきた。1971年には、ベトナム戦争に関するアメリカ国防総省の秘密資料ペンタゴン・ペーパーズが掲載された。これをうけ、政府はタイムズ紙を機密漏洩罪で告訴したが、裁判所は報道の自由を政府の文書公開基準に優先するとの判決をくだした。この裁判は、合衆国憲法修正第1条言論の自由)を巡る以後の判例に、大きな影響を与えた。翌年1972年には、アフリカ系アメリカ人梅毒感染者たちが暗密のうちに治療を拒否されていることを報告し、大きな議論を巻き起こした。最近では、2004年の仕事現場の安全性に関する記事で、ピューリツァ賞を受賞している。

重要な演説、議論などが行われた際にはその原稿を一字一句もらすことなく全て掲載することでも知られている。

ニューヨーク州には16の局を持ち、他には11の国内支局、26の海外支局を有する。2004年12月26日時点では、総発行部数はウィークデイで1,124,700部、日曜版は1,669,700部であった。

経営はニューヨーク・タイムズ・カンパニーによって行われ、アドルフ・オックスの子孫であるサルツバーガー家が株式を所有している。

2016年ドナルド・トランプ大統領就任以降、トランプ大統領の意向で政権の発表情報にアクセスすることが難しくなったことから、調査報道に力を入れ始めた。

調査報道をはじめとする権力監視のスタンスが共感を得たこともあり、2018年には電子版の契約者数が昨年比21%増を記録、経営の立て直しに一定の目処がたったことから記者を増員し編集部を1600人体制へと拡大することを発表した。[5]

2019年10月27日までに、ホワイトハウスは全ての連邦政府機関に対しニューヨーク・タイムズの購読停止を求めたと発表した。トランプ大統領は、2016年アメリカ合衆国大統領選挙から一貫してタイムズ紙などの報道をフェイクニュースとして批判を続けてきた[6]

2022年1月6日、有料スポーツ専門サイトのジ・アスレチック(2016年創設)を5億5千万ドル(約640億円)で買収することに合意した[7]2023年7月10日には、ニューヨークタイムズのスポーツ部を解散し、スポーツチームや試合に関する取材や報道は、傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」に移行すると発表した[8]
報道内容について
リベラルな論調.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "ニューヨーク・タイムズ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年5月)

一般的にタイムズはリベラルな論調を持つとされる。これは政治記事と社会記事において顕著である。同性婚についても肯定的で、同性の結婚記事が異性間と差別なく掲載される。もっともアメリカでは大統領選挙などで新聞が特定候補の支持を鮮明にするなど、政治色を強く打ち出すことは許容されている。保守系メディアのFOXニュースから近年、一貫して攻撃を受けている。

マサチューセッツ工科大学のリカルド・パグリシは2004年に " Being the New York Times: The Political Behaviour of a Newspaper " という論文を発表した。この中で彼は1946年から1994年の期間におけるタイムズ紙の取り上げた記事を調査し、タイムズが民主党支持であることを統計から立証している。例えば大統領選では優先的に民主党候補を取り上げ、対立する共和党候補については小さな記事で扱う、などである。

特集項目の中の芸術関連記事(主要項目を参照)における政治的コメントについてはジャーナリズムにおけるバイアスの典型であるとの指摘もある。例として、A・O・スコットの映画評論記事は時折保守派に対する皮肉が散見され、フランク・リッチ執筆のアート関連コラムでは頻繁に芸術とは関連性の薄い保守派攻撃がなされている。

タイムズの専属コラムニストにより執筆される Op-Eds については他の紙面に比べ独立性が高く政治的偏向も少ないとされる。しかしこのセクションについても政治的中立性が批判されることがある。
ニュース、論説、広告の混同

2002年11月25日、紙面のトップ記事として "女性選手のオーガスタ参加について沈黙を続けるCBS" との記事を掲載した。この記事ではマスターズ選手権の主催者であるオーガスタ・ゴルフクラブが女性ゴルファーの参加を拒否している問題を扱い、ボイコットの支持を示唆していたが、これに対し批評家からは事実報道と論説の混同であるとの批判がよせられた。保守派ブログの主宰者ミッキー・カウスは編集長のレインズが "ニュース" という言葉の再概念化を行っていること、ここでいう "ニュース" とは個人や団体がレインズが望むような失敗をすることであろう、と批判した。

社説のページにおいてエクソンモービルの広告記事を掲載していることにも批判が存在する。紙面に掲載される編集者への手紙 " letters to the editors " を恣意的に選択しているとの批判もある。
タイムズ自身によるバイアスの調査

2004年の夏、上記のような批判に対してパブリック・エディターであるダニエル・オクレント執筆の調査記事が掲載された。彼はタイムズ紙が幾つかの項目においてリベラル支持のバイアスを有していることは確かであるとし、例としてゲイカップルの結婚問題をあげた。彼はこのバイアスがニューヨークの新聞としてのコスモポリタニズムに起因しているとしている。

オクレントは経済政治外交問題、市民権などに関する記事については言及を避けている。ただ彼はイラク戦争の問題に関してブッシュ政権批判が不足していたとしている。
イラク大量破壊兵器報道問題

2002年9月8日、ジュディス・ミラー記者による記事で「イラクが過去1 - 2年にウラン濃縮技術に必要なアルミニウム管数千本を入手しようとしていた」という政府関係者からの情報を掲載した。その日チェイニー副大統領はTVでのインタビューで「これは今朝のニューヨーク・タイムズにも載っていた確実な情報だ」と述べ、フセイン大統領の核開発疑惑を訴え、イラク戦争への世論誘導に利用した。


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