ニコチンの使用者は身体依存が形成されており、最後の摂取から数時間で離脱症状を生じ、ニコチンへの渇望や他の離脱症状を生じる[3]。
喫煙といった摂取方法では急速に体内に分布し急速に脳内におけるニコチン濃度が低下するため、最後の摂取から30-40分で渇望が生じる[3]。
『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版改訂(DSM-IV-TR)には、ニコチン離脱の診断名があり、その診断基準に不快・抑うつ気分、不眠、易怒性、不安、集中困、心拍数減少、食欲増加などを挙げている[48]。こうした症状の大部分はニコチン欠乏によるものであり、紙巻きたばこの喫煙の場合には依存強化が急速で回数が多いため、身体依存がより大きくなり離脱症状は強く、軽度な離脱症状は低ニコチンの紙巻きたばこへの変更、ニコチンガムやニコチンパッチの使用後に起こる[48]。ニコチンの摂取が早い摂取形態では、ゆっくりと体に分布させる摂取形態のものより依存性が高い可能性がある[4]。
またニコチンへの依存は他の依存性薬物の使用に対して脆弱にし使用リスクを高める可能性がある[4]。 霊長類でニコチンの静脈内自己投与を確立することは困難であり、研究は少ない。1983年の柳田知司らの研究においては、4時間制限では自己投与が確立せず、24時間制限で自己投与が確立し、弱い強化因子であることを示唆された[51][52]。一方、ヒトにおいては、ニコチンの投与を回避する反応を示したとの報告が存在する[53]。ある研究は、静脈内自己投与は、薬物の乱用や依存を予測するための最も有効な手法であり、煙草の規制を進めるために研究が継続されているが、ニコチンの依存性の科学的根拠は見出だせていないため、法規制されていないと主張している[54]。 タールを含まない純粋なニコチンには発がん性は認められていない[55]。発がんプロモーターであるかどうかは未だ不明である[56]。ニコチンの代謝物であるニトロソアミンに対しては発癌性がある[57]。 ニコチンの精神毒性は確認されていない。柳田知司は、アカゲザルの実験を元に「ニコチンは依存性薬物ではあるものの、身体的な依存性は有ったとしても非常に弱いもので精神依存の増強は認められず、その精神依存性は他の依存性薬物と共通する特性が見られるものの主要な依存性薬物と比較して明らかに弱いこと、また精神毒性(ニコチンの摂取は、自動車の運転などの作業に、悪影響を及ぼさない)も、依存性薬物の中では唯一、これが認められない」と発表している[52]。 ※ニコチン離脱症状は自動車の運転などに悪影響を及ぼす。 国際的には、向精神薬に関する条約において特定の薬物の世界保健機関(WHO)による評価 日本では、たばこは財務省の所管であり、加熱式たばこも含むたばこ製品についてはたばこ事業法で、喫煙については二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律で、20歳未満の喫煙が禁止されている。 液体にニコチンを含む電子たばこは、厚生労働省が医薬品成分としてのニコチンを含むと判断している[58]。薬機法がニコチンを医薬品に指定しているため、許可なく販売できない[59]。 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の第2条は医薬品を定義しており、 のうち、機器など以外となる。 1999年5月12日に、ニコチンパッチが処方箋医薬品として承認された。この医薬品は、ニコチン含有量により毒薬または劇薬(薬事法の指定)と記述されていた[60]。これは、2008年2月29日実施の薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会にて、一般用医薬品としてのニコチンパッチを許可と共に、毒薬指定も解除した。ただ今説明がありましたように、医療用医薬品であるニコチン剤を含めて、「劇薬及び毒薬」、並びに「処方せん医薬品」の指定解除ということになりますが、これについて御意見等はございますか。よろしいですか。ありがとうございます。以上、審議事項を終わらせていただきます。 ? 望月眞弓(望月部会長) - .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則にて、ニコチンを10%以上含有する場合に「毒薬」に、それ以下では「劇薬」だが、0.2%以下の外用薬、78mg以下の貼付剤、1個2mg以下の咀嚼剤は除外されている[61] 2008年5月31日に、ニコチンを低濃度に再調整して販売が開始された。 日本では、ニコチンは毒物だと法律で指定されており、その扱いには届け出や、毒物劇物取扱責任者を置くことなどが義務付けられている。 医薬品および医薬部外品に使われるものについては、以下の毒劇法ではなく、前述の薬機法の規制を受ける[62]。 毒物及び劇物取締法(通称 毒劇法)第2条の別表第一の19にニコチンが、これを拡張する毒物及び劇物指定令の20と21にニコチン製剤が指定されている[63][64]。第二条 この法律で「毒物」とは、別表第一に掲げる物であつて、医薬品及び医薬部外品以外のものをいう。 別表第一 二十 ニコチンを含有する製剤
動物実験
発がん性
精神毒性
規制
日本での位置づけ
たばこ製品
医薬品
『日本薬局方』の掲載品
人や動物の治療予防を目的とするもの
人や動物の身体構造や機能に影響することが目的とされるもの
ニコチンパッチは高濃度製品のみ医療用医薬品、低濃度製品は第1類医薬品。
ニコチンガムは第2類医薬品
その他
十九 ニコチン
二十八 前各号に掲げる物のほか、前各号に掲げる物を含有する製剤その他の毒性を有する物であつて政令で定めるもの ? 毒物及び劇物取締法第一条 毒物及び劇物取締法(以下「法」という。)別表第一第二十八号の規定に基づき、次に掲げる物を毒物に指定する。
二十一 ニコチン塩類及びこれを含有する製剤 ? 毒物及び劇物指定令
化学
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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