首都の市民や教会だけでなく、皇后のテオファノも次第にニケフォロスを嫌うようになっていった。ニケフォロスは美しい妻のテオファノを彼なりに愛していたようだが、もともと都の華やかな空気で育ち、まだ若かったテオファノと、武骨な老軍人とでは反りが合うはずがなかったのである。そこへ、ニケフォロスの親族でありながら帝国軍の最高司令官を解任され、冷遇されていた甥のヨハネス・ツィミスケスが現れると、ヨハネスに関心を抱いたテオファノはヨハネスと恋仲になり、やがて2人はニケフォロスの暗殺を画策するようになった。969年12月10日から11日にかけての深夜、ついにヨハネスらはテオファノの手引きで宮殿内に侵入し、寝室で寝ていたニケフォロスを襲撃した。寝室のベッドではなく、イコンの前の床に寝ているところを斬りつけられたニケフォロスは、ヨハネスから呪いの言葉を浴びせられながら止めを刺された。その間ニケフォロスはひたすら聖母マリアに祈りを捧げていたという。
ニケフォロスを暗殺したヨハネスは急いで宮殿の大広間の玉座に座り、皇帝の位についた(ヨハネス1世ツィミスケス)。
脚注[脚注の使い方]^ 現在クレタ島にはニケフォロス・フォカスという名前の町がある。また現在のギリシャ海軍には「ニキフォロス(ニケフォロスの現代ギリシャ語形)・フォカス」( ⇒HS NIKIFOROS FOKAS)というフリゲート艦が在籍している
^ a b c d 島崎(2010)pp.150-151
^ ローマ、コンスタンティノポリス、アレクサンドリア、アンティオキア、イェルサレム。
関連項目
アトスのアサナシオス
プラケプタ・ミリターリア:ニケフォロス2世フォカスによる軍事書
参考文献
井上浩一『生き残った帝国ビザンティン』講談社現代新書、新版が講談社学術文庫。
井上浩一、栗生沢猛夫『世界の歴史 第11巻 ビザンツとスラヴ』中央公論社、新版が中公文庫。
井上浩一『ビザンツ皇妃列伝―憧れの都に咲いた花』筑摩書房、1996年(絶版)。2009年白水社より再刊。
島崎晋『名言でたどる世界の歴史』PHP研究所、2010年6月。ISBN 978-4-569-77939-3
他に東ローマ帝国#参考文献も参照。
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