ニコチン
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たばこ1本でニコチン量20mgとすれば、胃酸中では一時間に2.4mg(0.2%/分)人体に吸収されることから[29]、無理に吐かせようと水などを多く飲ませる処置が、胃酸を薄めニコチンの吸収を速めて重篤化を招くことを重くみて、米国では、乳幼児のタバコの中毒量はタバコ2本(吸いがら6本)以上とされる[29]。摂取後4時間および24時間までの経過観察を、電話などで丁寧におこなう方法がとられる[29]

日本薬理学会学会誌において、ビタミンB1によるニコチン拮抗作用が報告されている[36][37][38][39][40][41][42]。人体を対象とした実験では、多量投与によって喫煙時の一般症状(顔面蒼白、悪心、嘔吐、振戦、呼吸促迫、心悸亢進等)が著しく軽減したという報告がある[43]
生葉たばこ病詳細は「生葉たばこ病」を参照

ニコチンは、喫煙だけでなく、触れるだけでも皮膚から体内に吸収される[44][45]タバコ栽培では、葉を収穫する際に、湿った葉に触れてニコチンを皮膚から吸収することによって引き起こされる生葉たばこ病が問題となっている[44][46][45]
依存性

依存性薬物の専門家らが薬物の依存性などを評価したその平均値(高い値ほど強い)[47]薬物平均快感精神的依存身体的依存
ヘロイン3.003.03.03.0
コカイン2.373.02.81.3
アルコール1.932.31.91.6
たばこ2.212.32.61.8
バルビツール酸2.012.02.21.8
ベンゾジアゼピン1.831.72.11.8
アンフェタミン1.672.01.91.1
大麻1.511.91.70.8
LSD1.232.21.10.3
エクスタシー1.131.51.20.7
喫煙#人体」も参照

ニコチンの一般的な消費形態はたばこ噛みたばこ嗅ぎたばこ、また含有ガムである[3]紙巻きたばこ、噛みたばこ、嗅ぎたばこ、パイプ、葉巻、ニコチンガム、ニコチンパッチなどすべての形態にて、ニコチン依存症を発症させ、その依存と離脱をもたらす能力は、喫煙、経口、経皮の摂取経路の順に弱くなり、また含有されるニコチンの量に左右される[48]世界保健機関(WHO)は「ニコチンはヘロインやコカインと同程度に高い依存性がある」と発表している[49]日本医師会のホームページにほぼ同様の記載がある[50]

ニコチンの使用者は身体依存が形成されており、最後の摂取から数時間で離脱症状を生じ、ニコチンへの渇望や他の離脱症状を生じる[3]

喫煙といった摂取方法では急速に体内に分布し急速に脳内におけるニコチン濃度が低下するため、最後の摂取から30-40分で渇望が生じる[3]

『精神障害の診断と統計マニュアル』第4版改訂(DSM-IV-TR)には、ニコチン離脱の診断名があり、その診断基準に不快・抑うつ気分、不眠、易怒性、不安、集中困、心拍数減少、食欲増加などを挙げている[48]。こうした症状の大部分はニコチン欠乏によるものであり、紙巻きたばこの喫煙の場合には依存強化が急速で回数が多いため、身体依存がより大きくなり離脱症状は強く、軽度な離脱症状は低ニコチンの紙巻きたばこへの変更、ニコチンガムやニコチンパッチの使用後に起こる[48]。ニコチンの摂取が早い摂取形態では、ゆっくりと体に分布させる摂取形態のものより依存性が高い可能性がある[4]

またニコチンへの依存は他の依存性薬物の使用に対して脆弱にし使用リスクを高める可能性がある[4]
動物実験

霊長類でニコチンの静脈内自己投与を確立することは困難であり、研究は少ない。1983年の柳田知司らの研究においては、4時間制限では自己投与が確立せず、24時間制限で自己投与が確立し、弱い強化因子であることを示唆された[51][52]。一方、ヒトにおいては、ニコチンの投与を回避する反応を示したとの報告が存在する[53]。ある研究は、静脈内自己投与は、薬物の乱用や依存を予測するための最も有効な手法であり、煙草の規制を進めるために研究が継続されているが、ニコチンの依存性の科学的根拠は見出だせていないため、法規制されていないと主張している[54]
発がん性

タールを含まない純粋なニコチンには発がん性は認められていない[55]。発がんプロモーターであるかどうかは未だ不明である[56]。ニコチンの代謝物であるニトロソアミンに対しては発癌性がある[57]
精神毒性

ニコチンの精神毒性は確認されていない。柳田知司は、アカゲザルの実験を元に「ニコチンは依存性薬物ではあるものの、身体的な依存性は有ったとしても非常に弱いもので精神依存の増強は認められず、その精神依存性は他の依存性薬物と共通する特性が見られるものの主要な依存性薬物と比較して明らかに弱いこと、また精神毒性(ニコチンの摂取は、自動車の運転などの作業に、悪影響を及ぼさない)も、依存性薬物の中では唯一、これが認められない」と発表している[52]

※ニコチン離脱症状は自動車の運転などに悪影響を及ぼす。
規制

国際的には、向精神薬に関する条約において特定の薬物の世界保健機関(WHO)による評価でニコチンは規制されていない。たばこ規制枠組条約により、各国で依存性や有害性についてのたばこ警告表示がなされており、ニコチン含有製品は医薬品やたばこ関連法規制に従うことも多い。
日本での位置づけ
たばこ製品 

日本では、たばこ財務省の所管であり、加熱式たばこも含むたばこ製品についてはたばこ事業法で、喫煙については二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律で、20歳未満の喫煙が禁止されている。
医薬品

液体にニコチンを含む電子たばこは、厚生労働省が医薬品成分としてのニコチンを含むと判断している[58]。薬機法がニコチンを医薬品に指定しているため、許可なく販売できない[59]

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の第2条は医薬品を定義しており、
日本薬局方』の掲載品

人や動物の治療予防を目的とするもの

人や動物の身体構造や機能に影響することが目的とされるもの

のうち、機器など以外となる。

1999年5月12日に、ニコチンパッチ処方箋医薬品として承認された。この医薬品は、ニコチン含有量により毒薬または劇薬(薬事法の指定)と記述されていた[60]。これは、2008年2月29日実施の薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会にて、一般用医薬品としてのニコチンパッチを許可と共に、毒薬指定も解除した。ただ今説明がありましたように、医療用医薬品であるニコチン剤を含めて、「劇薬及び毒薬」、並びに「処方せん医薬品」の指定解除ということになりますが、これについて御意見等はございますか。


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