ニジェール
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

しかしクーデターを引き起こし政権を掌握した軍事政権が2023年8月3日に対仏軍事協定を破棄した[27]。同年9月24日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は年内に駐留軍を撤退させると表明した[28]

この節の加筆が望まれています。

地理地形図ニジェールのケッペン気候区分。赤が砂漠気候、オレンジがステップ気候であり、全域が乾燥帯に属する。詳細は「ニジェールの地理(英語版)」を参照

ニジェールの気候は北部に行くほど乾燥しており、北部・中部を中心に国土の5分の4をサハラ砂漠が占めている。南部は全域がサヘル地帯に属しており、ステップ気候(BSh、砂漠気候からサバナ気候への移行部)を示す。サヘル北部は降水量が150 mmから300 mmほどであり、農耕は不可能だがわずかに育つ草を利用して遊牧が行われている。サヘル中部は降水量が300 mmから600 mmほどとなり、を利用する天水農業が主力となり、牧畜も行われている。この気候帯は全国土の10 %ほどを占め、首都のニアメやザンデールなどの主要都市が点在し、ニジェールの人口の多くがこの地域に居住する。南下するほど降水量は増加していき、ベナン国境に近い国土の最南部は全国土の1%ほどにすぎないが降水量が600 mmから750 mmほどとなって最も農業に適している[29]雨季は南に行くほど長くなるが、おおよそ6月?9月が雨季に当たり多湿となる。2月にはサハラ砂漠から非常に乾燥した季節風ハルマッタンが吹き込むため気温が下がり、または砂塵がひどくなる[30]

地形は基本的に南に向かうほど標高が低くなるが、国土中央のアイル山地および北端のリビア国境の山地を除いてはおおむね平坦な地形である。最高地点はアイル山地のイドゥカル・ン・タジェ山 (別称バグザン山、標高2022 m) で[31]、最低地点はニジェール川の標高200 mである。

ニジェールは乾燥地帯に位置し、年間を通じて流水があるのは国土南西部を流れるニジェール川のみである。なお、南東端はチャド湖に面していて、このほかにも雨季になると各所に湖沼や季節河川が出現し、貴重な水資源となっている[31]
地方行政区分ニジェールの地方行政区分詳細は「ニジェールの行政区画」を参照

ニジェールは7つの州 (region) と1つの首都特別区 (capital district) から構成されている。

ニアメ首都特別区 (Niamey capital district)

アガデス州 (Agadez)

ディファ州 (Diffa)

ドッソ州 (Dosso)

マラディ州 (Maradi)

タウア州 (Tahoua)

ティラベリ州 (Tillaberi)

ザンデール州 (Zinder)

主要都市詳細は「ニジェールの都市の一覧」を参照

ニジェールの最大都市は国土の南西部、ニジェール川沿いに位置する首都のニアメである。人口は国土の南部に偏在しており、マラディザンデールといった都市が点在するが国土の中部・北部は砂漠地帯であり、オアシス都市で古くからのサハラ交易の要衝であるアガデスと、ウラン鉱開発の拠点として急速に都市化したアーリットを除き都市らしい都市は存在しない。
経済詳細は「ニジェールの経済(英語版)」を参照首都ニアメ

農業畜産業鉱業が主産業。国民総所得は161億ドル[32]、(1人当たり610ドル[33]、2022年)で、後発開発途上国の一つでもある。周辺の8か国とともに西アフリカ諸国中央銀行中央銀行としており、通貨CFAフランである。
農牧業

第1次産業人口は56.9 %(2005年)を占める[34]が、農業は自給農業が中心で、南部に限られる。降雨量は少ないが灌漑も発達しておらず、水源も乏しいため、ほとんどは天水農業である。そのため、降雨量に収量は大きく左右されるがサヘル地域は雨量が不安定であり降水量の年較差が激しいため、しばしば旱魃が起こる。サハラ砂漠の拡大(砂漠化)を食い止めるための緑化が、国外からの支援を得て試みられている[35]

ニジェールの主な作物は、雨量の多いサヘル南部ではモロコシ、より乾燥したサヘル中部ではトウジンビエ(パールミレット)が栽培される[36]。1980年代以降、特にモロコシにおいて単収の減少が目立ち、1980年の1ヘクタール当たり479sから、2001年には1ヘクタール当たり255sと、ほぼ半減している。これは人口増加により旧来の土地休閑が不可能になり、土地が酷使されるようになったためである。これに対し総生産量は増加しているが、これは耕作面積が3倍近く増加しているため、単収の減少を耕地の増加で補っているためである。トウジンビエにおいては旧来の土地休閑が可能であったため、単収減少は起こっていない[37]。モロコシとトウジンビエは平年は自給が可能であるが、旱魃が起こった場合供給が不足する。このほか、南部のニジェール川流域においての栽培が行われており、特にティラベリ州において集約的に栽培されるが、国内需要が大きく伸びているため自給ができず、多くを輸入に頼る状況となっている[38]

輸出用作物としては植民地時代に落花生の栽培が奨励され、1960年代初期には総輸出額の80 %が落花生およびピーナッツオイルによって占められていた[39]が、1970年代には既に割合はかなり小さくなっており、それ以降は輸出額はごくわずかなものにとどまっている[40]。農作物のなかで輸出額が多いのはタマネギササゲであるが、いずれも総輸出額に占める割合は非常に少ない[40]。ササゲの輸出の大半はナイジェリア向けであり[41]、タマネギの輸出先も近隣諸国がほとんどである[42]

牧畜は農業よりは盛んであり、ウシヒツジヤギラクダが主に飼育される。南部のフラニ人はウシを主に飼育し、北部のトゥアレグ人はラクダやヤギを中心に飼育を行っている[36]ほか、各地の農耕民も牧畜を行っている。家畜輸出は農業輸出よりも大きく、ウシ・ヒツジ・ヤギが主に輸出される[40]。内水漁業の規模は2005年で年間漁獲高5万t前後であり、そのうちの約4万5000トン、90%近くをチャド湖での漁獲が占めており、ニジェール川が3700トン前後、他の水域での漁獲はわずかなものにとどまっている[43]。「ニジェールにおける季節的な移住(英語版)」も参照
鉱業アーリット・ウラン鉱山

独立時は上記のわずかな農牧業に頼っていたが、1971年に北部のアーリットでウラン鉱の生産が開始され[44]、以後ウランの輸出が経済の柱となった。ウランは確認できるだけで世界第3位の埋蔵量を誇っている。ニジェールのウラン鉱山はアーリット鉱山とアクータ鉱山の2つの鉱山からなり、アーリット鉱山はフランス原子力庁(のちにアレヴァ社)とニジェール政府が、アクータ鉱山はニジェール政府とフランス原子力庁、日本の海外ウラン資源開発社、スペイン企業がそれぞれ出資している[44]

ウラン関連産業は全雇用の約20%を占める。2014年にはウランが総輸出額の45.6%を占め、ニジェール最大の輸出品となっている[45]が、あまりにウランの経済に占める割合が高いため、ウランの市場価格の上下がそのまま経済に直撃する構造となっており、経済成長率はウラン価格の動静に左右されている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:117 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef