ニューズ・コーポレーション_(1979-2013)
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同年9月4日にマードックはアメリカの市民権を得て帰化し、合衆国国民のみがアメリカのテレビ局を所有できるとする法的要件を満たした。翌1986年にメトロメディアは営業を終え、FOXブロードキャスティング・カンパニーが設立された。略称の「FOX」の名で知られるこのネットワークは当初96局の放送局で全米の80%の世帯をカバーしていた。若者向けの路線や「コップス」などの実録番組で人気を博し、1993年にはCBSからNFL中継を引き抜くなどしたが全米での市場シェアは限られていた。1990年代半ば以降、全米各地の大手の放送局網を買収し、2000年の買収によって全米の96%以上の世帯をカバーし、三大ネットワークに並ぶ規模となっている。

1987年にはかつて父が所有し本拠としていたオーストラリアのザ・ヘラルドとウィークリー・タイムズの買収についに成功し、父のメディア王国を取り戻した。しかし1991年にはニューズ・コーポレーションが抱えた負債が膨らみ、マードックは1980年代半ばに買収したアメリカの雑誌事業の多くの売却に追い込まれた。この原因はマードックが作ったイギリスの衛星放送局スカイ・テレビジョンが放送開始後数年間で巨額の負債を出したことであり、彼はこれまで同様に他の事業の収益で新規事業の穴を補填しようとしたが負債額が多すぎ限界があった。1990年、ライバル社のブリティッシュ・サテライト・ブロードキャスティングをマードック側の条件によってスカイ・テレビジョンと合併させてブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング(BスカイB)を成立させたことで補填を止めたが、この後遺症が1991年の事業売却につながっている。

1995年、アメリカ連邦通信委員会(FCC)は、オーストラリアを本拠とするマードックのニューズ・コーポレーションがFOXテレビを所有することは違法だと主張し、FOXテレビは精査の対象となった。しかし一方でマードック寄りだったFCCは、マードックがFOXテレビを所有することは公衆の利益にかなっていると述べている。同じく1995年、ニューズ・コーポレーションは大手電話・通信会社のMCIコミュニケーションズと共にインターネットにニュース・ウェブサイトを立ち上げると発表した。1995年には他にも保守系ニュース雑誌「ザ・ウィークリー・スタンダード」の創刊、オーストラリアでの有料放送「Foxtelペイ・テレビジョン・ネットワーク」創設などが続いた。

1996年にはニュース専門の24時間放送ケーブルテレビ放送局・FOXニュースを設立し、CNNのシェアに挑戦した。2000年代にはFOXニュースは「最も観られているケーブル・ニュース・チャンネル」を称するほど成長し、これには2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降の不安な世相に愛国的報道がマッチした影響が強い。2004年の視聴率調査ではFOXニュースはケーブルニュース番組の視聴率トップ10のうち9番組を擁するまでになり、CNNを引き離している。

1999年、ニューズ・コーポレーションは、カイリー・ミノーグガービッジを擁するオーストラリアの大手インディペンデント・レコード会社マッシュルーム・レコーズの半分近くを買収、ニューズ傘下のフェスティバル・レコーズと合併させフェスティバル・マッシュルーム・レコーズ(FMR)を設立し、オーストラリアの音楽業界における所有率を高めた。FMRはマードックの息子、ジェームズ・マードックが経営している。

2003年末、ニューズ・コーポレーションはアメリカ最大の衛星テレビ局・ディレクTVを経営するヒューズ・エレクトロニクス(ハワード・ヒューズの会社の後身。この後「ディレクTVグループ」に社名変更)の株式の34%を60億ドルでゼネラルモーターズから買収し、傘下におさめたが、2006年末、リバティメディアに譲渡することで合意している(後述)。

2007年、ニューズ・コーポレーションはウォールストリート・ジャーナルの発行元である出版社・ダウ・ジョーンズに対する買収を進めた。ウォールストリート・ジャーナル社員や他の経済メディアの間からは、ウォールストリート・ジャーナルが大衆路線のニューズ傘下に入ることに対する懸念の声が噴出したが、1903年にダウを買収したクラレンス・W・バロン (Clarence W. Barron) の子孫でダウ社に影響を持つバンクロフト家 (Bancroft family) との間で買収についての合意がなされた。買収額は56億ドルと見られている。

2012年、出版部門と娯楽部門に分割されることになった。ただし、議決権の4割はマードック一族が保有する[5]

2013年6月、出版事業を主とするニューズ・コープ(News Corp)と映画を含むエンターテインメント事業を主とする21世紀フォックス(21st Century Fox)に分社化された。
株式

2005年8月の時点で、マードックとその家族はニューズ・コーポレーションの株式の29%を所有しており、ルパート・マードックが会社を実効支配している。

ジョン・マローンが率いるリバティメディアは、1999年にFox/Liberty Network(FOXスポーツネットやFXを運営)の持ち分と引き替えにニューズ・コーポレーション株式8%を取得、2004年にはメリルリンチから株式を取得、17%まで所有比率を引き上げたが、ニューズ・コーポレーション側の同意なく行われたためポイズンピルを発動していた。結局、2006年末、リバティメディアが保有していたニューズ・コーポレーション株式16.1%とニューズ・コーポレーションが保有していたディレクTVグループ株式38.5%およびFOXスポーツネット加盟局3局などを交換することに合意した。

サウジアラビアの王子でありキングダム・ホールディング・カンパニーを率いる投資家、アルワリード・ビン・タラル・アル・サウードは6%から7%の株を持っているとされる[6]
日本での活動

日本では1996年ソフトバンクと組んでCS衛星放送プラットフォームJスカイB」計画を発表。その一環として、旺文社所有の全国朝日放送(現・テレビ朝日)の株式を取得、これを足がかりに日本の地上波テレビ局からのコンテンツ供給を目論むが、大株主である朝日新聞社の反発にあい売却した。

同年、ソフトバンクと共同でプラットフォーム会社のジェイ・スカイ・ビーを設立。翌1997年にはソニーフジテレビジョンも加わる。JスカイBは1998年にパーフェクTV!を運営する日本デジタル放送サービス(現・スカパーJSAT)と合併し、スカイパーフェクTV!(現・スカパー!)のスカイサービスとなる。

また、1996年にはJスカイBへの番組供給会社としてスカイエンターテイメント(現在のジェイ・スポーツ・ブロードキャスティング(J SPORTS))に出資。1998年にはニューズ・ブロードキャスティング・ジャパン(現・ウォルト・ディズニー・ジャパン)を設立。最大10チャンネルを運営していたが、利用者の伸び悩みからFOXチャンネルナショナル ジオグラフィック チャンネルを残して撤退。他社への出資のうち、スター・チャンネルを除く、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(当時)やJ SPORTS、日本映画衛星放送スペースシャワーネットワーク(Channnel [V]事業を同社に承継した際に9.9%の株式を取得)の株式は他社に売却した。

近年になって再びチャンネル数拡大の動きがあり、2005年12月にはFOXライフHD(現・FOXライフ)、2006年10月にはサスペンスシアター FOXCRIMEを開局。2007年4月にはIMAGICA TVよりホラーTV(現・FOXムービー)、2008年4月にはダイネン企画よりGLC24時間英会話ch(「Baby TV こどもえいごチャンネル」に名称変更)の運営を譲受。2009年4月には、スカパー!e2FOXプラス(FOXライフ、FOXCRIME、FOXムービーの混合編成)を開局している。
関連企業(2013年以前)「ニューズ・コープ」および「21世紀フォックス」も参照

前述の分社化により、出版関連事業は主に新しく誕生したニューズ・コーポレーション、映画を含むエンターテインメント関連事業は主に21世紀フォックスの傘下となっている。なお、衛星放送のFoxtelやFOXスポーツ・オーストラリアはニューズ・コープ・オーストラリア(ニューズ・コーポレーション傘下)に含まれ、21世紀フォックスの傘下ではない。また、この他にインターネットサービスのMySpaceなど、出版事業と直接関わりがないものでもニューズ・コーポレーションによって所有されている場合がある。
出版

ハーパーコリンズ

ReganBooks

Zondervan

新聞

オーストラリアの新聞

ザ・ヘラルドサン(The Herald Sun)ビクトリア州

デイリー・テレグラフ(The Daily Telegraph)(ニューサウスウェールズ州


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