ナス
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「なすび」、「茄子」はこの項目へ転送されています。

日本のタレントについては「なすび (タレント)」をご覧ください。

ナス、茄子のその他の用法については「ナス (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ナス
ナスの果実 ナスの果実
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
階級なし:キク類 Asterids
:ナス目 Solanales
:ナス科 Solanaceae
:ナス属 Solanum
:ナス S. melongena

学名
Solanum melongena L. (1753)[1]
和名
ナス
ナスビ
英名
aubergine(英)
eggplant(米、豪)
brinjal(南アジア、南アフリカ)

ナス(茄子[2]、茄、ナスビ、学名:Solanum melongena)は、ナス科ナス属の植物。また、その果実のこと。別名ナスビともよばれる[3]。インド原産で、淡色野菜として世界中で栽培されている。果実は黒紫色が多いが、色や形は様々で多数の品種がある。

クセのない味わいと火を通したときのなめらかな食感が特徴で、品種によって様々な調理法があり、料理のジャンルを問わず使えるため、定番の野菜として欠かさないものとなっている[4][5]
名称

和名ナスの語源については諸説あり、実の味から「中酸実」(なかすみ)の略であるとする説[6][7]、夏に実がなるので「夏実」(なつみ)と読んだが、それが訛って「なすび」(奈須比)と呼ばれたとする説がある[8]。室町時代頃に宮廷の女官が女房言葉として「おなす」と呼び[7]、その呼称が定着した。

英名はオーバァジーン(Aubergine)(主に英国)、またはエッグプラント(Eggplant)(主に北米)で、仏名はオーベルジーヌ(aubergine)、伊名はメランザーナ(melanzana)[9]中国植物名では茄(か)もしくは茄子(かし)の名で広く栽培される[3]。「茄」は植物をさし、「茄子」は果実をさすともいわれている[8]
特徴

インドの原産[10]。原産地など熱帯地域では多年草であるが、温帯地域では一年草として畑で栽培されている[10]

は黒紫色で、高さ60 - 100センチメートル (cm) になる[10]。中には茎にトゲが見られるものがある[10]互生し、葉身は卵状楕円形で、葉縁は波打ち、葉柄に近いところでは左右非対称になる[10]。葉にはトゲがあり、毛が生えている。

花期は夏から秋で、葉腋と次の葉柄の途中に花柄を出して、紫色のを下向きに1個から数個咲かせる[10]。ひとつの花柄に複数の花が咲いても、基部の1個以外は結実しない[10]

果実は品種によって形も色も様々で、色はふつう紫色であるが、中には緑色、白色のものがある[11]果肉は密度が低くスポンジ状である。ヘタの部分にはトゲが生えているものがあり、鋭いトゲは鮮度を見分ける方法の目安となるが、収穫の作業性向上や実に傷がつくという理由から棘の無い品種も開発されている。

ナスは寒さや乾燥には弱く、日当たりがよくて水を好む性質がある[12]

ナス全体

ナスの葉

ナスの蕾

ナスの花

若い果実

果実の断面

歴史

原産地はインドの東部が有力とされ[13]、インドでは有史以前から栽培されていたと考えられている[8]。その後、ビルマを経由して中国へ5世紀ごろに渡ったと考えられており、多くの変異が生じていった[8]ヨーロッパへは13世紀に伝わったが、もともと熱帯植物であったため、あまり普及はしなかった[8]東南アジアでは古くから栽培されており、日本では見られないような赤、黄、緑、白などカラフルで、形や大きさも様々な物が市場に並ぶようになった[8]

日本には7世紀から8世紀ごろに中国から伝わり[14][15]奈良時代から食されていたといわれ[4]、東大寺正倉院の古文書で、「天平勝宝二年(750年)茄子進上」とあるのが日本最古の記録である[8]平城京長屋王邸宅跡から出土した木簡に『進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比』との記述があり、高位の者への進物にナスの粕漬けが使われていたことが判明した。また、正倉院文書には「天平六年(734年)茄子十一斛、直一貫三百五十六文」をはじめとして多数の「茄子」の記述がみられる。平安時代中期に編纂された『延喜式』には、ナスの栽培方法の記載が見られる[16]。1600年ごろ、静岡県三保では地温があたたまる砂地を利用した日本初の促成栽培がナスで始まり、旬の早い「折戸なす」が徳川家康にも献上されたといわれる[16]。元は貴重な野菜であったが、江戸時代頃より広く栽培されるようになり、以降日本人にとってなじみのある庶民的な野菜となった[17]寛文年間(1661年 - 1673年)には江戸でも旬を先取りするナスの促成栽培が広がり[16]、『農業全書』(1697年)には「紫、白、青の三色あり、又丸きあり長きあり」の記述があり、江戸時代から多くの品種が栽培されていたことがうかがえる[14]。1918年(大正7年)、鹿児島県指宿で温泉ナスの栽培が始められ[16]、1924年(大正13年)に世界で最初の野菜のF1品種がナスで実用化され、埼玉県農業試験場の柿崎洋一が「浦和交配1号」「浦和交配2号」を育成し、農家から「柿崎ナス」とよばれた[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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