ニホンザル
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肉食の報告例として2015年には北アルプスライチョウの幼鳥を捕食している姿が観察されている[13]

繁殖様式は胎生。主に秋季から冬季にかけて交尾を行う[5][4][7]。妊娠期間は161 - 186日[7]。この時期以外にメスが発情期に発情することは少なく、月経もまれ(月経があっても無排卵月経[5]。春季から夏季に1回に1頭(まれに2頭)の幼獣を1回産む[4]。出産間隔は2 - 3年だが[4]、栄養状態によってはより長くなることもある[8]。授乳期間は11 - 18か月[7]。メスは生後5 - 7年で性成熟する[4][8]。野生下での寿命は主に25年以下(幼獣の死亡率が高い)だが[4]、一方で餌付けされた個体群では30年以上の生存が推定されている個体や生後26年で出産した例もある[7]
文化的行動

幸島の個体群では、餌のサツマイモを海水で洗って食べる行動が報告されている[5][8]。群れの他のものにもそれをまねするものが現れた。海水でサツマイモなどの砂を洗い落として塩味をつける「イモ洗い行動」、砂浜にまかれた麦粒を海中に投じて選別する「砂金採集行動」が関心を呼んだ[14]。比較的若い個体がこうした行為を行い、成長しその個体と血縁関係がある個体を中心に同様の行動を行う傾向がある[5]。一方でこうした行動が「模倣による伝搬」なのか「他の個体の行為を見て刺激を受け、試行錯誤し結果的に同じ行動を行う」のか慎重に検討すべきだとする意見もある[5]

幸島のサルが魚を食べた事例は、1980年代以前に関しては餌として蒔かれたものが4回、浜に打ち上げられたものを取って食べたのが2回と記録されている[15]。しかし生きている魚を捕まえて食べてはいない[15]
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出典検索?: "ニホンザル" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2012年7月)
雪の中温泉につかるニホンザル(長野県地獄谷野猿公苑
サルは熱帯を中心に分布しており、世界的に見れば、このような光景は稀有である。(ビデオ)地獄谷野猿公苑

以前は、強力な統率力をもつボスザルとそれを取巻くメス、幼獣を中心として、他のオスは周辺部に位置し、中心部に入ることが許されないという「同心円二重構造」として群れの社会構造が説明されていた。なお、「ボスザル」という呼称は後に「リーダー」などと呼び変えられた。

ニホンザルの社会の仕組みについては、以下のようなものと考えられていた。

群れを構成するのは成体のオスとメス、および幼獣と若者である。群れに入らない離れザルがあるが、これは若いか成体のオスがほとんどである。

群れの個体はすべての個体間で力の強弱による順位が決まっており、全体として直線的な順位制を持っている。順位が高いものに対しては尻を向け、上位者がその後ろから乗りかかる「マウンティング」という行動があり、これによって順位が確かめられると同時に、争いが回避される。順位が離れるほどこの行動はおこなわれなくなる。

単なる順位制でなく、階級があって、それぞれに群れの中での位置が決まっている。

リーダーは大人オスの1 - 数頭で、群れの中央に位置し、その周囲にメスと幼獣、その外に若者オスが位置する。

リーダーは外敵から群れを守り、また、群れ内部での争いに介入して仲裁する。

雄は幼い間はメスと共に群れの中央にいるが、若者になると群れの外側に出て、一部は離れザルとして群れを去る。

若者オスは群れの中での順位が上がると次第にリーダー的な行動を取るようになり、サブリーダー(ボス見習いとも)となるが、ボスとなって群れの中央に入るにはメスグループの了承を必要とする。

メスは終世群れの中央にいる。順位はあるが、はっきりとした階級はない。

しかし、伊沢紘生らによる白山にすむ野生群などの研究ではボスザルの存在は認められず、群れは「仲間意識」によって支えられた集団であるとしている。群れ内に「ボス」や「決まった順位」があると見えるのは、人間による餌付け(決められた場所、時間、量のサツマイモや大豆などの給餌による飼いならし)という餌の独り占めが現れやすい特殊な状態下だからだ、という見解である。また「順位制」という「制度」的なものがサルの社会にあるかのような表現も再考されるべきであるとしている。

なお、欧米諸国ではサル類が生息しないため、いわゆる先進諸国で野生のサル類が国内に生息する日本とニホンザルは特別視されてきた。ニホンザルのことを英語で Snow Monkey と呼ぶのは、サルが熱帯の動物と考えられていたためである。
人間との関係

後述するように猿を神として祀る信仰が存在する一方で、狩猟対象として肉を食用とする風習が一部の地方には存在した。詳しくは猿食文化を参照。

1952年京都大学によって幸島で生態研究を目的とした餌付けが行われた[9]ほか、後述する天然記念物のうち幸島、高崎山臥牛山箕面山、下北半島でも餌付けが行われた。天然記念物非指定の地域も含めて1970年代までに最盛期には日本で30箇所の計画的な餌付けによる野猿公苑が本州以南に設置されたが、その後減少に転じて1989年時点では17箇所となっていた[16]。それ以外にも、モラルを欠いた観光客によって餌付けされる例がある。餌付けによる個体数増加に伴い、周辺地域での人間に対する直接的な被害も含めた猿害も発生しており、給餌量制限が実施されることもある[9]

また、本種は重要な農業害獣である。1947年以降の狩猟獣からの除外、農村の衰退などにより本種が人間の居住域にも進出するようになった結果、農作物の被害(猿害)が主に1970年代から増加している[8]。シカやイノシシの侵入を防止する通常の柵は登って越えてしまううえ、爆音機やかかしなどの威嚇手段は実害がないことを即座に見抜いてしまう。そのためニホンザル対策には有刺鉄板を柵に取り付ける、電気柵を設置する[9]など相応の工夫が必要であり、高額な対策費を要する。しかし、周囲の木などから飛び降りる、通電していない部位や漏電箇所を伝って柵を越える、などの手段で突破されることも珍しくない。さらにシカ・イノシシと異なり常に十数匹?数十匹の群れで行動すること、農作物の最も食味の良い箇所や最も柔らかい箇所のみを食べて残りの可食部は捨てて食い散らかすこと、収穫期前の農作物を食害する際には手当たり次第に一口のみ齧って熟したものを探し回ることから、農作物に対して甚大な被害をもたらし、摂食量以上の被害額が発生する。昼行性であるため農作物を荒らしている最中の姿を目にしやすいが、本種を追い払おうとすると逆に本種から威嚇や攻撃をされる危険性がある。

2019年の農業被害額は約9億円で、シカとイノシシに次ぐ第三位であるが、被害面積当たりの被害額では第一位である[17]。木登りが得意であることから、土壌に植えられている野菜類のみならず樹上の果実も大規模な食害を受ける[18]。また、食物の乏しい冬季には樹皮を食料とする習性があるため、果樹は果実のみならず樹皮を丸ごと剥がされる被害も発生する。

ニホンザルによる食害の特徴として、農作物への単純な経済損失以上の被害が発生する点が挙げられる。これは前述の摂食習性に加え、畑の外へ農作物を持ち出して摂食行動をとることもあるためである。そのためニホンザルの被害を受けると畑とその周辺に食べ残しの農作物が大量に散乱するという惨状を呈する。食い散らかされた農作物を目にする農業従事者の精神的苦痛も大きいうえ、可食部が残っている農作物の廃棄にも手間と費用がかかる。


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