ニック・ランド
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1990年代に活動したグループ「サイバネティック文化研究ユニット(Cybernetic Culture Research Unit, CCRU)」の共同設立者であり、加速主義やスペキュレイティブ・リアリズムの発展に強い影響を与えた人物とされる[3][4][5]

最近では、平等主義に反対する新反動主義運動である「暗黒啓蒙」運動の命名者かつその理論的支柱としての活動で知られる[6]。暗黒啓蒙の思想は、オルタナ右翼に哲学的基盤を与えている[7]
略歴

ランドは1987年から1998年に辞職するまで、ウォーリック大学の講師として大陸哲学を教えていた[2]。ウォーリックでは、セイディー・プラントと共同でサイバネティック文化研究ユニットを設立した。1992年に単著『絶滅の渇望――ジョルジュ・バタイユと有毒性ニヒリズム(The Thirst for Annihilation: Georges Bataille and Virulent Nihilism)』を上梓したほか、CCRUとして活動していた1990年代には短い論考を多数発表した[4]。これらのテクストの多くは2011年に出版された論文集『有牙ヌーメナ――論文集1987-2007年(Fanged Noumena: Collected Writings 1987-2007)』に収められている。

中国上海にアーバナトミー出版の編集者として勤務し[8][8][9]上海万博に関するもの[10] など中国に関する著書が多数あり[11][12][13]西洋人権民主主義的な価値観から中国の国家資本主義に恐怖や憧憬を抱くオリエンタリズム的でテクノクラティックな未来を上海や香港といった中国の都市に投影する姿勢は中華未来主義[14] とも呼ばれている。

2017年3月までニューセンター・フォー・リサーチ・アンド・プラクティスで教鞭も取っていたが、「今年に入ってランドが、イスラム教徒や移民に対して不寛容な意見を唱えるツイートをいくつかしたことを受け」、センターは彼との契約を打ち切った[15]

ランドの著作は哲学理論をフィクション、科学、詩、パフォーマンスアートと非正統的な仕方で交差させる点が特徴的である[5]。最近、心理的ホラー・フィクションを執筆し始めた。

ランドは電子出版社のアーバナトミー・エレクトロニックとタイム・スパイラル・プレスを設立した(後者はアンナ・グリーンスパンと共同設立)。
批判

同じウォーリック大学出身で加速主義の分析者であるレイ・ブラシエは、「ニック・ランドは、20年前の『政治は死んだ』という主張から、完全に時代遅れでありきたりな反動主義へと退行してしまった」と述べた[16]
著作
単行本

The Thirst For Annihilation: Georges Bataille and Virulent Nihilism
(London and New York: Routledge, 1992)

Fanged Noumena: Collected Writings 1987-2007 with an introduction by Ray Brassier and Robin Mackay (Falmouth, UK: Urbanomic, 2011)

Templexity: Disordered Loops through Shanghai Time (Urbanatomy Electronic, 2014)

Phyl-Undhu (Time Spiral Press, 2014)

Chasm (Time Spiral Press, 2015)

日本語訳

『現代思想』2019年6月号 特集「加速主義」暗黒啓蒙(抄) 五井健太郎訳
青土社

『暗黒の啓蒙書』 五井健太郎訳 講談社 2020年

『絶滅への渇望-ジョルジュ・バタイユと伝染性ニヒリズム-』 五井健太郎訳 河出書房新社 2022年

脚注^ Beckett, Andy (11 May 2017). "Accelerationism: How a fringe philosophy predicted the future we live in". The Guardian.


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